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異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


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壊した部屋の対価

ガーランドが帰り、ガルドと二人きりになった。


ひかりは、徐々に思い出す。

絶対に忘れちゃいけないことを思い出して、青ざめた。


「あの、ガルド。リサリアの部屋…どうなってる?」

「あ〜。うん」

「うん?」

「……うん」

「教えて!?」

「…解体、始めてる」

「うわああああ!」


居候の身で、リサリアの部屋を破壊してしまった。

あのひと目でお高いとわかる、趣味の良い家具が置かれていた部屋を!

どう罪を償えばいいのかわからない。


王城から渡された教材たちも、原型留めているだろうか。やらかし具合がヤバすぎる。


「弁償で破産する!?もう二度と魔法は使わない!!」

「そうだな。ガーランドも言ってたし、使うのは止めような」

「ああああなんて詫びれば!」


動揺して騒いでるひかりの病室に、ひょいとリサリアが現れた。

元気そうなひかりを見て安堵して、目を潤ませながら、微笑み近づいて来る。


「ああ!ひかりちゃん!良かった。目が覚めたのね!話し声が聞こえたけど、言葉…通じるのね!」


ひかりは、シュバッとベットを降りて土下座した。


「本っ当に申し訳ありませんでした!!」

「えっ何!?ひかりちゃん床に顔付けないで!?頭あげて!」

「なんとお詫びしたらいいのか!!」

「止めて起きて!?その姿勢なに!?」

「ジャパニーズ土下座!最大級の謝罪です!」

「止めてぇぇ!!?」


「病室では静かにしてください!!」


医師に凄い形相で怒られた。

ピタッと静かになったが、ひかりのジャパニーズ土下座は解けなかった。


ガルドはひかりをヒョイと持ち上げて、土下座を止めさせた。ベッドにぽすりと座らせる。


「ほら、リサリアが困ってるから。その謝り方は刺激が強すぎるから止めような」

「ううう、でもでも…被害額えげつないよね」

「止めて…本当に止めて…ひかりちゃん…」


何故かリサリアの方が謝罪でダメージを受けていた。


ひかりちゃんの罪悪感を払拭するなにかを提示しないと…私のせいで幸せじゃないなんて嫌よ。


「そうだ…部屋がボロボロで、服も小物もグチャグチャなの…だから…」

「ヒィ。どう罪を償えば…」


あのお高そうなお店で買った服達がボロボロ…想像しただけで、ひかりは身体の震えが止まらない。


リサリアの目がギラリと輝き、ひかりを射抜く。


「ひかりちゃんの物を全て買い直すわ!服も靴も小物も下着もね!!私が選んだ物の試着を全てして、部屋でも着てもらうわ!これが私への償いよ!!」

「な、下着!?」

「ガルド、そこに反応しないで。顔を赤らめない」


リサリアは、半目でガルドを見た。

ひかりはブルブル震える。

リサリアと買物をした日を思い出す。すんごい大変だった。


身体は一つしかないんだよと叫びたくなるほどに試着させられた。しかも選んだ物全て買うだと…?

フリフリレースいっぱいドレスとかふわふわリボンたくさんドレスとか?あの時は拒否出来たけど、今回は…。


「…年相応の服にしてくれる?」

「うふふ。着て欲しい物を着てもらうわ?」

「ぐっぐぐぐ…そ、それでリサリアの気が済むなら…着るわ!フリフリだろうがヒラヒラだろうが何でも着てやろうじゃないの!」

「きゃっ嬉しい!約束ね!退院したら行きましょうね」


キラキラと輝く笑顔で、リサリアは行く気満々である。


「リサリア。俺も行きたい」

「ダメよ。ガルドは結婚したら、好きなだけひかりちゃんを着飾らせられるじゃない。私は今しか無いのよ!あと下着も買うって言ってるでしょ。付いてくるんじゃないわよ」

「結婚したら…そうか」


ガルドの表情が、ぱややと明るくなっていく。

夢がいっぱいである。


こうして、退院後は耐久試着大会(?)が開催することが決まった。




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