表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/105

振り回される人々

机には教材が何冊も広げられた。

絵本から、子供向けの教材。

大人が楽しめる小説、生活に役立ちそうな本。

ノートやペン、インクもある。


「ひかりちゃん、こちらは宰相補佐のノエル・ヴァルシュタイン侯爵令息よ。教材を選んで届けてくださったわ」


リサリアが紹介したのは、緩いウェーブがかったダークブラウンの髪を肩口で切り揃えた、赤銅色の目をした威厳のある40代の男性だった。

目には冷静な洞察力が宿り、口元の微笑みにも気品が漂っている。


「初めてお目にかかります。王城の宰相補佐を務めております。ノエル・ヴァルシュタインと申します」

「初めまして。桜ひかりです。教材を届けてくださって、ありがとうございます」


ぺこりとひかりはお辞儀をして、堂々としていて威厳のあるノエルを見上げる。

レイゼンさんもノエルさんも、王城で働いてる人たちってみんなカッコいいな。すごいなあ。


「教師の方は、選別に少し時間をかけておりますので、しばらくお待ちを。女性の教師を探しておりますので、ご安心ください」


ノエルは、そう言うとチラリとガルドの方を見た。

ガルドは、ノエルの目を見て静かに笑う。

ピクリとノエルの片眉が上がる。


昨日のガルドの行動は、王城にかなりの影響を与えた。


次期辺境伯の春と宣言されて、ひかりの後ろには、辺境伯一族という絶大な力が付いた。


他所の人間が、辺境伯の春に男性を当てがうのは御法度だ。


すぐさま、ひかりを王族関係者と結婚させて取り込む計画は中止になった。

決まっていた男性の教師も断ることになった。

この先、王城から男性をひかりに送ることは緊急以外はあり得ない。


王城では全ての予定が狂い、緊急の仕事に加え、急な変更の対応に追われ大騒ぎになっていた。

文官たちは忙殺され、まさに死にそうになっている。


ノエルも仕事に追われ寝不足で、ちょっと怒っていた。

昨日は「もっと早くに言ってくれ!」と叫んでいた。


先ほどの恋愛相談会に強制参加させられた時も、ノエルは血族の特徴にキレそうだった。


ガルドの親の代の恋模様を知っているノエルは、その時も振り回されたのでデジャブを感じていた。


ノエルはため息を吐きながら、心の中で悪態をついた。

これだからヘタレの辺境伯は!!


「ノエル様、すごい怒ってる」

「気持ちわかるけどな…」


王子の側近フェリクスとジェイドは、昨日の文官たちの惨状を知っている。ノエルが静かに怒ってるのに気付いて震えていた。


代々宰相を担うヴァルシュタイン侯爵家は、高位貴族の血族の特徴について学ぶ。

だが、長所は短所にもなることは、実際見ないとわからない。斜め上の動きをするのだコイツらは。


ヴァルシュタイン家は、その短所を知り尽くしていた。代々振り回されてきていたとも言える。


今回も、次期辺境伯はかなり妻にへタレるタイプのようだ。


なんで戦場では恐ろしいほど強いのに、妻相手にはこうなるのか。ノエルは、なるべく仲良くしてくれ…と肩を落とした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ