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序章

「というわけだ、頼むぞ」

暇を持て余した俺に仕事と何やら訳ありなものを持ち込んだまま去っていった、馴染みの仲介屋に内心苛立ちつつ目の前の状況と己の状態を確認する。

よし、結論だ。

何でまた厄介そうな依頼をしてくるんだ……

溜息を付きたい気分だ。

しかし、名前も知られてない俺が仕事できるのは、あいつのおかげだから強く言うわけにもな……

「で、俺はあんたを守ればいいのか?」

とりあえず、目の前の派手な和服の少女に声をかけた。

この出会いがなければ、きっと名が知られることもなかっただろう。

そう思うと感謝してやらんでもない。

ただこの後に待っていた顛末は、悲惨の一言だが……

まぁ、それはまたの機会に語るとしよう。


「なぁ、玉藻」

俺は、目の前の和服少女に話しかける。

「なんじゃ?」

こいつは、見た目(和服着た低身長の可愛らしい少女をイメージしろ)と反して変な言葉遣いだが、中身は見た目通りだ。

「何度も言ったが、家でおとなしくしてろ」

そして、俺はこいつと訳あって一緒に住んでいる。

羨ましいか? なら今すぐにでも代わってくれ。

「嫌じゃ。お主に悪い虫がつく」

「男に使う言葉か?」

こういうやつだ。

玉藻以外の女と喋るだけで、ゾッとする程の殺気を出す。

冗談ならともかく、玉藻の場合本気だからな。

欲しけりゃくれてやるぞ?

「使わないとは、言えんじゃろ?」

「まぁ、否定しない」

少々過激だが、それ以外は普通だ。多分な……

「しかし、何故お主は学校に行くのじゃ?」

「そら、勉強するためだろう」

俺の場合は卒業しないと、仕事の幅を増やせないのもあるが。

「お主なら、わざわざ学ぶことなかろう」

「そうでもないぞ?」

切磋琢磨とまでは行かないが、他者と共に学ぶことで分かることもあるからな。

「そもそも、学校では何を教えておるのじゃ?」

そういえば玉藻は、こういうことに縁がなかったな。

「玉藻の場合、知識がすっ飛んでるからな」

「馬鹿にしておらんか?」

そういうつもりじゃなかったんだがな。

「まず、魔術特性から学ぶ」

唖然としてるが気にせず続けるとしよう。

どうせ最初から説明しないといけないしな。

「特性は基本的に変化しない、後天的に変化するのは稀だ」

「それぐらい知っておる。やはり馬鹿にしておるじゃろ?」

それぐらいしか知らないだろう? などと言うわけにもな。

「そも、魔術特性とは各人それぞれが持つ特性だ。 生まれ持つのが普通のため、ここばかりはどうしようもない」

「故に自分の魔術特性を最大限活かす為に努力するのじゃろう?」

少しは聞く気になったか。

「そうだ。だが、そのために何をしたらいいのかそれを学ぶ為に魔術特性を勉強することになる」

「必要かの? それこそ教わる必要もなかろう」

玉藻みたいに、自分の魔術特性を正確に理解してればいいけどな。

「俺や玉藻みたいに特性が分かりやすければいいけどな」

「なるほどの」

ちなみに俺の特性は迎撃、玉藻は呪と拘束だ。

「特性が二種類以上になれば、組み合わせにおける注意なんかも学ぶことになる」

「特性が分かりやすく、一つしかなければ必要ないのう」

「いや、どういった魔術特性があるのか、どういった特徴なのか、そういうことを学ぶ必要が出てくる」

沢山の魔術特性を知っていれば対処もそれだけやりやすくなるからな。

「それこそ実戦でよかろう」

玉藻はそうやって磨いたのか……

「そうもいかんな。ちゃんと相手を見据えて自分の出来ることを全力でやってればいいが、普通は才能の有無のせいにして逃げるからな」

「お主は大丈夫じゃの」

強くなりたくて必死だったからな。

「その点だけな。さて、ここまでは学ばされる内容だ」

「学校でしかできぬことがあるのかの?」

できないことはないが、学校の方が都合がいいな。

「というわけじゃないが、面倒な課題がある」

「面倒ならしなければよいじゃろう?」

必要性はあるから、サボれないんだがな……

「いや、やる価値はある。なんせ、迎撃の特性で風船を膨らませろとかさせられるからな」

「役に立たんじゃろう……」

普通に考えたらな。

「制御や緻密な構成の練習だと思えば悪くない」

「……それは、騙されてるんじゃと思うがの」

憐れみの目だった。

「課題はやらされるがノルマはない。ようは、新しい可能性が見つけられるかもしれんぐらいなものだ」

「無駄としか思えぬことにも、何か掴めるものがあるかも知れぬということじゃな」

理解は早いな。

「そういうことだ。他にも行事として本来なら近づくことも許されない禁足地へ行くこともできるぞ? 危険を学ぶという名目でな」

「ふむ、それは役立つのう。妾でもなかなか許可してくれんからの」

むしろ許可が降りることに驚きだが……

「ということで俺は学校へ行く」

「仕方ないの、妾も行くとするかの」

意地でも付いてくるつもりらしいな。

「仕方ないな、その代わりおとなしくしてろ」

「……善処は、しようかの」

不安だ……

ちなみに不安的中となるのは、校門の前で幼馴染に会った時に起こることとなる。


後書き

とりあえずはここまでとなります。

興味を持っていただければ幸いです。

ちまちま進めてるので気長にお待ちください。

作品の中にあるのです

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