第二十六話 カナボウという敵をぶっ潰す武器、いとおもし
【登場人物】
ヴィオラ・ディフォルツァ
主人公。金髪碧眼だが、一筋だけ黒髪が生えている。
陰陽師の才能を持つ。
ヨーリ
ヴィオラのペット。「ぽーん」となく。変身することが出来る。
ジパングに来てバケダヌキという種族であることが判明。
ドウラン・アリマ
ツルバミの陰陽師。いずれツルバミの地に救世主が現れると予言していた男。
日焼けした肌、顎髭があり、触るのが癖。
ゴウラ
鬼人族の男。赤い肌と額に一本の角。
リンカ
鬼人族の女。赤肌で二本の角を生やしている。
私達は、小鬼を操っていたであろう人物を追って鬼人の里を飛び出し、再び白馬を呼び出し。ヨーリの魔力を式盤で追っていきます。
「やっぱりそうだったか……」
「ええ……。恐らく、小鬼を操り、鬼人の里を襲った黒幕が居ます。ヨーリには深追いをしないよう言ってはありますので、大丈夫だとは思いますが。それより、何故、ゴウラさんやリンカさんと普通に会話出来ているのでしょうか?」
私が目を覚ました時から、ラデンさんのように流暢に話していました。
「それがな……リンカ殿曰く、お前さんが『シュカ様』の生まれ変わりなんだそうだ」
「シュカ、様……?それは……」
「ワタシ達、鬼人の里の長だ。シュカ様の生み出す炎は呪いを焼き殺す聖なる炎だったのだ」
私とドウラン先生の会話にリンカさんが入ってきます。その目は輝いていて、私をじっと見つめています。
「えーと、何故? そのシュカ様の生まれ変わりだと思ったのですか?」
「アンタの身体から溢れた白い炎がワタシ達一族の呪いを焼いてくれたのだ」
白い炎。それは、私が包まれたあの炎のことでしょうか。
「シュカ様が持つ炎の一つだ。邪を焼き払う神聖な炎。それをアンタが使った。そして、その炎の中で、ワタシ達は見たシュカ様のお姿を、そして、仰ったのだ。『支えろ』と。そして、シュカ様のお姿が消えた時、アンタがいた」
「つまり、その……私の身体から出た炎が、鬼人族の皆さんを呪縛から解いたという事ですか……?」
「そういうこったろうよ」
「そんなことが……」
「あるんだなぁ、これが」
「信じられないかもしれないが、事実だ」
リンカさんの言葉にドウラン先生も苦笑を浮かべながら同意していらっしゃる。
「その呪縛というのは、もしかして……」
私がリンカさんを見ると、しっかりと頷いて笑う。
「言葉の呪いだ。元々シュカ様の時代では、鬼人族は只人と話が出来ていたという話だった」
そう、それは気になっていたところでした。
グロンブーツ王国では、鬼人族とは話が出来ていました。
てっきり、私は、長きに渡って交流を断絶してしまった為に、言語体系そのものが違えてしまったのではないかと思ったのですが……。
「呪いによって言葉が封じられてしまったと」
「そう考えるのが妥当だ。白い炎で消えた以上は呪いだろう。」
「……参りましたね。もしこれが全て繋がってしまったら、思った以上に根が深そうです」
私は溜息を吐きながら走り続けます。
「だな。やれやれ、ゲンブ様も大忙しだぜ、こりゃあ」
ドウラン先生は頭を抱え、リンカさんは理由が分からず首を傾げます。
「まあ、ひとまず置いておきましょう。あっちですね」
私は、式盤が指し示す方向を指さし、進路をやや東にズラします。
「この先に、小鬼共に鬼人の里を襲わせたヤツがいるんだな」
「あー、居てほしいような、居てほしくないような……」
「……ドウランは何を言っている?」
リンカさんがこちらを見てきますが、そうですね、リンカさんにも説明しづらい事なんですが……。
「恐らく、敵は……」
そう言いかけた時、金属がぶつかる甲高い音が響き渡ります。
「急ぎましょう!」
私は白馬に魔力を込め、更に速度を上げ進みます。
音の聞こえた方へと駆けて行くと、ひらりと敵の攻撃を躱すヨーリと、
「あーあ、やっぱりかあ」
「な……! アイツは……!」
ドウラン先生が大きな溜息を吐き、リンカさんが眉を寄せ睨みつけた先には、
「うぎゃあ! この、バケダヌキ! うっとおしい! とっとと私の刃の錆となれ」
黒衣の陰陽師が【金】のオフダを構え叫んでいたのでした。
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