第二十一話 オニと呼ばれる一族襲われ、いとうし
※若干の修正を加えました。
餓鬼=ホブゴブリン 小鬼=ゴブリン
本作では今後このような設定となります。宜しくお願い致します。
【登場人物】
ヴィオラ・ディフォルツァ
主人公。金髪碧眼だが、一筋だけ黒髪が生えている。
陰陽師の才能を持つ。
ヨーリ
ヴィオラのペット。「ぽーん」となく。変身することが出来る。
ジパングに来てバケダヌキという種族であることが判明。
ドウラン・アリマ
ツルバミの陰陽師。いずれツルバミの地に救世主が現れると予言していた男。
日焼けした肌、顎髭があり、触るのが癖。
ゴウラ
鬼人族の男。赤い肌と額に一本の角。
「こいつは、ひでえな……」
思わずドウラン先生がうめき声のような声をあげます。
辿り着いたゴウラさん達が暮らす鬼人の里では、小鬼の死体の山、血の海が出来上がっていました。
そして、その上で大量の小鬼達がわらわらと一番大きな屋敷を取り囲み、襲い掛かってしました。
明らかに強いのは鬼人族の人たちでしたが、あまりにも強烈な数の暴力。
そして、我を失ったかのようにただただ戦い続ける小鬼達は狂っているようにしか見えません。
鬼人族の戦士たちの顔には濃い疲労の色が浮かんでいます。
「狡猾な魔物である小鬼があれだけおかしくなっちまってるとは……さて、どうしたもんかな。結界を張って態勢を立て直したいが、あの状況ではなあ……」
ドウラン先生が顎髭を触りながらじいっと屋敷を眺めていらっしゃるとゴウラさんは待ちきれないと言わんばかりに飛び出そうとします。
「お待ちなさい、ゴウラさん」
「みんな、しぬ! オレ、いかないと!」
ゴウラさんの気持ちも分かります。こうしている間にも、じりじりと押し寄せられているように見えます。
「……ドウラン先生、見た所、あの小鬼達は、正気を失っている様子。であれば、大きな餌がぶら下がっていればそちらに引き寄せられるのでは?」
私がそう言うとドウラン先生は、苦虫を噛みつぶしたような顔をしてこちらをご覧になられます。
「それは、あまりやりたくなかったんだけどなあ」
「ですが、結界は私の技術ではまだ不安です。適材適所でしょう」
「わーったよ。だが、ヨーリ、ゴウラ。コイツ等はお前に付ける。だから、ちゃーんとみんなで生き残れよ」
「ゴウラは、そちらに行った方が」
「まあ、話せばわかるって、そうだろ!」
ドウラン先生は、私の返事を待たず動き出してしまいます。
魔力の流れを読み、ゆらりと、屋敷の方へと向かって行きます。
「ああもう! ゴウラ! ヨーリ! 今からこちらに小鬼を呼びます! 覚悟なさい!」
「ぽーん!」
「わかった!」
私は、五行の流れを自分の中にしっかりと感じ、出来るだけ大きく身体の外へと放ちます。
その瞬間、不快な視線が一斉にこちらに集まるのを感じました。
小鬼達が振り返って、私の方へと一斉に向かってくるのです。
ドウラン先生はその群れの中をゆらりと歩いていきます。
ドウラン先生が躱しているのか、小鬼達が躱しているのか、流れる木の葉のように止まることなくドウラン先生が屋敷へと向かって行きます。
そして、それとは逆方向の激流がこちらへと。
私は、習いたての詠唱と共に【土】のオフダに魔力を込めて、術を放ちます。
「土茨」
私のオフダから放たれた魔力は土へと染み渡り、無数の土で出来た棘を小鬼達に向かってどんどんと生やしていきます。
その茨に胴体や足を貫かれ、小鬼共の動きを鈍くさせます。
そして、続けて右に持った【金】のオフダに込めた魔力を土の茨に流し、茨と小鬼の身体をくっつけ、左の【水】のオフダでそのまま身体を凍てつかせていきます。
「冷獄」
かなりの数の小鬼共が凍らせることが出来、その上を昇ろうとする小鬼共も手足がくっついてしまいまともに動けず、ほとんどの小鬼が戦闘不能になったようでした。
ですが、その手足がくっついた小鬼をも踏み台にして、三体の餓鬼がこちらに向かってやってきます。
まだ慣れない陰陽術を使ったせいか整わぬ息の状態で、私は必死に叫びます。
「ヨーリ! ゴウラ! 私が次の術を放つまで貴方達に任せましたよ!」
二人は私の前に進み出て、足に力を込めると飛び出していきます。
「ぽーん!」
「うが!」
バケダヌキと鬼人、三体の餓鬼が向かい合いぶつかり始めるのでした。
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