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第644話~オルトロスから情報を得る その3 強大な鳥の魔物ルーダについての情報~

 山の精霊が活動不能になったことにより、ガルーダという強力な魔物が復活したかもしれない。


 その話を聞いた俺は、また一つ悩みの種を抱えることになってしまった。

 とはいえ、新たな頭痛の種が増えてしまったからと言って悩んでばかりいても仕方がないので、今度はガルーダについて聞いてみることにする。


「それで、オルトロス。そのガルーダとはどんな魔物なんだ?」

「ガルーダは巨大な鳥の魔物ですね。この世界の鳥の魔物を支配する程の力を有する魔物ですね」

「この世界の鳥たちの魔物を支配するだって?ガルーダってそんなに強力な力を持っているのか?」

「はい。ですから、封印されたガルーダを慕ってあの辺りには鳥の魔物が多く生息していたりするのです。もし封印されていたガルーダが復活したりすれば、そういった鳥の魔物たちの活動も活発になるでしょうね」


 ふ~ん。なるほどねえ。鳥の魔物が活動的になるのか。

 そう言われれば心当たりのあることがある。

 それは今日起こったハーピーたちの件やこの前のルッフたちの件だ。

 それをオルトロスに話してみたところ、こんな反応が返って来た。


「ほほう。すでにそんなにたくさんの鳥の魔物による被害が出ているのですか。ならばなおさらガルーダが復活している可能性は高いですね」

「やはりそうか。ということは、ガルーダを封印しているという山の精霊も……」

「何者かによって、力を発揮できない状態にされているのだろうと思います」

「まあ、そうなるわな。しかし、神獣にも等しい力を持つ精霊にそんなことができるって、どんな相手だろうな。……って、そんなの神聖同盟の連中しかいないわな」

「ホルスト様の言う通りだと私も思います」

「エリカたちはどう思う?」

「はい、旦那様のおっしゃる通りだと思います。神聖同盟はかつてヤマタノオロチやカリュドーンの猪といった神獣たちをも操った連中です。山の精霊の力を削ぐことも不可能ではないと思います。そして、そういうことになっているのなら山の精霊を全力で助けるべきだと思います」

「ワタクシもエリカさんの意見に賛成ですね」

「アタシもだよ」

「私もです」

「そうか。皆も俺と同じ考えか。となると、魔力を送る装置も確実にあるな」

「「「「「そうだと思います」」」」」


 これで全員の意見が一致した。

 ということで、今回の件は神聖同盟の仕業であり、奴らの手により山の精霊の力が封じられ、結界に魔力を送る装置も間違いなく存在するであろうという結論に至ったのであった。


 そんな訳で、後は山の精霊を救出した上で装置を壊すためにどうすればよいかを探っていくことにする。


★★★


 さて、今までの話で、神聖同盟を倒し、山の精霊を助け出し、装置を破壊するという今回の冒険の大まかな目的が定まった。


 ただ、情報収集はこれで終わりではない。

 今回俺たちの前に立ち塞がりそうな敵であるガルーダの情報をもっと詳しく聞く必要がある。

 俺はさらにオルトロスにガルーダについて尋ねてみた。


「オルトロス。それで聞きたいんだが、ガルーダってどんな能力を持っているんだ?」

「ガルーダは風と雷の魔法が得意ですね。その魔法を使ってありとあらゆるものを切り刻み黒焦げにしてしまうでしょう」

「なるほど、風と雷の魔法が得意なのか」

「はい、その通りです。もちろん魔法だけでなく身体能力も非常に高いですよ。その爪の一撃は山を谷に変え、翼をはばたかせるだけで町を吹き飛ばすことができます。その上……」

「その上?」

「ガルーダは神気を自在に使いこなすことができます。ですから、ホルスト様と言えども戦いにくい相手だと思いますよ」

「え?神気を使ってくるの?というか、何で神気を使えるの?」

「それは簡単な話ですね。ガルーダは元神獣なのですよ。ですから神気を使いこなせるのです」


 え?ガルーダって元神獣なの?


 新たなる事実の判明に俺はさらに頭を抱えるのだった。


★★★


「ガルーダが元神獣って本当なのか?」


 ガルーダは元神獣という事実を知り、さらに困惑した俺だが、困惑してばかりもいられないのでもっと詳しい情報を聞くべく、質問を続けた。


「ええ、本当ですよ。あいつはかつてクリント様の命令に背き、悪さをしてこの世界に逃げ込んできたのです。しかし、逃げ切れずこの世界で捕獲され、神獣の地位をはく奪され、山の精霊の力でマウントオブスピリットに封印されたのですよ」

「なるほど、神に逆らって神獣の地位をはく奪されたという事か」


 そういう事情なら確かに納得できる話だった。

 まあ、神の怒りにふれた天使や神の眷属がその地位をはく奪されるというのはよく聞く話だしな。


 そんな訳で、ガルーダが神気を扱えるということについて納得できたわけだが、まだ聞くべきことはある。


「それで、ガルーダはそんなにうまく神気を使いこなすのか?」

「はい。神獣の中でも上位の部類だと思いますよ。ですからかなり手ごわい相手ですね。ひょっとしたら以前ホルスト様が戦った四魔獣よりもです」

「四魔獣よりも?」

「はい、なにせ四魔獣は莫大な神気を持てども、それを使いこなせていませんでしたから」

「四魔獣が神気?そんなものを使っていたっけ?」


 四魔獣が神気を使っていた?

 確かに四魔獣の攻撃はとても強力だったが、神気を使っていたという記憶はなかった。

 その俺の疑問に対して、オルトロスはこう答えた。


「ええ、使っていたはずですよ。そもそも四魔獣は神であるプラトゥーンの体の一部です。ですからその攻撃にも当然のように神気は含まれていて、攻撃すると自動的に使われていたのですよ。その辺、ホルスト様の神属性魔法に神気が含まれて、使用すると自動的に使われるのと同じことです。ただ……」

「ただ?」

「ただ、それでは神気を使いこなしているとは言えません。ホルスト様だって『神化』や『フルバースト』で神気を使いこなして魔法や技の威力を上げているでしょう?でも、ホルスト様が戦った時の四魔獣はそれができていなかったのです」

「そうなのか?」

「はい。というのもプラトゥーンの本体が復活していないので、その一部である四魔獣もうまく神気を使いこなせず、よって実力を発揮しきれずにホルスト様に敗れたのです」

「なるほど、そういうことか」


 オルトロスに説明を受けた俺は、大体の事情を把握した。

 俺達が戦った時の四魔獣はまだ実力を出し切っていなかった。

 だからああして無事に封印することができたという訳だ。


「しかし、ガルーダは違います。きっちりと神気を使いこなしてホルスト様たちを攻撃してくるでしょう。何せガルーダはクリント様に罰を受けたことを恨みに思っていますからね。ですからクリント様と敵対関係にあるプラトゥーンに味方して、ホルスト様たちに害をなしてくると思います」

「お前の話を聞いてガルーダが強敵だというのはわかった。俺たちと相いれないこともな。だから注意するとしよう。それで、他にガルーダについて知っていることはあるか?」

「私が知っているのはこのくらいです」


 どうやらオルトロスがガルーダにとって持っている情報はこのくらいのようだった。


 ということで、ガルーダに関する情報収集はこれで終えようと思う。


★★★


 さて、こんな感じでマウントオブスピリットや山の精霊、ガルーダについてオルトロスから聞き出せたわけだが、これらの話が終わった後で、オルトロスは次のように提案してくれた。


「私とホルスト様の話を合わせて考えてみるに、マウントオブスピリットで大変なことが起こっているのは間違いないでしょう。ということで、山の精霊の住処に行ってみませんか?」

「山の精霊の住処?何でそんな所へ行くんだ?」

「はい。実は山の精霊の住処はマウントオブスピリットの中央部にある神域にあるのです。あそこに行って私が力を振るえば、マウントオブスピリットの詳細な情報を得ることができます」

「なるほど、それは良い考えだな」


 確かにオルトロスの提案は良さそうだった。

 その神域とやらに行って情報を探れば、確かに神聖同盟の動向も探れそうだった。

 そんな訳で、俺はオルトロスの意見に賛同することにする。


「オルトロスの考えは理にかなっているな。だからその通りにすることにするよ。それで、そこへ行くにはどうしたらいい?」

「それは私がご案内しましょう。何せあそこに行くには山の精霊に招き入れてもらうか、私が道案内するかの二通りしか方法がありませんので」

「なに?オルトロスが案内してくれるのか。それは心強いな。よろしくお願いするよ」

「お任せください」


 と、こんな感じで俺たちとオルトロスの間で話はまとまり、俺たちは霊山の入口の川にかかる橋へ行くという予定を変更し、オルトロスの案内でマウントオブスピリットに存在するという神域へと向かうことになったのであった。

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