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異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


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恥ずかしすぎるわ!

「目立たない方が良いなら、商店通りで少し曲がった道のここと、通りの1番先のここに土地が空いているようだ。ひかりはどちらがいい?」


2人はテーブルに向かい合って座り、地図を覗き込んでいた。


「周りはどんなお店が近いですか?」


「曲がった所の方は薬師の店と防具屋だな。先の方は呑み屋と魔道具屋だ。」


「まどうぐ?…魔道具!?この世界は魔法があるんですか?」


ひかりは地図から慌てて顔を上げてガルドを見た。


「ん?ああ、もちろんあるよ。生活には欠かせない。ひかりも使ってるじゃないか」


驚いてるひかりにガルドは戸惑った顔をしていた。


「え?いつですか?」

「部屋の明かりを付けたり、トイレや風呂で水とかお湯を使うだろう。あれは全て魔道具だよ」


「ええっ!?あれ魔法なんですか!?」

「人の魔力を吸い取って発動するんだ。ひかりの世界では違うのか?」


「私の世界は、魔法ではなく科学ですね。魔法が使えなくても誰でも道具が使えるんです」

ガルドは魔力が必要ないことに驚いていた。


「ひかりの世界は全然違うんだな…。」

「私は他にも魔法使えるようになれますか?」


キラキラワクワク。


ひかりの期待を込めた視線にガルドは苦笑する。


「どうかな。魔法を使える人間は珍しいんだ。

魔道具は魔力を勝手に吸い取って起動する物で魔法を使うとは違う。

魔力が多い人間は子供の頃に魔法の基礎を習うけど、ひかりの魔力の多さは調べないとわからないからな」


「魔法の基礎を習っても使えないんですか?」

「普通の人の魔力はとても微弱で、基礎もできないんだ」

「基礎ってなにやるんですか?」

「身体の魔力の流れを感じて、自在に操るんだ」

「ガルドさんは、出来るんですか?」

「ああ、騎士団には身体強化ができる奴が大抵入る。俺やリサリアもそうだ」


「私は基礎出来ないのかな。魔力の流れってどうやって感じるんです?」


全くピンときてないひかりは首を傾げる。


ガルドは子供の頃に家庭教師に教わった方法を思い出す。

この世界では5歳で魔力量鑑定をした後、魔力量が多いと判明すると魔力の流れを習う。


魔力量が多いとすぐに理解出来るようで、ガルドも1回やってすぐ覚えた。


何度もやっている子供は見たことがないし、大人になってから基礎を習う人間は皆無だ。

そもそも魔力量を調べるのは国民の義務なので、子供の頃に全て済ませる事だった。


「魔力量が多いなら、すぐに理解できると思うが…えーと、ひかり手を出して」


「はい」

ひかりがガルドに見えるように手を見せるとギュッと握られる。


「!?」

大きくて温かいガルドの手にひかりは動揺する。


「魔力を流すから感じてみて」

「え、流す?」

「うん。いくぞ」


ガルドが目を瞑り静かになったので、ひかりも真似するように目を瞑った。


ガルドの手の感触が、目を瞑ってるせいで強く感じる。


な、なんか照れるな。


ひかりは男の人と手を繋いでるのに慣れてないので落ち着かなかった。

我慢してじっとしてると、ホワッと身体に温かさを感じた。


ん?なんか気持ちいい。


日向ぼっこしてるような、布団に包み込まれるような安心感。


ほんわかしてると突然、それ以上の熱さがガルドの手から自分の全身に流れてくるのを感じた。


「ひぁっ!?」

「!?」


ひかりがバッと手を振り払う。

ガルドは驚いて目を開けた。


「ひかり?」


ひかりは顔を真っ赤にして握られていた手を胸の前で抑えている。ふるふると小さく震えて、潤んだ目でこちらを見ていた。


「!?!?!?」


ガルドはズザッと後ろに下がった。ガタガタっと椅子が動く。


「ひかりちゃーん!お店見学どうだった?」

バターンとリサリアが扉を開けて入ってきた。


「ん?ガルドどうしたの?」

ガルドがおかしな体勢で固まっていた。

ひかりを見ると真っ赤な顔で、目を潤ませている。


「ガルド……ナニヲシタ?……コロスカ?」

猛獣リサリアママが発動した。


「な、何もしてない!!魔法を知らないっていうから魔力の流れを教えただけだ!」

ガルドは青ざめながら、叫ぶ。


「魔力の流れ!?あ、あなたこんな所で何てことしてんの!」

リサリアは怒り爆発させながらガルドを叱る。


「はあ?子供の頃やっただろ!」

「バカ!子供だから出来たのよ!大人同士で魔力を流すと受けた方は陶酔状態になるのよ!」

「んな!?」

「何で知らないのよ!?」

「聞いたことない!」

「嘘でしょ!?」


ギャーギャー騒ぐ2人をよそに、心臓をバクバクさせてたひかりは落ち着いてきた。


び、ビックリした。魔力こっわ。



「すまない!」

向かい側に座るガルドが深々と頭を下げていた。


全員、心を落ち着かせる為にテーブルについてお茶を飲むことにした。


「いえ、大丈夫です。ハイ…。」

何となく気まずい。でもまあビックリしたけど、すぐに離れて何ともないし。


「ひかりちゃん、法に訴えなくて大丈夫?」

「だ、大丈夫です!ガルドさんも知らなかったみたいだし!」

リサリアさんの目が本気だ!コワイ!


「あの…さっきの、大人は魔法の基礎は習えないんですか…?」


ひかりはおずおずとリサリアに聞いてみる。


「身体が未発達な子供にしか教えないわ。だから子供は魔力量検査が義務になってるの。

他人の魔力は、相手を信頼し受け入れてないと身体に流れないのよ。しかも副作用がアレでしょ?大人が気軽に習うなんて無理なの。

大人でこれをやるなんて、相当想いあっている夫婦の閨の時しかしないわね」


ブーーーーーッ!!!!

ガルドが盛大にお茶を噴いて咽せている。


「夫婦でねや?夫婦で閨!?待って待って待って嘘でしょ!」


ひかりが両手で顔を覆って背を丸めた。耳がまっ赤になっている。


リサリアが気遣わしげに、そっとひかりの背に手を添えた。


「ひかりちゃん、気にしないでいいのよ。私やガルドをとても信頼しているでしょう?知らなかったのだから、受け入れてしまったのは当然よ。

それに魔力流しを夫婦でするのは相当珍しいらしいからもうすることは「特殊性癖じゃないか!そんなの俺が知るわけないだろう!」


「うぎゃーーーーーーー!!!」


ガルドもひかりも茹でタコのように真っ赤になって叫ぶ。


リサリアの慰めは2人の心に何の安心感も与えなかった。




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