第八話 ジパングという所に辿り着き、いととおし・その三
【登場人物】
ヴィオラ・ディフォルツァ
主人公。金髪碧眼だが、一筋だけ黒髪が生えている。
オンミョージという謎の天職を持つ。
ヨーリ
ヴィオラのペット。「ぽーん」となく。変身することが出来る。
ゲンブ・ツルバミ
黒髪長身。礼儀正しそうなサムライさん。
ヤスケ
黒髪。騒がしいシノビさん。
サヤ・ツルバミ
ゲンブの妹。お姫様。
「まあ、素敵な所ですね」
私の目の前にはツルバミの都が広がっておりました。
ゴウラさんとはなんとかコミュニケーションをとり、また明日お会いし、話をすることになりました。そして、森を抜けて馬車を走らせしばらく経つと、大きな黒い壁に囲まれた見たこともないような建物が立ち並ぶ街に辿り着きました。
中には、真っ黒に焼かれたのではないかというくらい黒い壁の建物が並んでいました。
「あれは、魔墨と呼ばれるものを建物に塗っておりまして、見張りも見逃すような小さな魔物を寄せ付けないようにしているのです」
サヤ様が建物を手で指しながら教えてくださいます。
なるほど魔力を帯びた塗料で弱い魔力しか持たない魔物が近寄れないのですね。
オフダに書かれた模様も同じものでしょうか。
「さて、すぐに屋敷にお連れしたいところですが、その前に冒険者ギルドでよろしいのですね?」
「ええ、あのイガロとかいうのが色んな証拠を消す前に、取り押さえたいので」
馬車の中で、ゲンブ様に聞かれ、私はすぐさま答えます。
「しかし、ヴィオラ殿が、冒険者、しかも、Aランクであったとは……」
「飽くまで貢献度Aクラスであって、能力的には、B、もしくは、Cですわ」
「あの……貢献度Aと普通のAは違うのですか?」
サヤ様が遠慮がちに小さく手を挙げながらこちらに聞いてこられます。
「そうですね、冒険者クラスというのはご存じかとおもいますが、FからSまであり、基本的に戦闘能力での評価となります。ですが、冒険者ギルドで依頼される内容は戦闘だけではありません。なので、戦闘以外の様々な種類の高難度依頼をこなした冒険者には貢献度に合わせたランクが与えられたりするのです。私は、戦闘能力はそれなりですが、まあ、家の事情から色んな技術が鍛えられておりまして」
「なるほど……ですが、先ほどの体捌きを見る限り、実力もあるように思いますが……」
「体術というか一通りの武術は身につけておりましたので。ですが、私は、魔法の技術が全くなかったので……」
「魔法の技術が全くないというのが驚きですね……あれだけ凄い炎を巻き起こしていましたのに……」
ゲンブ様とサヤ様に褒められ悪い気はしません。
ですが、本当に『魔法』は使えなかったのです。
「答えはもう出ているようには思いますが、まあ、後でしっかり調べましょう。屋敷に戻れば、はっきりすることがありますので……」
ゲンブ様がそう言っていると、馬車が止まります。
「どうやら、着いたようですね」
馬車を降りると、ツルバミの都の景色に馴染めていないグロンブーツ王国でも見たことのある建物、冒険者ギルドが目の前にありました。
見ると、イガロが慌てて中に入っていきます。
「わたし達も行きましょうか」
冒険者ギルドの入り口を抜けると、突然大柄の男たちが目の前に立ちふさがります。
「やあ、あんたAランク冒険者なんだってな。俺は大斧のブラン。まあ、仲良くしようや」
「よろしくお願いいたします。まあ、積もる話は置いといて」
「いやいやいや!」
私がブランとか言う方達と挨拶を交わし奥に向かおうとすると、ブランとか言う方が止めてきます。
「なにか? 急いでるのですが」
「随分な挨拶じゃねえか。こっちは丁寧に挨拶してんのによ」
「私をAランクと知ってる、イガロから話を聞いてる、なのに、立ちはだかる、つまり、イガロと繋がってる。以上考察、間違いないですか?」
そこまで一息で言いきるとブランは、私に掴みかかろうと襲いかかってきます。悪手ですね。
私は、掴みかかろうとしたブランの手から小指を握り、思い切り捻り、そのまま、手首に切り替え、腕を捻り、ブランを半転させ、彼の仲間と私の間にブランを挟み、更に、スカートの下からナイフを取り出し、ブランの首筋に当てて微笑みます。
こういう手合いは何度も相手にしていますからもう反射ですわね。
「もう結構かしら? そろそろ宝探しを始めないと。私、せっかちなので」
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