1ただのダサい奴ら
「まったく、お前らは何度言ったらわかるんだ。」
僕らはいつものようにやんちゃをしてまた先生に怒られていた。
「はあ、あのなあ怒られているうちが花なんだ。これから大人になったらお前らのことなんて誰も気にしなくなるぞ。今のうちに心を改めろよ。」
先生は半分僕らを心配して、半分僕らに呆れていた。
「はい。」
僕らは不満げに先生に返事をしてその場を離れた。
「なんで毎回俺らだけなんだよ。ほかのやつも寝てたじゃんか。」
僕は少し怒り気味に言った。
「仕方ねえよあいつら先公は単に俺らのことが嫌いなんだよ。でも今回に限っては壮太、お前も悪いだろ、寝てる上に寝言で先生の悪口言いまくってたんだからよ。」
そういうのはいつも僕と一緒にいる芝和太だった。
「いやいや、そうだとしてもだろ。」
そんなことを言いながら教室に戻っていると、前から僕らのことを見ていた女子が近づいてきた。
「あ、また怒られてんじゃん。もう怒られんの好きなんじゃない。」
そんなことをすこし馬鹿にしたように言うのは同じクラスの高橋凛だった。
「は、黙れよ。お前もよく怒られているじゃねえか。」
僕らはちょっと顔を赤らめながら言った。
「でも私は勉強はできるし、鈴木とか芝みたいなただのダサい奴らとは違って期末テストも毎回上位三位には入ってるし。」
僕らは何も言い返せなかった。確かに高橋はよく先生に怒られてはいるが、頭だけはよかったからそこまで先生も言わなかった。それに顔も白くきれいな小顔で、口の隣に小さいほくろがあるのもまたその可愛さをより引き出していた。僕自身もっと自分のことに興味を持ってもらいたくてやんちゃをしていた。それに僕は髪型はボブが一番好きだったから余計かわいく見えた。
(わかってるんだよ、わかってるからいつもお前を見ると自分が情けなく見えてしまうんだよ。)
僕らはなにも言えず、その場を去るしかなかった。