表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界では小さいねと可愛がられてます  作者: とりとり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/105

甘えさせたい 

「すみません。送ってもらっちゃって」

「休憩がてら散歩してただけだから、気にしないで」


ガルドは、もう暗いからと、ひかりを部屋まで送る事にした。

泣いた顔を笑って隠す彼女を、一人にしたくなかった。


二人は穏やかに話しながら、のんびりと歩いていく。

少し涼しい柔らかな風が吹き、月が夜道を照らしていた。


ーーーどうすれば、心を開いてくれるだろう?


泣き喚いたっていい状況なのに、ひかりは一人で隠れて泣く。

大丈夫と終わらせる。


頼れと言っても、一人で立ち向かう。

ひかりは人懐こく笑ってくれるが、一線が引かれていて、懐の中へ入れない。


なかなか懐かない猫のようだ。


甘えてほしい。頼ってほしい。

ーーーこの気持ちが届かなくて、もどかしい。


隣で歩いているひかりは、笑いながら話している。

簡単に触れられる距離にいるのに、触れられない。


「じゃあ、また明日」

「はい。おやすみなさい」


ひかりはぺこりとお辞儀して扉を開け、中へ入っていった。


まだ、心から信頼されていないのだろう。

焦って望めば、きっとひかりは心を隠して逃げてしまう。


受け入れてもらえるように、頑張るしかないな…。


ガルドは、ひかりが入っていった扉を見つめたあと、そっと目を伏せ、くるりと踵を返して執務室へ戻って行った。



ひかりはガルドに挨拶をして扉を閉め、鍵をかけてから、部屋の方へ振り向いた。


「ひかりちゃん…」

「んぎゃっ!?」


すぐ目の前にリサリアさんがいた。ドア開けた時いなかったよね!?


「ビ、ビックリした!怖いですよ、リサリアさん!」

「うわーん!ひかりちゃん、帰って来たら部屋にいないんだもの。心配したのよー!」

「あ、ああ…ごめんなさい。砦内をちょっと探検してました」


なんだかリサリアさん、情緒不安定だな?

ひかりは、泣きついてきたリサリアの背を優しく撫でた。


「うう、探検?」

「はい。ここで暮らすなら、砦のことをもっと知らなきゃなって思って」


ひかりは抱きついてきたリサリアから少し離れて、ジッと顔を見つめた。


「リサリアさん。私は、砦で暮らすことを決めました。だから、これからの生活をちゃんと話し合いたいです」


いつもと違う不穏な雰囲気を感じ取って、リサリアは口ごもる。


「……そ、それはそう。でも、まだひかりちゃんは、ここの生活に慣れてないわ…」

「はい。慣れるように学びます。ですからーー」


ひかりはリサリアに、ニッコリと笑いかけた。


「私は、この居候生活を終わらせようと思います。

砦で、私が暮らせそうな場所を教えてください」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ