リサリアさんは5歳年下
ガルドは慌ててリサリアの部屋の前まで駆けつけ、扉をノックし早口で呼ぶ。
「リサリア! 起きてるか!? すぐ来てくれ!」
「どうしたの?」
その焦った声を聞いたリサリアは、素早く扉を開ける。真剣な表情でガルドを見つめた。
先程の光景を思い出し、ガルドは口ごもった。
「ひかりが…」
「ひかりちゃんに何かあったの!?今どこ!?」
「今は部屋に」
答えたその瞬間、リサリアの目が鋭く光る。
物凄いスピードで駆けて行き、ガルドの部屋のドアを勢いよく開けて飛び込んだ。
「ひかりちゃん!!」
「びゃあ!?」
「ひかりちゃん、無事!?何があったの!?」
ソファに所在なさげに座っていたひかりは、突然凄い勢いで入ってきたリサリアに飛び上がって驚いた。
リサリアは駆け寄ると、ひかりに異変はないかと全身をくまなく確認した。
その視線は自然と胸の膨らみに向かう。
「………女の子……?」
ガルドは、部屋の入り口で立ち止まって2人を見ていた。
「リサリア、ひかりは君より年上の大人の女性だ」
「え?年上?ひかりちゃんが?」
「ひかりは俺と同い年だよ」
リサリアは、目を見開いて驚いていた。
「今夜、ひかりは君の部屋で寝かせてくれないか。俺の部屋じゃ色々と不都合がある」
「そ、そうね。わかったわ。私の部屋へ連れて行く。ちゃんと見守るから安心して」
ガルドは少し気まずそうに頷いた。
リサリアはにこやかにひかりの手を引いて、部屋へ行こうとする。
ん?この人たち、ずっと私のこと年下の男の子だと思ってた?
「あの、子供じゃないので、手を繋がなくても…」
「私が手を繋ぎたいの。…こんな可愛い子と姉妹のように過ごすのが、夢だったのよ」
ひかりは手を離してもらおうとしたが、リサリアが綺麗な瞳をうるうるさせて、ダメ?とこちらを見つめてきた。
「う、うう……」
リサリアの懇願に、ひかりは何も言えず口ごもり負ける。
「ガルド、また明日。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
上機嫌なリサリアに、ひかりは手を繋がれたまま部屋へ向かって行く。
2人のうち、どちらが姉かは一目瞭然だった。
「さあ、どうぞ。今日からここが、ひかりちゃんの暮らす部屋よ」
リサリアはちゃっかり、ひかりとここで暮らすと決めていた。
リサリアの部屋はガルドの部屋とは違い、薄い水色の壁紙に白い家具を基調にしていた。
女性らしく華やかだった。
「わあ………」
リサリアさんって美人でセンスも良いんだなあ。
ひかりは感嘆の声しか出ない。
「うふふ、さあそんなむさ苦しい服は脱いで、可愛いナイトドレスに着替えましょうね!」
リサリアはニッコニコでクローゼットを開け放つ。
「ひかりちゃんに合うのはこれかしら?これもいいわ!」
「あ、あの、お構いなく…」
次々と出てくる綺麗なナイトドレスに、戸惑いが隠せない。
パジャマなら、寝相悪くてもお腹が出ないこのサイズ違いが良いんだけどな。
ひかりは、ガルドが貸してくれた服の袖をそっと触った。
あ、これガルドさんに返さなきゃ。
リサリアの出すナイトドレス達を見ながら、そんな事をぼんやり考えていた。




