第四話 オンミョージという謎の天職で追放、いとわろし・その四
【登場人物】
ヴィオラ・ディフォルツァ
主人公。金髪碧眼だが、一筋だけ黒髪が生えている。
オンミョージという謎の天職を持つ。
ヨーリ
ヴィオラのペット。「ぽーん」となく。変身することが出来る。
ツルバミ・ゲンブ
黒髪長身。礼儀正しそうなサムライさん。
ヤスケ
黒髪。騒がしいシノビさん。
「ヤスケ、お前は、先に行って、さやを守ってやってくれ!」
「は!」
ヤスケと呼ばれたシノビさんが素早い動きで姫様のいるであろう方向へと跳んでいきます。
ゲンブと名乗ったサムライさんはこちらに振り向くと、その美しい黒い瞳に私を映し、
「申し訳ありませんが、我々と一緒にお越し頂けませんか!? あなたの力をお借りしたい!」
「勿論です! 困っている人を見過すことなど出来るはずがありません!」
私の声が大きすぎたのでしょうか。
ゲンブ様は、目を大きく見開き固まっていらっしゃいます。
「あ、あの……ゲンブ様?」
「あ、あはははは! 失礼しました! あなたは、素晴らしい女性だ!」
ゲンブ様は急に笑い出し、私を褒め始めます。
その声はとても優しくて、ついつい照れて頬が熱くなってしまいます。
「あ、あの……! 急がねば!」
「そうですね……! あなたの……そう言えば、お名前は?」
「失礼しました。私、ヴィオラ・ディフォ……いえ、ただのヴィオラですわ」
私は追放された身。家名を名乗るわけにはいきませんわね。
そう考えているとゲンブ様も察してくれたのでしょう。少し厳しい目をされて、
「……なるほど。分かりました。では、ヴィオラ殿とお呼びします」
「ありがとうございます」
「で、ヴィオラ殿の服は走るには不向き。馬でも調達できれば……あの、そちらの化け狸殿は馬に変化することは……」
ゲンブ様はヨーリの方を見て仰います。が、
「残念ながら、ヨーリは自分より大きなものには化けることが出来ません」
「ぽぽーん……」
ヨーリが悲しそうに泣いているので私はヨーリのお腹を撫でて慰めます。
「そう、でしたか……そうだ! ヴィオラ殿は陰陽師と仰いましたね! 擬人式は使えませんか?」
「ギジンシキ?」
「さっきの札のような特別な紙を使い、魔力の馬を作り出すのです。ヴィオラ殿は陰陽師について詳しくないご様子ですが、魔力はありますし、もしかしたらと……それ専用の紙はここにあります」
ゲンブ殿は背負っていた箱のようなものを開くと、不思議な文字が書かれた紙が大量に入っておりました。
「色々互いに知った方が良いとは思いますが。置いといて。やれるだけやってみましょう!」
「はい! では、これを! これは【馬】の式紙です! これに魔力を!」
【馬】と書かれているらしい紙には、その文字を囲むように星形の模様と文字。
恐らく四大属性のようなものでしょう。ですが、私には、この模様の配列の方がすっと自分の中に溶け込んでいくような感覚を覚え、気付けばまた魔力を流し込んでいました。
― さあ、ゆこうか。私の血とあの魔女の血を結ぶ ―
声がどこからか聞こえてきます。
これは、紙を通じて?
― 私のかわいい娘よ ―
「な……!」
声に話しかけようとした瞬間、紙から光が溢れ、そこには……。
「お、おおおお! なんと美しい白馬!」
真っ白な光を帯びた馬が現れたのです。
「ヴィオラ殿! 流石です! 貴方こそ、我々の待ち望んでいた救世主様だ!」
「もういっぱい聞きたいこと考えたいことはありますが、それはひとまず置いといて!」
私は、スカートの裾を引きちぎり馬に乗りやすい丈にし、髪を纏めると、ヨーリを呼び寄せ馬に飛び乗り、先に乗っていたゲンブ殿の腰に手を回します。
「今は、行きましょう! 救うべき人の元へ!」
再び私が魔力を込めると、輝く白馬は嘶きながら、風の如き速さで駆け始めるのでした。
お読みくださりありがとうございます。
明日辺りからペース上げて連載して行けそうです汗
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