朝の気配
掲載日:2026/03/24
朝の気配が残る海で
昇り始めた太陽は燦々と
空との境界をつくっていた
光はひとつも言葉を知らないまま
静かな海面に触れては
そっと解けてゆく
遠くの山は
まだ夢から覚めていないようで
白い毛布を纏っていた
鳥の羽ばたく音が
時計の針を進めてゆく
風は草を撫でる
花の咲かない彼等は
まるで最初から
名前なんてなかったように
踏まれて抜き取られて
仕方なく強くなる
朝が去る前に
海の中を覗く
真っ黒で何も見えない
それは僕の胸中を
誰も覗けないのと同じだ
懐中電灯を放り込んで
向こう側から
こっちを照らしてもらおうか
そうしたら
少し見えるだろうか
太陽が僕らを見下ろしてくる
空と海の境界線は
はっきりとしていて
今日も僕は
あそこを目指して歩むだけ
ご覧いただきありがとうございました。
朝が滲んでいる景色
誰かに届きますように。




