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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

急降下狂想曲

作者: 座頭

 第2次世界大戦時のドイツ そこには伝説的な飛行機がいた 【ju87 スツーカ】 急降下爆撃機の中でもソ連兵からはタンクキラーとして恐れられた。その独特の風切り音は 【悪魔のサイレント】 と呼ばれ恐れられた


 スツーカは倉庫にいた。きれいにレストアされた機体だ。スツーカは80年前にドイツが降伏して以来、この家の主人に倉庫に運び込まれた。自分の仕事は終わった、あとはこの倉庫で余生を過ごそうとスツーカは考えていた。

 2022年、ロシア軍がウクライナへと侵攻を開始した。主人は毎日スツーカを点検していた。スツーカもそれに身を任せていた。

 主人はある日、倉庫からスツーカを運び出した。私は来たるべき日が来たんだと悟った。80年ぶりの太陽は眩しくて、残酷なほど暖かった。スツーカにガソリンが入ってゆく、その鉄の心臓に血が入ってゆく。鉄の心臓は少しずつ鼓動を強めてゆく。スツーカは飛び上がった。80年ぶりの空だった。

 地上は泥と血と硝煙でむせ返るような匂いだった。戦車に攻撃を仕掛ける。3.7cm機関砲が火を吹く。でも戦車は壊れない。敵の戦闘機がやってきた。とにかく上昇する、あの太陽へと登ってゆく。







 反転する。スツーカは最後のサイレンを鳴らした。地上にその音が、80年ぶりに響いた。そのまま突っ込んでゆく。戦車へと、体当たりを仕掛ける。





そのサイレンは、爆轟とともに消えた。

最後のスツーカは戦車を巻き込んで死んだ。

そのサイレンを聞いた兵士は言う どんな英雄よりも勇ましく、どんな言葉を選ぼうと表せない程の悲しい音だったと。

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