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第九話 ジパングという所に辿り着き、いととおし・その四

【登場人物】


ヴィオラ・ディフォルツァ

主人公。金髪碧眼だが、一筋だけ黒髪が生えている。

オンミョージという謎の天職を持つ。


ヨーリ

ヴィオラのペット。「ぽーん」となく。変身することが出来る。


ゲンブ・ツルバミ

黒髪長身。礼儀正しそうなサムライさん。


ヤスケ

黒髪。騒がしいシノビさん。


イガロ

ツルバミ冒険者ギルド支部長。小柄で厭らしい笑みを浮かべる横暴な男。


 冒険者ギルドの中は静まり返り、皆私を見ています。


 ジパングの服を着た黒髪の冒険者もチラホラいますが、外の国から来た冒険者が多いですね。受付の職員は何が起きたか分からずオロオロと。そして……。


「お、おい! なんのつもりだ!?」


 私が関節を極め、首筋にナイフを当てたせいですっかり弱気になったブランが叫びます。


「なんのつもりかは置いといて」

「置くな置くな置くな!」


 説明するのも面倒です。私は後ろで控えて下さっていたゲンブ様達に目配せをすると、ゲンブ様は頷き、配下の者に指示を出してくださいます。


「まさかナイフを隠し持っていたとは……」

「申し訳ございません。どうしても身を守るものが手元にないと不安で」

「いえ、それはそうでしょう。それにこのように治安も良いとは言えないので」


 配下の方にブランを引き渡していると、苦笑したゲンブ様が近寄って来られます。


「おい! お前らジパング人が偉そうにしてんじゃねえぞ! お前らなんて俺達冒険者あってのことなんだからな!」

「主語が随分と大きいですわね。なるほど、では、ここにいるジパング人以外の冒険者達は皆、そう考えていると良いのでしょうか?」


 ジパングの方に拘束された途端強気で出るブランの言葉に対し、私は周りを見回しながら問いかけます。ですが、ブランに同調する者は彼の仲間以外はいないようです。

 まあ、貴族然とした上にブランを押さえたA級の登場で、強く出れない、不安になっている者がほとんどのようですが。


「いや、やめてくれ。こんな馬鹿と一緒にしないで欲しい」


 その時、一人の冒険者が手を挙げ、声を発します。

 赤髪で金色の瞳、軽鎧を着た顎髭を少し生やした男性が立ち上がりこちらにやってきます。


「あなたは?」

「リグってもんだ。ルーシア神聖国から派遣隊としてやってきた。冒険者ギルドってのは、本来国を助け、国に助けられるもんだ。それに、冒険者なんてゴロツキが飯食えてるのは国のお陰だ」


 どうやらこの方は話が早いようです。それに随分お強い様子。

 そして、この言葉に理解を示しているような冒険者が数組。なるほど。


「良かったですわ。では、ちょっと風通しを良くしたいので、彼の言葉が分かる方はご協力いただけないかしら? ああ、抵抗したい方はどうぞ」


 私は、静かに圧をかけ微笑むと、皆押し黙ってしまいます。

 あらまあ、やはり、グロンブーツ王国の貴族の皆様の方がよほど面倒でしたわね。


「では、イガロと彼が今隠そうとしている証拠を探しましょうか」


 私がそう言うと、ブランは笑います。


 もう間に合わない。そう言いたそうです。

 そして、タイミングよく奥から


「隠そうとしている証拠? そんなものはありませんがなあ」


 イガロがやってきます。

 額には汗が浮かんでいるようですが。


 イガロに対する他の方の距離感や感情をはかります。

 別に全員がイガロに完全に従っているわけではないようなのでほっとします。

 そんな事になれば、本部から【死神】がやってきますからね。


「まあ、何か探したいのであればご自由にどうぞ!」

「話が早くて助かりますわ」


 私はにこりと微笑むと、ゲンブ様から先ほどもお借りした式盤を手に持ち、魔力を込め始めます。


 式盤と呼ばれるその魔導具の力は、馬車の中で説明を受け、おおよその推測が出来ていました。感情の発露に混じる魔力痕等を含めた魔力を探知する魔導具のようです。

 なので、これを介して感じるイガロの魔力。それを強く帯びている存在をじっと空間全体に目を凝らすという矛盾染みた感覚で視ます。

 すると、ぼんやりと式盤に貼り付くような泥のような色の光が浮かび上がります。


「なるほど、隠し部屋が地下にあるようです。では、遠慮なく」

「なああああああああああああああああ!?」


 イガロの間抜けな声が響き渡る中、私達は冒険者ギルドの奥へと歩いていきます。

 これで、多少はマシになることでしょう。

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


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