世界の裏側
【カモフKa-50ホーカム】
機動系:TV3-117ターボシャフトエンジン×2基
最大速:350Km/時
兵 装:対戦車ミサイル、ロケット弾、30mm機関砲
ライバル機であるMi-28を退け、ロシア軍の攻撃ヘリとして採用。大きな特徴は二重反転ローターの使用、ガナーなしのパイロット一人だけのワンマンクルーという事だろう。
機動性の高い二重反転ローターの使用により、操縦系統の簡素化や自動操縦装置の適用の容易であるという点においても優れている。
[Dec-22.Fri/20:30]
『カモフ』を出た僕らはその後、ゲーセンに寄ったり、本屋に寄ったり、カラオケに寄ったりして暇を潰し、僕は今……
「ちょっと待て!何で僕が君に晩飯を作らにゃならん!?」
何故かミサトが僕のマンションに立ち寄り、夕飯を作れとせがまれていた。もう、本格的に訳が分からない。
「貴方の作る料理は、私が作るより美味しいですから」
「何言ってんだ、お前……?」
今日のミサトは、どこかおかしい。いつもならしない様な事を、次から次にやる。何を企んでいるのか、さっぱりだ。
「料理ったって……今日は買い物行ってないから、インスタントで済ますつもりだし」
僕は頭を掻きながら、棚からインスタントラーメンのパッケージを取り出す。どうでもいい話だが、とんこつ味だ。
が、ミサトはインスタントラーメンのパッケージを目にした途端、慄然とし、愕然とし、次の瞬間には血相を変えていた。
「インスタント!?インスタント言いましたか貴方は!?そんな物を……!」
「そんな物呼ばわりするんじゃない!全てのインスタント会社に失礼だろが!」
「いいえカナタさん。聞いて下さい。インスタント食品……たとえばラーメンや焼きそばの場合、乾燥の為に食塩を大量に使用した上で軽く揚げています。まず間違いなくコレステロール値が高くなり血液がドロドロになりますし、そんな血液を何とか全身に送ろうと血圧が上がります。この弊害により、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、脳血栓や肝硬変などの生命に関わる疾患を引き起こします。高血圧性心疾患による左心室不全にもなりやすくなります。さらに過酸化脂質や諸々の化学物質の摂りすぎにより苛々しやすくなるし、ふきでものが増える。代謝不良で太りもします。ビタミンやミネラルの不足。リンの過剰摂取。カルシウムの不足。いいですか。私は敢えて、この言葉を口にします。インスタント食品は人類の敵です!」
「敵じゃねぇよバァカ!そりゃ一日三食食べてりゃそうなるかも知れないケド、僕は基本的に規則正しい食生活送ってるから、一食食ったぐらいじゃなんともねぇんだよバァカ!」
「それです!その思い上がり、油断が命取りなのですよ!たった一回と言う者ほど、その言葉があてにならないのです!」
ビシィ、と僕を指さして力説するミサト。左手は正拳突きの様に、腰だめに構えて固く握り締めている。というか、人を指さすな。
「ってか、古今東西の会社に失礼だっつってんだろうが!安易に余計な事を主張すんな!営業妨害で訴えられんぞ、マジで!!」
怒るのはJAROだろうか、それとも食品会社?まぁ取り敢えず、怒られる前に話を終結させねば。
「……ハァ。ようするに、アレか。遠回しに『今から買い出しに行ってこい』と、そう言いたいんだな?」
「察しがいいですね」
「テメェが行け!っつかマジ頼むから一度逝け!」
夜の高層マンションに、そんなアホな叫び声が木霊した。
[Dec-22.Fri/21:00]
寒い。非常に寒い。
そんな極寒の中を、何が悲しくて買い物に行かなくてはいけないのだろうか。答えの分かりきっている自問を繰り返す。
と、狭い路地を歩いていた僕に、一陣の北風が吹いた。……畜生、マジで寒い。
思考を張り巡らせなければ精神の均衡が保てないくらいに寒い。しかも買い物袋の取っ手が手袋越しに指に食い込んできて痛い。
「馳走に預かりたけりゃ、自分で買い出しに行けっての……。そうすりゃ、おこぼれくらいは恵んでやる……」
……独り言のなんと虚しい事か。冬の風が、余計に寒々しく感じる。
「……帰ろ」
早く帰って、温かい物でも食べよう。
そう心に誓い、足早に路地を曲がり通学路にも使っている公園に差し掛かり、
シュドッ!という、なんとも鈍ったい音が、夜の閑静な公園に響いた。
僕は最初、それが何なのか分からなかった。
聴き慣れない、しかし聴いた事がない訳ではないこの音の正体は……、
(……ボーガン?)
戦慄し、音の発信地を気配のみで探る。有り得ないとは思うものの、聴き間違えではないという念も強く、全身の神経を研ぎ澄ます。
シュドッ!もう一度聞こえた。
間違いない、ボーガンだ。
公園の林の方だ。僕は買い物袋を捨て置き、一目散に音の方に向けて駆け出した。
[Dec-22.Fri/21:05]
殺戮狩人の放つ銀製のボルトアローを左肩に喰らった女はバランスを崩し、剥き出しの地面にしりもちをついた。
「逃げるな。償え、闇の種の末裔よ」
「……お生憎様、私たちは逃げるのが得意なのよ。むしろ、異端審問官から逃げる事は、一種のパラメータになってるワケ」
「ふむ……そうだったな。尤も、私は異端審問官ではなく処刑執行人なんだがな」
似た様なものでしょ、と女は嘲笑う。対する殺戮狩人に表情はなく、微笑すら浮かべていない。
「それにしても……見事としか言えない。私をこんな所まで導くとはな」
こんな所、とは林の事だ。
月光は照らさず、街灯一つも灯さない林の中は完全な闇である。自分の手を目の前にかざして、ようやく見える程度の。
そしてこの闇の領域は、女の支配域である。
「なるほど。確かに私は、視覚を完全に奪われた訳だな」
「ええ。そして私には、貴方の姿がはっきり見えるわよ」
「それは怖いな」
嘲るでもおどけるでも、ましてや余裕ぶる訳でもなく、殺戮狩人が呟く。
そこに抑揚はまるでなく、完全な『無』感情。
「……どうして、そこまで落ち着いていられるの?」
「我思うが故に我有り(コギト・エルゴ・スム)。私が怖いものは闇ではなく、むしろ光だよ」
正義の断罪者が光を怖がるとは、笑わせてくれる。
女は再び冷笑い、肩に突き立ったボルトアローを勢いよく引き抜いた。ブチブチと、矢の『返し』が肉を断ち切り、こそぎ落とす音が沈黙した林に響く。
「銀の矢……ね。こんな古典的な武器を使ってカインの末裔を淘汰してるのは貴方ぐらいよ、殺戮狩人」
「お褒めに与り光栄だよ不老不死……いや、漆黒真祖の方が馴染み深いかな?」
「別に。どっちの呼び名も興味ないわ。私は――」
銀の矢により、傷が治癒されない左腕をダラリと垂らしたまま、殺戮狩人めがけて跳躍する漆黒真祖。まだ使える右手を振り挙げ、慟哭る。
「ルーナ・カトールレゲナ・ブラチネットよ!」
「……過去に愚行を犯し、再び反逆の徒と化すのか、惨殺狂の使徒――漆黒真祖よ!」
漆黒真祖――否、ルーナの右手の振り下ろしの一閃。かわしきれなかった殺戮狩人の左肩が裂け、ローブフードが外れた。
後方にステップを取り、ボーガンを腰だめに構え、射出。
勢いよく飛び出した銀のボルトアローがルーナの左太股に突き刺さり、小さな呻き声が聞こえた。
「これで左半身は使えまい。右半身だけで戦うには、私は少しばかり強いぞ」
「吼えるな……小僧!」
歯を食いしばり、右足だけで跳躍するルーナ。
しかし速度が足りずに殺戮狩人にさらりとかわされてしまう。
「蛮勇は身を滅ぼす。貴公がこの場で撤退を選んでいれば、好機はあったろうに……」
奇襲する様にダラダラと挑発していた殺戮狩人が、しれっと言う。
「終わりだ。灰は灰に還れ」
フードを被り直しながら、ゆっくりとボーガンの照準をルーナの頭に合わせ、引き金に指を掛ける。
何が不老不死だ。この一撃で、潰える存在のくせに。
ルーナがぼんやりと考えた瞬間、
ビシュッ!と殺戮狩人の足下の地面が弾ぜた。
「どういう状況なんだろうな、これは」
声が聞こえた。
[Dec-22.Fri/21:20]
正直、全く事情が掴めない。
男はボーガンを躊躇も逡巡もなく撃ち込んでいるし、女は女で常人離れした動きで男に反撃している。
何事か理解しろ、と言われたところで、分かるはずがない。
「一般人か……大方、物音を聞きつけて来たのだろう」
「来ちゃダメ!逃げて!」
男と女が同時に言う。
「貴公が何者かは知らないが、早々に立ち去るがいい。そしてこの場の事は忘れろ。貴公の世に還れ」
目を閉じたまま、男が呟く。ボーガンを構えもしない。
「悪いケドさ……そういう訳にもいかないんでね。危険に晒される人々を助ける……それが僕、神殺槍なんだよ」
「ロンギヌス?貴公は漆黒真祖の使役魔か?」
「いや、違うから」
僕が答え、男が訊ね、女がツッコむ。というか、『アガシオーン』って何語だ?
「とにかく、貴公はここより立ち去れ。さもなくば、新たな血の道を明日への礎と化す」
「……勿体ぶらずにハッキリ言えよ。邪魔するなら殺すってよ」
ふむ、と男は肩が裂けて動かないはずの左手を顎に寄せた。
「そう解釈してもらっても構わない。だが、力なき正義は悪と同じだ。蛮勇は身を滅ぼすという事を肝に命じておくといい」
「力なき……正義?」
僕の事を言っているのか?だとしたら、こいつはとんでもないお笑い草だ。スッと、コートの下に隠し持っていた物を取り出す。
ずっと無表情だった男の顔に、僅かだが動揺の色が見て取れた。
先ほど、男の足下を弾ぜさせた凶器。それは、黒光りする自動拳銃である。しかも、サイレンサーとレーザーサイトを装備した、アメリカの特殊部隊用に設計されたフルキャリバ・ハンドガン。そんじょそこらの自動拳銃とは訳が違う。
「さっきの威力、見ただろ?ガスガンなんかじゃない。これは本物だ」
不敵に笑ってみせる。
「これは……驚いたな。日本は銃の所持は厳禁だったと記憶していたが……私の情報は古いものなのか?」
「合ってる……と思うケド、何だか私も自信なくなってきたわ……」
ボーガンを射つ時すら躊躇わなかった男が戸惑いながら呟き、ボルトアローを抜く時すら平然としていた女が愕然と同意する。
二人の目が僕を見つめる。どうやら、疑問に答えてほしい様だ。
「……合ってるよ。合ってるケド、僕は特別格なんだよ。銃砲所持許可証も持ってる」
もっとも、いつも持ち歩いている訳ではないが。
「……貴公は、何者だ?」
「僕か?僕は――」
たっぷりと間を置き、
「陸上自衛隊一等陸曹……対テロ特殊部隊の一人、神殺槍だよ」
そう。
それが、僕の正体である。
今から四年前、大規模なテロリズムがこの国を襲った。犯行声明の一つもない、無差別テロだ。
調査の限りを尽くし、判明した事実はたったの三つ。
《神ノ粛正ヲ下ス使徒》という組織名。
十二人ぽっちという構成員の数。
そして――その当時、彼らは全て齢12程度の少年少女である事。
《神ノ粛正ヲ下ス使徒》らはあらゆる場所で無惨に人を殺害――いや、殺戮し、破壊の限りを尽くした。僕の両親や弟妹も殺された。
ミサトやユーサクやスミレも、同じくして被害に遭っている。
僕が家族で食事に行っていたホテルが爆破され、大勢の市民がその犠牲となった。
父は弟妹を、母は僕を庇って死んでいった。妹は腕と足が吹き飛び、苦しみながら出血多量で逝った。弟は頭の半分が弾けて即死した。
偶然――奇跡に近い偶然で、僕はほとんど無傷だったが。
元々、親類縁者に恵まれていなかった僕は、数少ない親戚の家をたらい回しにされた挙げ句に孤児院に送られた。この時に初めて知ったのだが、父は良家の長男で、母と駆け落ち同然に家を飛び出したらしい。
どうして僕が孤児院に送られたかと言うと、従兄弟に当たる親戚にイジメられ、取っ組み合いの喧嘩に発展して大けがを負わせてしまったからだ。
従兄弟は頭を四針縫った。
対する僕は、割れたガラスで斬りつけられて腕を十針も縫った。その傷は今も残っている。
可愛がっていた息子が怪我をした事に激情した伯母さんは、僕に殴る蹴るの暴力を振るい、最後には階段から突き落とした。その際はただの全身打撲だけで済み、結果としては『不慮の事故』として取り扱われた。
当時は悔しい思いをしたが、今では死ななかっただけ暁光だったと思っている。
その後、恐ろしい程の素早さで孤児院に入れる手続きを施され、僕は厄介払いされた。
事件から半年後、僕はとある組織に入った。それは、日本政府に不満を持つ《子供同盟》と呼ばれる、《神ノ粛正ヲ下ス使徒》を神の様に崇め奉る組織だ。
《子供同盟》は未成年を中心とした、日本全土に渡って構成されている反政府組織である。
テロ行為に対して何の進展もなく、常に後手後手に回る日本政府に嫌気がさし、被害に遭った子供らに不当な扱いで当たった事に苛立ちを覚え、独力の解決と政府への反乱をモットーとした集団組織である。
現在でも暴走族よろしく徒党を組みしてデモ行進、バリ封、警察隊への闇討ち等が行われている。
《子供同盟》にとっての《神ノ粛正ヲ下ス使徒》とは見習うべき善神であり、憎き悪神でもある。対照のセン滅を目的としていながらも政府に反抗する無党派としての目標意志は堅く、それらはしばしば過激派と呼ばれている。中にはスターリンやナチ、ムッソリーニなどをモデルとした独裁主義を唱える者も現れるのだが、基本方針は反政府主義であり、そういった者は大概が例外なくリンチにかけられ、その組織は雲散霧消している。
僕が所属した組織は数も少なくかなりの弱小で、常に辺りの組織に圧力を掛けられ、右往左往していた。それでも無党派活動家としての意地があるのか、デモ行進では他の強豪組織にぶら下がる様に行っていた。
機動隊がジェラルミン盾と警棒を装備し、容赦なく殴りつけて来、行進の阻害の為に戦列のど真ん中に遠慮なく催涙弾を撃ち込み、狼狽える活動家に躊躇なく短機関銃のゴムスタン弾を喰らわせるという、力技の制圧を執行された。
しかしながら、全員を捕縛するには至らずにまた新たな組織が現れては、次は投石や火炎瓶による反撃を与えた。
機動隊と活動家のいたちごっこと呼ぶには血生臭く、残酷な内紛は続き、最近では死者すら出る程の大騒ぎである。僕も幾度となく捕縛され、数日間の勾留の末の釈放、仲間の集合と同時に再びデモに参加しては、機動隊と正面衝突をして再びの勾留と、そのバイタルをずっと繰り返してきたのだ。
そうして、《神ノ粛正ヲ下ス使徒》への復讐心が少し薄れ始めたある日、僕は捕縛された。
そして、数日間を未成年にも関わらず留置場で過ごしていると、一人の男が現れた。
「君が悪に染まる必要はない。悪が悪を潰すのはとても大変な事だ。どうせ復讐を掲げるのであれば、正義の旗を掲げなさい」
男はそう言うと、どんな権限を使ったのか、僕を陸上自衛隊の訓練場まで連れていき、
僕はそこで、対テロ戦術の全てを学んだ。
[Dec-22.Fri/21:40]
「アンタが何者かは知らない。だが、これ以上の狼藉は赦さない」
銃口を男に向け、マニュアルセーフティを上げて撃鉄を下ろし、デコッキングレバーを下げる。弾丸は常に装填してあるので、引き金を引けばいつでも弾が出る。
「……貴公は、この者が何者か知っていて、そんな事を言っているのか?」
「知らないね」
「ならばお教えしよう」
ボーガンを女の頭に向けたまま、男が僕に振り返る。
「この者は、漆黒真祖というあだ名を持つ、世界の害毒だ。人間ではない」
淡々と、ふざけた様子もなく語る男に、僕は仰天した。
人間じゃない?何を言ってるんだコイツは?どっかおかしいのか?
「その昔……エデンの時代、第一の人類であるアダムとイヴの子である、長男の名を知っているかな?」
「知らない」
「名はカイン。嫉妬心に狂い、弟であるアベルを殺した者だ」
夜の公園の林に、男の言葉が反響がかった様な錯覚を覚えた。
「聖書を読んでいない者は分からないだろうから掻い摘んで話すが、カインの子孫は闇の種とされ、ヨーロッパでは畏怖の対象とされてきた。……というのは、少々現実味に欠ける話ではあるが、そう言い伝われている」
神話を真面目に語る男に、やはり抑揚はない。
「狼に噛まれ、狂犬病により死亡した者は、棺桶の中で蘇生し、世を恐怖に震わせる異端として全国に分布した悪魔……医学的に言えば、狂犬病に冒された者は強硬症と呼ばれる病気にかかり、一時的な死――仮死状態に陥る。当時のヨーロッパの埋葬法は土葬であるから、埋められた後に息を吹き返し、墓を自ら暴いて外に飛び出す者がいる。人ならざるその種は空を舞い、同種を次々と生み出し、狩人や異端審問官に追われてはコウモリや狼に変身して逃げ、現代まで生き延びている存在だ」
「…………」
「スラブではヴァンピール、ロシアではウピール、マレーシアではラングスイル、ギリシャではヴリュコラカス、ルーマニアではストリゴイ、ドイツではナハツェール、スロベニアではピジャヴィカ、ブルガリアではウポウル……そう呼ばれている」
「……それって、まさか」
頭に、男の言葉のイメージが浮き出る。
「英語では、ヴァンパイア……日本語では吸血鬼という忌むべき個体が、この女だ」
吸血鬼?この女が?この男、本気――いや、正気か?
僕のそんな思考を知ってか知らずか、男はやはり、無表情に言う。
「我が名は殺戮狩人。カインの末裔を滅殺する狩人の一族の一人だ」
【H&K Mk23 SOCOM PISTOL】
全 長:245/421mm
重 量:1920g
口 径:11.43mm
装弾数:12+1発
製造国:ドイツ
アメリカを始め、世界中の特殊部隊向け大型自動拳銃であり、愛称である『ソーコム ピストル』は有名である。
US SOCOM(米国軍特殊部隊司令部)はドイツ・H&K社に無茶苦茶な基準の拳銃の開発を依頼。その基準とは『装弾数が豊富でジャム(弾詰まり)が起きにくく、寒冷地や砂漠地でも誤作動を起こさず、海水に数時間浸しても無事な45口径の自動拳銃』というものであった。そして完成した物がソーコムである。
この条件を満たし、更に手軽にサイレンサーやレーザーサイト等の装備の装着が可能だが、他の拳銃と比べ重量がある上にかさばり、弾倉脱着や安全装置の使用の複雑さ等が相俟って、現場での評価は良くない。