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異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


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72/105

何の会議だっけ

会議室には、アーノルド王子、側近の二人、王城の文官、さらに王妃様の侍女が椅子に座って待っていた。

ガルドとリサリアが礼をする。


「お待たせしました」

「ねえ、ガル兄。その顔どうしたの?」

「なんでもありません。お気になさらず」


ニヤニヤとアーノルドは、さっきイチャついてた兄弟子のガルドを揶揄って遊ぶ。側近たちは、ハラハラしながら見ていた。


「ひかり嬢にやられたの?さっきリサリア先輩に獣呼ばわりされてたけど」

「ひかりは…そんなこと…しな…い…」

「え……ちょ、なんでそんな落ち込むの。プロポーズ成功したんじゃないの?」


ガルドが、この世の終わりのように落ち込みだしたので、アーノルドは慌てた。


「ひかり…怒らせてしまったかも…」

「何しでかしたんだよ」


さっきのあの浮かれたイチャつきぶりから、どうすればこうなるのか。アーノルドは、ガルドを呆れて眺める。

リサリアは、理性が弱すぎるガルドを半目で見ていた。


他の面々も、あのエッセン団長がここまで落ち込むなんてと驚いていた。

プロポーズした相手との間で、余程の問題が起きたのかと推察する。


「つい嬉しくて、抱き締めてしまった」

「は?」


………は?


何言ってんだコイツ。


全員が同じ気持ちだった。


「え?ガルド、あなたそれでエランにあの紙を叩きつけられたの?」

「うう、離したくなくて…」


リサリアはもっと色々想像して、あとで再起不能にしてやろうかと考えていたので驚いた。

ガルドは手で顔を覆って、後悔と反省をしまくり、悲しんでいる。


「ねえ、この話もしかして、すごいどうでもいい?」

「どうでもよくない!ひかりが怒ってたら、どうすればいいんだ!」

「謝ればいいでしょ」


すごく真剣にアーノルドに向かって、ガルドが吠える。

ガルドのしょうもない恋愛相談に、アーノルドは正論を言った。


「許してくれなかったら、どうすればいいんだ。死ぬか?死んで詫びるか?」

「怖えよ。死ぬ前に何度も謝れよ」


真っ青になって、思い詰めながら呟くガルド。

明らかに様子がおかしいガルドに、アーノルドは困ってリサリアに助けを求める。


「リサリア先輩、ガル兄はどうしちゃったの?」

「エッセン一族の血族の特徴が思いっきり出てるんですよ。さすが一族筆頭の嫡男ですね」


リサリアも困った様子で見つめた。

愛が重いというか、ヘタレすぎてどうすればいいのか悩む。大の男のどうでもいい泣き言を聞き続けるのは、ごめん被りたい。


そもそも、今日の集まりは恋愛相談会じゃない。

しかし、ガルドの錯乱振りが酷くて会議が始められない。


どうすりゃいいんだ、コレ…。


シクシク悲しんでいる騎士団団長を見ながら、ここにいる全員が途方に暮れた。



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