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第643話~オルトロスから情報を得る その2 霊山マウントオブスピリットに棲む精霊の正体~

 マウントオブスピリットにいる精霊はこの世界の山を管理する山の精霊らしい事が分かった。

 ということで、次はそのことについてオルトロスについて聞いてみることにする。


「それで、オルトロス。その山の精霊というのはどういう精霊なんだ」

「はい。マウントオブスピリットに棲む山の精霊はいわゆる上級精霊ですね」

「上級精霊?」

「はい。精霊神様の下で修業をして、資格を得た精霊だけがなれるのが上級精霊です。なのでそんなに人数は多くなく、この世界にも数体しかいないですね」

「で、そのうちの一体がマウントオブスピリットにいるという訳か」

「その通りです」


 なるほどね。

 精霊というものはこの世界のいたるところにいる存在だが、それほど強力なのは確かに少ないと思う。

 そのような存在が棲んでいるからこそ、ここから遠く離れた蛇人たちの間でも、マウントオブスピリットの話が伝承として伝わっていたのだと思う。


「なるほど、よく分かったよ。それでその上級精霊である山の精霊というのはどのくらいの力を持っているんだ?」

「私も詳しくは存じませんが、我ら神獣に匹敵するくらいの力は持っていると思いますよ。ほとんど交流とかもないので、私も能力とか、実際に何をしているのかあまり分からないです。というか、そういうのは私よりもヴィクトリア様の方が詳しいのではないですか。精霊神様はアリスタ様の部下でありますので、ヴィクトリア様は小さい頃可愛がってもらっていたと、聞いていますが」

「え?ワタクシですか」


 ここで話を振られたヴィクトリアの奴が戸惑っていた。


 そういえば、こいつ自分が使役する精霊たちと契約する時に精霊神の名前を出して契約していたからな。

 だから、オルトロスの言うように上級精霊について知っていてもおかしくはないはずなのだが、この戸惑いぶりを見るに絶対に知らないんだろうなと思った。

 実際。


「上級精霊ですか?そういえば、精霊神様にそういう存在がいるとは聞いたことがありますね」


 と、当たり障りのないことを言ってごまかしているしね。


 そんな訳で山の精霊の能力等についての情報はこれ以上手に入らなさそうなので、次に行くことにする。


★★★


「ところで、オルトロス。今さっき山の精霊とほとんど交流はないと言ったが、少しくらいは交流があったりするのか」

「そうですね。たまに連絡を取るくらいですかね」

「たまにって……どのくらいのペースなんだ?」

「う~ん。そうですね。前に連絡をしたのは五百年くらい前ですかね」

「五百年。……それは気が長い話だな」


 さすがは神獣。

 五百年も連絡していないのにたまに連絡していると言い切っちゃってるよ。

 この点、さすがは神に仕える神獣だ。人間とはスケールが違うと思った。


 というか、五百年前に連絡を取ったことがあるということはもしかして今も?


 オルトロスの話を聞いてあることを思いついた俺はこう質問してみた。


「なあ、オルトロス。五百年前に連絡が取れたということは今も連絡ができるということなのかな?」

「ええ、できますよ。やってみせましょうか」


 そう言うと、それまで伏せていたオルトロスが立ち上がり、「はあああああ」と、気合いを発する。

 すると、周囲に通信用に使うと思われる魔法陣が出現する。

 それを見たオルトロスが、早速通信を始める。


「もしもし。山の精霊殿。聞こえますか?お久しぶりです。オルトロスです。聞こえていたら返事を下さい」


 そうやってオルトロスは何度も呼び掛けて連絡を取ろうとするのだが。


「あれ?おかしいですね。全然連絡が取れませんね」


 三十分ほどそうやって呼び掛けても山の精霊とは連絡は取れなかった。


★★★


「ホルスト様、これはもしかしたら大変なことになっているかもしれません」


 山の精霊と連絡が取れなかったオルトロスは、真剣な顔でそう俺に言って来た。

 それに対して、俺はこう聞き返した。


「大変?それはどういう意味だ?」

「もしかしたら、山の精霊殿。今現在活動休止状態になっている可能性があります。だからこうして連絡ができないのだと思います」

「活動休止だから連絡が取れないのか。たまたま忙しくて話せなかったとかではなくて?」

「その可能性は低いですね。私の今の魔法はたとえ相手が忙しくても、相手が無事ならば何らかの反応があるはずの魔法なのです。それなのにそれすらもなかったのです。ということは……」

「やはり活動できない状態ということなのか?」

「その通りです」


 なんという事だ。

 オルトロスの話を聞いた俺はそう思った。


 俺の考えではマウントオブスピリットに行ってできれば精霊の力を借りて神聖同盟のことを探すつもりだったのだが、それは不可能そうだった。

 本当に残念だ。

 思惑が外れてしまった俺は残念そうな顔をした。


 しかも、事態はそれだけでは済まなさそうな感じだ。

 俺の残念そうな顔を見ながらオルトロスが話を続ける。


「山の精霊殿が活動休止状態ということは、もしかしてガルーダが復活しているかもしれません」

「ガルーダ?」

「はい。ガルーダは強力な鳥の魔物で、山の精霊殿の力によってマウントオブスピリットに封印されている魔物です」


 ガルーダねえ。そんなのがいるのかよ。


 何だか悩みの種が一つ増えたようで、俺は頭を抱えるのだった。

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