2人でおでかけ
ひかりは出掛ける準備を整えると、待ち合わせ場所へ向かった。
以前、リサリアと買い物に行った時は荷馬車だったので、今回もそうだと思っていた。
ところが、ガルドは一頭の馬だけを連れてきていて、ひかりは目を瞬いた。
「え?馬に乗って移動するの?」
「ああ、早いからな」
「私、乗馬したことない…!」
わあと興味深々で馬を見上げる。大きくてツヤツヤ、瞳の綺麗な栗色の馬だ。荷馬車の馬より大きい気がする。
「綺麗なお馬さんだねえ」
ひかりの声に、ガルドは嬉しそうに頷く。
「ああ、それに賢いぞ。乗馬未経験でも、俺が支えるから、捕まってるだけでいい。ほら、ここに足を掛けて」
「え、ええ?」
ガルドがひらりと馬に跨ると、ひかりの手を取り、軽やかに引き上げて馬に横乗りにさせた。
「わ、わわ。高い!どうやって跨がれば…?」
「…スカートで跨ぐのは止めた方がいい」
「え?でもバランス取るの難しい!お、落ちない?」
「ひかり、鞍から手を離してこっち向いて」
「う、うん」
ガルドはこちらを向いたひかりの腕を自分の腰に回させる。
ガルドもひかりの腰に自分の腕を回した。
「…しっかり掴まってるんだぞ」
「ひゃい!?」
低く柔らかい美声が頭の方から聞こえ、驚き過ぎて変な声が出た。
馬をゆっくり走らせると、ガルドとひかりの身体も揺れる。
ガルドの胸に、ひかりの顔が当たった。
腰に回してる腕を離すわけにもいかず、ガルドの身体の感触が伝わってくる。
ガルドの温もりが!い、いい香りがする…!乗馬って、こんななの!?
ひかりは口もきけず、ただ硬直していた。
ガルドがチラリとひかりを見ると、くっついている姿が可愛くて、思わず口元が緩む。
細い腰、柔らかな身体、ふわりと漂うひかりの香りと温もりに、ガルドの心臓が早くなる。
ひかりに気付かれていないことを祈りつつ、王都への道を馬と共に走った。
徐々にこの状況に慣れてくるとひかりは、力を抜いて周りを見出した。荷馬車で見た時とはまた違う景色が面白い。
鳥が羽ばたき、緑が風に優しく揺れている。
馬の走る速度は一定で、穏やかな道のりだった。
キョロキョロと見渡してると「こら、危ないぞ」と呟かれガルドに優しく腰を支え直される。
「ご、ごめんなさい」
ガルドの大きな手の温もりを身体で感じてしまい、ひかりは顔が赤くなっていくのがわかった。
ひかりは照れて赤くなった顔を見られたら恥ずかしいので、隠すようにガルドの胸元にすり寄る。
その動作にガルドは顔を赤らめる。
こんなに距離が近いのは初めてだ。
お互いドキドキしつつ王都へ向かう道のりは、言葉少なく甘やかだった。




