女
今日が終わったら明日になるのは当たり前で、明日が終われば、その明日。いつも同じ繰り返しに他の人は飽きてしまわないのだろうか。少なくとも自分は飽きていたのだ。
そんな事をぼつぼつと考えながら、赤い帽子を顔にかぶせた女は草原にころがって居た。帽子を顔にかぶせているので、女はその上に広がる高く澄んだ大空を見ることは出来ない。
女は教師だ。別に子供は好きではないが、物事を教えるのが好きなのだ。ならば他の仕事もあっただろうに。と、女に問えば教師だった父にまんまとだまされたと言うだろう。実に単純な娘だ。
何故、女が草原に寝転がり、とりとめもなく、どうでもよい現実逃避を重ねているかというと、単に恋人にふられたからだった。
唯、それだけの、単純で本人以外にはどうでもいいことだった。