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異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


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恥ずかしぬ

「おはよう。ひかり」

「…おはよう。ガルド」

「? どうした?」

「なにが?」

「なにがって…」


朝の食堂で、ガルドはトレーを持ってこちらに歩いてきたひかりに声をかけた。

何故か、ひかりは目を合わさない。


謁見の時に正装用の騎士服を着た俺を、頑なに見なかったあの時と全く同じだ。

こちらを見てるようで見ていない。微妙に視点をずらしている。

平然を装っているけれど、明らかに不審な行動を取っていた。


「ガルド、女性にはいろんな日があるんだから、追求しちゃダメよ?」

「そ、そうか」


後から来たリサリアが、ニッコリ笑って「流せ」と無言の圧をかけてきた。

ひかりは、何でもないように穏やかに話している。


ううう、恥ずかしくて直視出来ない…。


昨夜、リサリアと話が終わって眠るとウッカリ夢を見た。


手を繋いで感じる温もり、ガルドのささやき声。


「ひかり」


ガルドとの甘く優しい二人の世界ーーー


「わーーーーっ!?」


途中で夢と気づいて、叫んで起きた。

なんて夢を!?お前昨日は気持ちがわからんとか言ってただろ!?


頭を抱えて呻いていると、リサリアが朝の鍛錬から帰ってきた。


「ど、どうしたの!?ひかりちゃん大丈夫?」

「大…丈夫…気にしないで…本当に…ううう」


ヨロヨロと布団に潜り込んで、呻く丸い塊が出来る。

変な生き物が、リサリアの部屋に産まれた。


「ひかりちゃん、具合悪い?」

「大丈夫…頭が悪いだけ」

「ええ…」


なんだかわからないが、呻き続けていて重症だ。


「朝ご飯は食べれそう?部屋に持ってくる?」

「………ううん。行く」


ゆっくりと布団からひかりが出てきた。

髪がボサボサで、目がうつろだ。ヨタヨタと洗面所へ向かって行く。

こんなひかりを見たことがないリサリアは、オロオロしていた。


「ごめんね。大丈夫…ちゃんと準備する頃には生き返るから…」

「えええ…」


鏡を見ると、酷い有様だ。

顔を洗ってなんとか冷静になる。


よし。忘れよう。



ーーーそして、朝の食堂。


全っ然、忘れられない!

むしろ目の前に本人いるから思い出す!シンドイ!


ひかりは、ガルドを直視出来なくなっていた。

ガルドが話してる時もひたすら、少し視線をずらしていた。


「ひかり、今日は午後に王城から教材が届くぞ。ただ、さっき王家と今後について早急に話す必要があると書状が来た。準備があるから、昼からエランを護衛につかせる」

「わかった。でも、どこにも行かないのに護衛必要なの?」

「…そうだな。あの書状、なんか違和感があったから念の為だ」


陛下は、ひかりが落ち着くまで手を出すなと当主達に言われた。

早急に話すことなど何もないはずだ。なのに、あの書状。王家からなのは間違いないが、おかしい。

俺の牽制についてなら、当主に書状がいくはずだ。


「ひかり、何か違和感があったらエランに助けを求めるんだぞ。とにかく、一人でどうにかしようとしないでくれ」

「わ、わかった」


ガルドが真剣な声で話すので、ひかりは羞恥も忘れてガルドを見て頷いた。

真剣な表情のガルドが、ふっと優しく微笑んだ。


「やっと目が合った」

「!…………」


ひかりは驚きで見開いた後、見つめ合っていた目をそろそろと逸らしていく。


「ええ?ひかり?」

「……お気になさらず」

「ガルド、追求しちゃダメよ」

「えええ?」



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