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君の足指 僕 色ぬって・・・。  作者: 天ノ風カイト


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11/27

お茶会 と お勉強会

ベッドの上で『にじり寄る』藤谷。

僕は藤谷のポテチを独占しながら、彼の次の動きを予想した・・・。

次の手の準備は、僕には出来て居たのだった。


 ベッドの上から、虎視眈々(こしたんたん)と、僕が抱える『自分の物である筈のポテチ』を狙う藤谷。

彼は、ベッドの上から尻を前に滑らせ、そこから手足を支えにしながら、滑り込む様に座布団に座った。

その動きを見た僕は(あれ?足の捻挫は?)って思った。

意外と動けるなって・・・。


「それ・・・僕のだけど。」

そう言った藤谷は、こっちを見てなかった。

窓を見てた。

「そうだったか?」

僕はそう言って、袋から出した1枚のポテチを摘まんで、悠々と自分の口に運んだ。

そして、パリパリとこれ見よがしの音を立てながら、藤谷を見た。

藤谷は尚も窓を見ながら「僕がオヤツをあげようか?って言ったのに、何で君が独占してるの?」と言った。

「独占なんてしてないよ?」と僕は、次のポテチをどれにしようかと、袋の中を覗いた。

(大きいのがある。)僕は次の狙いを定めた。

「どう見ても独占してるじゃない?」そう言った藤谷は、ここで僕を見た。

「僕がポテチの袋を開けても、近寄って来ないから、嫌いなのかと思った。」と言いながら僕は、大きなポテチを摘まんで出した。

「それ、僕の。」と藤谷。

「確かに、そうだ。」と、僕。

「僕の。」と言って、藤谷は僕の摘まんでるポテチを摘まんできた。

「そんな事したら、ポテチがどうなっても知らないぞ。」

「だったら、離せば良いんじゃない?」

「強引なヤツだなぁ・・・割れても良いのか?」

「どっちが強引だって言うのさ。」

「そんなに食べたいなら、袋から取ったら?」

「それが食べたい!」

「なんだそれ!?」

「良いから、離してちょうだい!」

「『離して』『頂戴(ちょうだい)』って、そんな意味だったのか?」

そう言った僕は藤谷に根負けし、ポテチから指を離した。

藤谷は、僕から奪い取った大きなポテチを、僕の顔を見ながら満足そうに・・・そして割らないようにしながらも、強引に口に入れた・・・。

(袋の中のポテチと何が違うんだ・・・。)って、僕は思いながら、独占してたポテチの袋をテーブルの上に置いた。

藤谷は最初の一枚のポテチをじっくりと味わって・・・飲み込むと、何故か笑顔になった・・・。

それから藤谷は、テーブルの上のポテチの袋を手元に寄せると、楽しそうにして袋の中のポテチを食べ始めた。

藤谷が出すパリパリという心地好い音を聴きながら、僕は、ご機嫌の様子の彼のコップに、コーラを注いで上げた。

「ありがとう。」そう言った藤谷は、とても満足そうにして居た。

(やっぱり、裸の王様かなぁ・・・。)って僕は思った。

「裸の王様じゃ無いよ。僕は。」

藤谷の言葉に(藤谷は僕の心が読めるのだろうか!?)と、僕は思った・・・けど・・・「そんな事、思って無いから心配するな。」って、僕は言って誤魔化した・・・。

「それなら良いけど。」そう言った藤谷は「今日は、ありがとう・・・色々と。」と、付け加えて言った。

僕は「ああ。でも、こんなにオヤツが出されるとかは、期待して無かったけどね。」と言って、コーラを一口、飲んだ。

すると藤谷が「これから、どうしようか?」と、言った。

僕は「オヤツを食べるぞ。」と答えた。

「その後に、何かしようかって事。」

「何かって・・・?」

そう藤谷に聞いた僕は、ちょっとドキドキとしてきた。

「僕達って、高校生でしょ?」と、言って藤谷は僕にポテチの袋を向けた。

僕は、そこから数枚のポテチをまとめて取った。

藤谷は「高校生にもなったら、新しい事を沢山知らないといけないと思うんだぁ・・・。」と言って、僕の方に顔を寄せて来た。

近くで見る藤谷の顔は、クラスの女子に「女の子の化粧をすれば、きっと凄く似合う!」と言われるだけの事があると、僕も思ってしまった・・・。

だからドキドキして、彼の次の言葉を待った。


「では、この辺で・・・お勉強、しない!?」

「は?」

「二人で一緒にお勉強をしたいなぁ。」

「確かに、さっき藤谷はそう言ってたし、僕も藤谷の部屋(ここ)に来たけど・・・。」僕はそう言って、正直、これからここで二人で勉強とか・・・『めんどくさい』なぁ・・・って思った。

それで「勉強なんて学校でするか、一人でするか、塾にでも通ってやるんじゃないの?」と、何とか誤魔化そうとした。 

しかし、そのせいで藤谷との会話は、僕の想わぬ方向へと流れて行く・・・。

「僕は普段は一人でお勉強してるけど、たまに眠くなったり・・・勉強してる事の意味が分からなくなって、急に疲れてヤル気が無くなっちゃったりするんだよねぇ・・・。」

「大体、(みんな)そんな感じじゃないのか?」

「でしょ?だから僕は、週に2回ぐらい図書館んって・・・市立図書館ね。に、行ったりしてるんだよね。」

「藤谷は、毎日、シャワーに入ってからリラックスして、それから部屋で勉強するのがルーティーンだったんじゃないのか?」

「夏以外は大体そうだよ。」

「今日は夏で、今後暫くは夏だけど。」

「だ・か・ら・だよ!」

(何が、だ・か・ら・なんだ?)

「僕は好きで図書館に通ってる訳じゃ無いんだって事!」

「意味が分からない。」

「地球温暖化防止と、藤谷家の家計援助の為に図書館に通ってるの・・・暑い中・・・無理して。」

「だったら、それで良いから続ければ良いんじゃ。」

「言ったでしょ。『無理して』って・・・。」

僕はこの家からなら、市立図書館までなら、徒歩で片道15分程度かなって思った。

だから「そんなには、遠くないと思うけど?」と、思ったまま言った。

藤谷は「暑い中で下校して、家を通り越して図書館だよ!?」と、何でか語気を強めた。

でも僕は「そんなに辛くは・・・。」って、良いかけたら。

「辛いの!」と、藤谷が迫った。

僕はちょっと体を引いて「そうなのか・・・?」(さっぱり分からない。)と、なった。

「そこで、提案。」そう言った藤谷は、急に笑顔になった。


そして。

「これから、週に数回で良いから、僕と、ここで一緒にお勉強しよ?」

と、訳の分からない強引な誘いをしてきた。


藤谷の言葉から、僕は(週に数回って事は、1~2回って事か・・・。)って思った。

しかし、それでも面倒だと思った僕は「藤谷は、地球温暖化と家計援助が目的なんじゃ?」と、言った。

「家計援助はあきらめて、地球温暖化にだけ貢献する。」

「それも、変じゃ・・・。」

「それでも、一人でエアコンを使うよりも、二人でエアコンを使えば、いくらかエコでしょ?」

(なんだ?その屁理屈は?)って、僕は思った。

「だって、君だって家に帰ったらエアコンを使うんじゃないの?」

「いや・・・(うち)は、母さんが僕よりも先にパートから戻って、1階でエアコンを使ってるし、だから僕はいつも、1階のリビングで宿題を片付けてるから。だから・・・」

「じゃあ。僕を助けるって思って、一緒にお勉強して欲しい・・・。」

僕は(さっきの地球温暖化の話しとかは、本当に何だったんだ?)って思った。

「それに。」と言って、藤谷は更に寄ってきた。

「まだ何かあるのか?」僕はそう言って(まだ部屋が暑いのに、なぜそんなに近寄って来るのか?)って思った。

身体ごと近寄った藤谷は僕の目を見て「成績は、僕の方が全て上だよね?」と、ちょっと勝ち誇った顔をした。

僕は、一瞬(うっ!)ってなったが「そんな事は無い。体育と、音楽は僕の方が上じゃなかったか?」と、彼に勝ってる成績を言った。

藤谷は右上を見ながら「体育は認める・・・今日もアレだったし・・・。でも、音楽は同じだったよ。」と、最後の方は、また僕の目を見てきた。

「そう・・・だったかな?」と言った僕だったが、藤谷が言うならそうなのだろうと思った。

それは、僕は藤谷の成績表を見せてもらった事は無かったが、僕の成績表は、何故かクラスメイトに公開してたからだった・・・。

そこで『ウン』と頷いた藤谷は「そうなんだよ。」と、胡座(あぐら)をかいて座る僕の膝に、自分の膝をくっ付けてきた。

僕は、同時に起こる色々に気を取られ(・・・。)ってなってしまった・・・。

すると藤谷は「だ・か・ら・僕と一緒にお勉強をすると、君の成績が全体的に上がるって事になると思うんだ。」と、自信満々な感じで言ってきた。


僕は、少し考えた・・・。

藤谷がどうして僕とそんなに一緒に勉強をしたいのか分からないが、思えば、彼は部活をしてないし、僕も今は何もしてなかった。

僕らの通う高校は、生徒全員が部活に入らなければ成らないとか、そうした決まりは無かったのだ。

特に進学校だった訳でも無かったが、それなりに大学を目指す生徒が殆どであり、藤谷はクラスでは上位で、学年でも上位に近い成績だった・・・。


迫る藤谷を前に、僕は目を閉じて「う~~~ん・・・。」っと唸りながら、腕を組んだ。


これは、案外(僕にとっては良いこと尽くめの提案がされてるのでは?)と、思ったからだった。


僕のそんな様子を暫く見てた藤谷だったが「君も意外と優柔不断だなぁ・・・。」と、僕の方に寄せてた顔を離した。

僕に対して、そんな勝手な落胆をする藤谷の言葉に僕は目を開け「僕は柔道をやってたから、『優柔』は褒め言葉かな。『不断』はアレだけど・・・。」と、言った。

「難しい考え方をするんだね、君は。」

「ちょっと前に、優柔不断の言葉の意味をスマホで調べてた、だけだけどね。」

「大抵の人はそんな風に、優柔不断の意味を調べようともしないよ。」

「そうかな?」

「うん。そうだよ。君は、良い指導者が居れば凄く伸びる子なんだよ!きっと・・・。」

「何で断言した後に、語尾の音程が下がった?」

「それは、僕の確信が現実になるには、君の努力と協力が必要だからだよ。」

「つまり・・・?」

「僕と一緒にお勉強すること!」

「何か堂々巡りな会話だな・・・。」

「じゃあ。堂々巡りついでに・・・。」と言って、藤谷は僕の爪先を、自分の爪先で突っついてきた。

そして。

「オヤツも付けるからどう?」と、言った。

僕は思った。

今、この部屋はエアコンが効いてきたので、涼しくて快適になっている。それにオヤツもある。そして、藤谷が言う「一緒にお勉強」の材料である、教科書や、宿題の問題が入ったカバンもある・・・。

(それなら。)と、思った僕は「今から一緒に勉強してみてから、今後を考えさせてくれ。」と、藤谷に言った。

藤谷は満面の笑みで僕に言った。

「ありがとう!じゃあ、ポテチで汚れたお手々を拭こうね!」


僕と藤谷は、部屋に置かれてるウエットティッシュで手を拭いた。

それが二人の、お試し勉強会の始まりだった・・・。


今日も授業で数学があった。そして、宿題の問題も出されていた。

僕は帰宅してから、それをやる予定だったが、それを藤谷と一緒に、ここでやるのだ。

ローテーブルに乗せられてたオヤツ達は、いきなり主役の座を奪われ、フローリングの床の上に追いやられた。

ただ、2つの空のコップを残して・・・。


 長方形のローテーブルに合わせ、僕と藤谷は向かい合って座った。

僕が座布団を移動して、窓を背にして座ったのだ。

思えば、放課後に誰かと一緒に勉強をするなんて、したことが無かった。

漫画やアニメや何かでは、中の良い女の子同士が集まってしてたりする話があるが、あれが現実にあるのかどうかも、僕は知らない。

だから、藤谷と向かい合って、教科書や問題のプリントをテーブルに並べてる段階で、僕は少しワクワクとしてきた・・・。

(勉強なんて、面倒くさい事を始めようとしてるのに、ワクワクする事があるなんてね・・・。)と、思った僕は、とりあえず、プリントの問題に目を通した。

取り敢えず、分かりやすい問題は無いかなと、思ったからだ。

しかし、藤谷は違ってた。


「ちょっと、待って。」と言って、僕の頭の上を見た。

僕は、そこには壁掛け時計があったの思い出した。

「何で?」と、僕。

「こんなのは、ダラダラやっても仕方無いんだよ。」

「そりゃ・・・(わか)れば直ぐに終わるだろうけど?」

「解らなくても、これをテストだと思ってした方が良いんだ。」そう言った藤谷は続けて「解らなそうな問題は、後にして、解りそうな問題に手を付けるのは知ってるね?そうやって全部の問題を見終えてから、難しい問題に手を付ける。残り時間が少なくなったら、解いた問題の再確認をして、時間となる・・・って感じでやるんだよ。」

「それじゃあ、まるで、本当のテストだな・・・。」

「そうだよ。教師の作った問題を利用して、自分で自分をテストをするんだよ。」

「だけど、このプリントには解答時間の指定とか書いてないけど、どうするの?」

「そんなの、今の数学教師の問題の出す傾向と、このプリントをざっと見たら、大体の目安は直ぐに出せるよ。」

「そうなのか?じゃあ・・・このプリントの制限時間は?」

「35分。」

(ハッキリ言うな・・・。)「・・・まあ・・・試しにやってみるか・・・。」

「うん。僕の方からしか時計が見えないから、スタートと、途中の時間と、終わりは、僕が口で伝えるよ。」

「それなら、僕が自分のスマホの時計を見れば良いんじゃ?」

「スマホはちゃんと設定してないと、画面に色んな通知が出て気が散るでしょ?」

「まあ・・・そうかな・・・?」

「それに、君だって知ってるでしょ?」

「?」

「本当のテストでは、スマホなんて机に置くことが出来ないって。」

「・・・」

確かに・・・藤谷の言う通りだった。

そして藤谷は、シャーペンを使うのも許さなかった。

鉛筆を使えと言うのだ・・・。

僕は筆箱から、なけなしの鉛筆2本を取り出して、机に置いた。

鉛筆の先の尖り具合はまあまあだった。

「じゃあ・・・2分前ね?」

「お・・おう。」

僕は藤谷に素直に従った。

少なくとも藤谷は、彼より低い僕の学力を引き上げようとしてるのは間違いない、と思ったからだった。




 つづく


つづく!

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