表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/105

小さいのに苦労したんだな

リサリアはひかりを抱き締めたまま、目に涙を浮かべながら声を震わせる。


「家族は!? ひかりちゃんの家族はどうしたの!? 一人で頑張ってたのね……偉いわ!」

「え? いや、実家は普通にありますけど……」


ひかりは慌てて首を振る。しかし、リサリアの母性爆発して興奮した耳には、その言葉は届いていない。


「ほんとに、こんなに小さいのに一人で……!」

「その年で働くのは普通なのか?」


この世界の人間には、小柄で童顔のひかりは10代前半に見えていた。

ガルドも、眉を顰めつつ問いかける。


「は、はい……普通ですね……?」


ひかりは頭をかしげ、小さく答える。

質問の意図が全く理解できず、心の中は混乱でいっぱいだ。


この世界では、成人しても働かないの……?


自分の生活は、日本では当たり前のことだったはずなのに、ここではその常識が全く通じない。

目を丸くして、リサリアとガルドの視線を交互に見つめた。


「リサリア、いい加減落ち着け」


いつまでも抱き締めているリサリアに、ガルドはため息をつきながらも宥める。

ガルドが慈愛に満ちた眼差しでひかりを見る。


「ひかり、この世界では平民でも生活が苦しくない限り、子供は働かない。騎士団で保護する事になるが、安心して暮らしてくれ。」


「は、はぁ…え?子供?」


リサリアがハッと目を見開いた。


「もう、こんな夜遅くなっちゃって! 夜更かしは良くないわ!早く寝なきゃね!」

「そうだな。もう寝る時間だな。」

「そ、そうなんですね……?」


さっき変な事言ってたのは気のせい?


にこやかなリサリアと頷いてるガルドの姿に、ひかりは首を傾げるだけだった。


「じゃあ、話はまた明日にしよう。ひかりは今夜どこで寝るか考えないとだな」


ガルドとリサリアは、改めてひかりを見つめる。

華奢で可愛らしく、力なんてなさそうなお人形のような存在。


たとえ男の子だとしても、あの騎士団の寮に放り込むのは危険ではないか。

かといって女子寮に入れるのも、また違う問題が起きそうだ。二人は顔を見合わせて悩む。


「とりあえず、俺の部屋で寝るか?」

「そうね…それが安全な気がするわ」


団長の部屋なら団員からの目もなく、この子も落ち着いて休めるだろう。

沈黙のあと、ガルドがぽつりと言った提案にリサリアも頷いた。


ひかりはそのやり取りを聞き、すぐに納得した。


――成る程。

確かに一番偉くて強そうな団長さんの部屋で寝れば、安心安全だ。


突然現れた自分に、親身になって話を聞いてくれる2人。

ひかりは雛鳥の刷り込みの如く信頼していた。


小さく頷きながら、ひかりはそのままガルドとリサリアに導かれるまま、執務室を出て行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ