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時間が戻せるスマホ

作者: 辛口カレー
掲載日:2025/01/04

「え? 時間が戻せるスマホ?」


俺は思わず聞き返した。


「そうだ。ただし、時間を戻すといっても僅かな時間だ。せいぜい1分くらいだな」


「たった1分、時間を戻したところで何が嬉しいのさ」


「例えば、キミが彼女と初めてベッドを共にして抱き合っているとするだろ。やがて彼女が充分に感じた頃合いを見計らって、キミは絶頂を迎える」


オブラートに包んだ表現、サンクス。


「そして、それからキミはだいたい1分後に賢者タイムに突入するわけだ」


「時間を計ったことは無いけど、まぁ大体そのくらいの時間かなぁ」


「そこでキミはこのスマホに入ってるアプリ『Tikka Tokka』を使って時間を1分だけ戻すんだ……」


何だかどこかで聞いたようなアプリだな。

ま、この際、アプリ名なんてどうでもいいか。


「すると、どうなると思う?」


「賢者タイムの前に戻れる……と」


「その通り。しかもキミの頭の中からは、時間を戻した分の記憶が消えている。つまり、望むならキミは何度でも、彼女と初めての絶頂を迎えることができる」


オブラートに包んだ表現、二度目でサンクス。


「別の言い方をすると、キミは彼女の中で無限に射精できる」


……あ、やっぱ、さっきのサンクスは取り消しで。


「要するに、無限に快楽をむさぼる事ができるというわけだ」


「なるほど……」


「他には例えば、A5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキを一口食べるとする。そしてそれを口の中でゆっくり味わって飲み込む。こたえられない美味(うま)さに、キミは満足感で包まれるはずだ」


俺は無意識に、ごくり、と生唾を飲み込んだ。


「そこでこのスマホに入ってるアプリ『Nikka Bokka』を使って時間を1分だけ戻すんだ。するとどうなるか」


いつの間にか、スマホのアプリ名が工事現場の作業着みたいになってんな。


「もう一度、A5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキが食べられる、と……」


「いや、一度だけじゃない。これを繰り返せば、キミはA5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキを無限に食べることができる。『いきなりステーキ』どころの話じゃない。『いつまでもステーキ』だ」


そんな店、速攻で潰れるだろ。


「どうだい。こんな素晴らしいスマホ、たとえ100万円でも決して高い買い物じゃないはずだ。しかも、それが今なら49万9980円だ!」


細かく刻んできたな、おい。

もうそこは50万円でいいだろ。


「どうだ、買わないか?」


「うーん……」


「これだけ安くしてもまだ買わないって言うのか。このしみったれ野郎!」


なんで急に口が悪くなってんだ、この人。


「いきなり時間が戻せるなんて言われても……すぐには信じられないよ」


「まだ俺の話を疑ってるのか。なら今回だけ特別に、お試しサービスを無料で付けようじゃないか。そしたら効果を実感できて、キミの疑いも晴れるだろうからな」


まぁ無料ならいっか。

気に入らなければ、買わなきゃいいだけだし。


「じゃあ今だけ特別に俺のスマホを貸してやる。ここに『Ryukku Sakku』アプリのアイコンがあるから、それをタップしてみろ」


ん? またアプリの名前が変わってないか?

何だよ、リュックサックって。

ピクニックか。


ま、どうせ買う気なんて無いから気にしないけどさ。


「分かった。こうか?」


言われるがままに、俺はそのアイコンをタップした。

一瞬、頭の中がクラッとするのを感じた……。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「え? 時間が戻せるスマホ?」


俺は思わず聞き返した。


「そうだ。ただし、時間を戻すといっても僅かな時間だ。せいぜい1分くらいだな」


「たった1分、時間を戻したところで何が嬉しいのさ」


「例えば、キミが彼女と初めてベッドを共にして抱き合っているとするだろ。やがて彼女が充分に感じた頃合いを見計らって、キミは絶頂を迎える」


オブラートに包んだ表現、サンクス。


「そして、それからキミはだいたい1分後に賢者タイムに突入するわけだ」


「時間を計ったことは無いけど、まぁ大体そのくらいの時間かなぁ」


「そこでキミはこのスマホに入ってるアプリ『Tikka Tokka』を使って時間を1分だけ戻すんだ……」


何だかどこかで聞いたようなアプリだな。

ま、この際、アプリ名なんてどうでもいいか。


「すると、どうなると思う?」


「賢者タイムの前に戻れる……と」


「その通り。しかもキミの頭の中からは、時間を戻した分の記憶が消えている。つまり、望むならキミは何度でも、彼女と初めての絶頂を迎えることができる」


オブラートに包んだ表現、二度目でサンクス。


「別の言い方をすると、キミは彼女の中で無限に射精できる」


……あ、やっぱ、さっきのサンクスは取り消しで。


「要するに、無限に快楽をむさぼる事ができるというわけだ」


「なるほど……」


「他には例えば、A5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキを一口食べるとする。そしてそれを口の中でゆっくり味わって飲み込む。こたえられない美味(うま)さに、キミは満足感で包まれるはずだ」


俺は無意識に、ごくり、と生唾を飲み込んだ。


「そこでこのスマホに入ってるアプリ『Nikka Bokka』を使って時間を1分だけ戻すんだ。するとどうなるか」


いつの間にか、スマホのアプリ名が工事現場の作業着みたいになってんな。


「もう一度、A5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキが食べられる、と……」


「いや、一度だけじゃない。これを繰り返せば、キミはA5クラスの和牛の霜降りサーロインステーキを無限に食べることができる。『いきなりステーキ』どころの話じゃない。『いつまでもステーキ』だ」


そんな店、速攻で潰れるだろ。


「どうだい。こんな素晴らしいスマホ、たとえ100万円でも決して高い買い物じゃないはずだ。しかも、それが今なら49万9980円だ!」


細かく刻んできたな、おい。

もうそこは50万円でいいだろ。


「どうだ、買わないか?」


「うーん……」


「これだけ安くしてもまだ買わないって言うのか。このしみったれ野郎!」


なんで急に口が悪くなってんだ、この人。


「いきなり時間が戻せるなんて言われても……すぐには信じられないよ」


「まだ俺の話を疑ってるのか。なら今回だけ特別に、お試しサービスを無料で付けようじゃないか。そしたら効果を実感できて、キミの疑いも晴れるだろうからな」


まぁ無料ならいっか。

気に入らなければ、買わなきゃいいだけだし。


「じゃあ今だけ特別に俺のスマホを貸してやる。ここに『Ryukku Sakku』アプリのアイコンがあるから、それをタップしてみろ」


ん? またアプリの名前が変わってないか?

何だよ、リュックサックって。

ピクニックか。


ま、どうせ買う気なんて無いから気にしないけどさ。


「分かった。こうか?」


言われるがままに、俺はそのアイコンをタップした。

一瞬、頭の中がクラッとするのを感じた……。



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



「え? 時間が戻せるスマホ?」


「そうなのよ。あそこの二人、さっきからずっとスマホのアプリで時間を戻すとか、そういう話を延々と続けてるの。ちょっと気味が悪くって……」


「たぶん、しつこいキャッチセールスにでも捕まっちゃったんでしょ。そんなスマホのアプリなんて、あるはずないのにね」

読んで頂き、ありがとうございました。

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