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第635話~謎の鳥の魔物討伐作戦 後編 ルッフ討伐完了!~

 ルッフという巨大な鳥の魔物との戦いの時間がやって来た。

 敵は空を飛んでくるうえ素早いらしいので、確実に仕留めるべく一気呵成に攻めることにする。


「いいか。俺が囮になって敵をひきつけ、頃合いをみて魔法で足止めするからお前たちは俺の合図があったら攻撃しろ」

「了解」


 仲間たちに指示を出した俺は、囮となるべく牧場の目立つ場所に一人で立ち、剣を構える。

 俺の周囲では朝村人たちによって放牧に出された家畜たちが、「メエ~」とか、「モオ~」とか鳴いているのが聞こえるが、気にせず集中して空を見て、魔物たちが近づいて来るのを待つ。


 数分後。


「ようやく来たな」


 ルッフたちが牧場の上空に現れた。


「メメエエ~」

「モモオオオ~」


 魔物たちの出現に家畜たちが騒ぎ出し、先程よりも大きな声で鳴き喚き出し、さらには魔物たちから逃げようと棒苦情の隅っこの方へと走り出したが、もちろん気にせず、さらに集中力を高め、魔物たちの注意をひくために魔物たちへ向かって小さな石を投げる。


 俺の投げた石はこつんと魔物に当たり、魔物たちは俺の方を振り向いてじっと睨んで来る。

 魔物たちはしばらく俺の事を睨んでいたが、そのうちに突然「ギャハハ」と笑い始めた。


 何でこいつらは笑っているんだろうと思ったが、思い当たる節はある。


「前に来た冒険者が不甲斐なくこいつらに返り討ちにされたから、俺をそいつらと同レベルだと勘違いして、雑魚だと思って笑っているのかも?」


 ということである。

 まあ、確かに前に来た冒険者たちはこいつらになすすべもなくやられたらしいから、こいつらからしたら冒険者はすべて雑魚に見えるのかもしれない。


 でも、俺たちは前に来た奴らとは全然違うからな。

 それを今から思い知らせてやる!


 魔物に嘲笑された俺は、それを糧に魔物を退治するべく闘志を燃やすのだった。


★★★


「キシャー」


 魔物たちが襲い掛かって来た。


 三匹で一斉にものすごい速度で急降下してくる。

 そのスピードはかなりのもので、前に来た冒険者たちはこの急降下について行けず、あっさりとやられて、何とか逃げ帰ったという事だった。

 まあ、確かにこのスピードのは並の冒険者は対抗できないと思う。


 だが、俺は違う!


「このノロマめ!」


 そう言いながらひょいと三匹の急降下を回避する。


「キエ?」


 俺にあっさりと攻撃を避けられ、魔物たちは驚きの声を発する。


 だが、敵もAランクの冒険者を退けた手練れ。

 すぐにもう一度攻撃しようと、再度上空へ飛び立とうとするが。


「もう一度飛ばせるものか!『天風』」


 俺が魔法でダウンフォース現象を起こし、強烈な下向きの風を浴びせて魔物たちが飛び立てないようにする。


「ギギギ」


 魔物たちは、魔法で地面から飛び立てなくなり、それどころか強烈な風で地面に縫い付けられるように強制的に倒れ伏す格好になって、そうやってうめいている。

 魔物たちは完全に隙だらけになったわけだが、俺たちがこれを見逃すはずがなかった。


「今だ!やれ!」


 俺は牧場の傍らに待機していたリネットたちに命令する。


「みんな、一斉に矢で攻撃するよ。狙いは敵の翼だ。矢で翼を使い物にならなくして、二度と飛び立てなくするんだ!」

「了解~!」


 リネットの指示で全員で一斉に弓で攻撃する。

 リネットとネイア、妹の仲間の子たちが一斉に矢を魔物たちの翼に向けて放つ。


 妹だけは弓矢が得意ではないみたいなので。


「『矢加速』」


 魔法で矢の速度を加速させて、支援に徹していた。

 中々良い連携攻撃だと思う。

 妹の魔法で加速された矢はものすごい速度になり、魔物たちの翼に次々に命中し、たちまち翼が矢だらけになり、まともに翼を動かせなくなる。


 え?強烈なダウンフォースが発生しているのに、矢が魔物たちに届くのかって?


 もちろん届くさ。

 というのも、俺が魔法を調整して、矢が通過する箇所だけダウンフォースが発生しないようにしているのだ。

 神属性魔法の熟練度が上がった今の俺にはこのくらいは簡単な作業だった。


 ということで、魔物たちの翼が矢だらけになり動かせなくなったところで。


「もうこの状態では飛ぶのは無理だな。リネット、ネイア。とどめを刺すぞ!」

「はい!」


 魔物たちが飛べなくなったと判断した俺は、『天風』の魔法を止め、リネットネイアの三人で魔物たちにとどめを刺しに行く。


「ピキー!!」


 飛べなくなったとはいえ、そこは巨大で強力な魔物であるルッフ。

 そうやってい俺たちを威嚇し、何とか戦おうと闘志を燃やしてくる。

 立ち上がって、最後の力を振り絞り牙とクチバシで俺たちを攻撃しようとしてくるが、上空からの猛スピードの急降下攻撃が得意な魔物がそんなことをした所で、俺たちに敵う訳がなく。


「『武神昇天流 虎殺脚』」

「グヘッ」


 ルッフ達のうちの一匹はネイアに首をへし折られ。


「『真空断』」

「グッ」


 一匹はネイアに首を切られ。


「『一点突破』」

「グハッ」


 残りの一匹は俺に心臓を一突きにされた。


 これにて三匹のルッフたちは全滅し、依頼達成だ。

 後は村長さんに報告してブレイブの町へ帰還するのみである。

 ルッフ達の羽毛は高く売れるらしいので、その売却代金と今回の報酬でちょっとした金が手に入るはずなので。


「これで、今回の霊山行きの費用くらいは賄えて、お釣りも出るな。今から楽しみだ」


 と、ほくほく顔で俺は村長さんの所へ向かうのだった。

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