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第648話~マウントオブスピリットの神域への山道を征く~

 現在俺たちはオルトロスが開いてくれたマウントオブスピリットの神域への道を進んでいる。

 入り口から入ったのが夜だったので今は夜道を進んでいる。


 え?山のような狭い道で夜道を歩くの危ないんじゃないかって?


 それはそうなのだが、幸いなことに今夜は満月。足元は十分に明るいので山道を進んでも大丈夫そうだった。


 それにもう一つ付け加えておくと、ここの道は意外と広いので通りやすかった。

 大体うちの馬車二台分くらいの道幅があるので、これなら道を踏み外してがけ下に真っ逆さまということもなさそうだった。


「まあ、ここの道。最初のうちは確かに広いのですが、神域に近づくにつれ道幅が狭くなっていきますのでお気をつけください」


 オルトロスの話によるとそういう事らしいので、もう少し山奥まで進んだら注意して進もうと思う。


 と、ここまでは良かったのだが、山道を少し進んだ所で問題が発生した。


「銀姉ちゃん。お空から雪が降って来たよ」

「本当だね。きれいだね、ホルスターちゃん」


  山に入って少ししてから、馬車の窓から外を眺めていたちびっ子二人組がそんなことを言い始めた。

 御者台に座っていた俺とエリカにも子供たちの声が聞こえてきたので、俺も空を見上げてみる。すると。


「確かに雪が降って来たな。しかも結構な量だ。この分だと朝までには積もりそうだ」

「そのようですね。旦那様」


 結構な量の雪が降っていて、このままだと雪が積もりそうな感じだった。


 雪が積もると、当然通行しにくくなる。

 そうなっては困るので早速準備するすることにする。


「ヴィクトリア、出て来い!雪が降って来たから例の物を使うぞ!」


 俺は馬車の中のヴィクトリアに声を掛け、雪道を進む準備をすることにする。


★★★


「ヴィクトリア、寒いところ悪いんだが、雪に備えて買ってきた物を出してくれ」

「ラジャーです」


 俺の指示でヴィクトリアが収納リングから買ってきた物を取り出す。

 今回マウントオブスピリット攻略のためにいろいろ買ったが、とりあえず用があるのはパトリック用の馬装と馬車の車輪に巻き付けるチェーンだ。


 まずはパトリックに馬装を装備させてやることから始める。


「パトリック。雪が降って来たから寒くなって来ただろう?今から暖かいのを着せてやるからもう寒くないぞ」


 そうパトリックに優しく声を掛けてやりながら、買ってきた馬装を着せてやる。


 前にも言ったことがあると思うが、この馬装は馬の体全体を覆うような大きな物で、しかも魔力で動く暖房器具付きの物だ。

 これを買った馬具店の店主の話によると、とても暖かい物らしかった。


 実際、これを着せてもらったオアトリックは暖かくなったのが余程嬉しくなったのか。


「ブヒヒヒヒイイイン」


 と、多少興奮気味にいなないて、俺に顔をこすりつけてその嬉しさを伝えてきたのだった。

 そのパトリックの様子を見るに、この装備を買って本当に良かったと思う。


 さて、パトリックの方の準備が終わったので次は馬車の番だ。


「俺が魔法で馬車の車体を浮かせるから、その間にリネットと、ネイア、マーガレットとベラの四人で協力してチェーンを装着してくれ」

「「「「了解!」」」」


 俺が魔法で馬車の車体を浮かせている間にリネットたち四人にチェーンを装着してもらうことにする。

 この四人にしたのは、うちのメンバーの中では力があるメンバーなのでチェーンの装着にうってつけのメンバーだと判断したからである。


 さて、こうして段取りも調ったことだし、早速作業開始だ。


「『重力操作』」


 そうやって俺が馬車の車体を浮かせたところで。


「マーガレットちゃん。アタシがこっちを抑えている間に、しっかりとチェーンを巻き付けてね」

「はい、リネットさん」

「ベラさん。そっちの方を持っていてください。私がチェーンを巻き付けますから」

「わかりました。ネイアさん」


 四人が協力して車輪にチェーンを巻き付けて行く。


 そして、五分後。


「ホルスト君、終わったよ~」

「そうか、どれどれ……」


 リネットからチェーンの装着が終わったと報告があったので確認してみると。


「お!いいじゃないか。完璧にチェーンが車輪に巻き付いている。この分なら雪道でも大丈夫そうだ」


 チェーンがきちんと車輪に装着されていた。

 この分なら雪道でも大丈夫そうだった。


「よし!良くやってくれたな。冷たい金属とか触ったから、手袋越しでも手とか冷たかっただろう?ヴィクトリアが中で温かいスープを用意してくれているから、飲んで休みな」

「はい」


 俺に休めと言われた四人は、外の作業が余程寒かったのだろう、嬉しそうに馬車の中へと駆け込んで行った。

 俺はそんな四人をほほえましい感じで見送りつつ、再び御者台に座る。そして。


「『永続光』」


 雪のせいで少し周囲が暗くなったので、エリカに『永続光』の魔法で前を明るく照らしてもらいながら、馬車を発進させるのだった。


★★★


 それからしばらく時間が進み朝になった。

 夜の間振り続いていた雪が落ち着き、空には青空が広がっている。

 ただしっかりと雪は積もっていて、朝日が雪に反射してとてもまぶしかった。


 計画では昼過ぎには翌日までの休憩に入る予定だった。

 何せ昨日は夜までゆっくり休憩したとはいえ、その後は夜通し山道を歩いたからな。

 パトリックも大分疲れただろうから早めに休んでおきたいのだ。


「あと数時間で休憩に入るからな。もう少しだけ頑張ってくれよ」


 そうパトリックに声を掛けながら、馬車を進ませる。

 すると。


「ホルストさん、風の精霊から報告です。前方に湖らしきものがあって、通行できないみたいです」


 太陽が昇るころにエリカと交代で俺の横に座っていたヴィクトリアがそう報告してきた。


「湖?しかも通れそうにない?そんな話はオルトロスは言っていなかったが……」


 俺はそう思いつつ、ここにきてトラブルが起きたことに頭を抱えるのであった。


 さて、俺たちは目の前の湖を上手く渡れるのだろうか?

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