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第625話~セイランと飲んでいると……~

 蛇人たちの勝利の宴。その本番が始まった。


「食えや!食えや!」

「飲めや!飲めや!」


 そう言いあって場を盛り上げながら、村の広場に並べられた大量の料理やお酒が次々に蛇人たちに消費されて行く。

 この様子を見て、俄然ヴィクトリアが闘志を燃やす。


「皆さん。張り切って食べていますね。ここはワタクシも食べなければ!……銀ちゃん、行きますよ」

「はい、ヴィクトリア様」


 そうやって銀を引き連れて料理の山に突撃して行き。


「ささ。蛇神様の戦士様の奥様。こちらの肉がたくさん入ったスープ。スネークヘッド族の郷土料理なんですよ。いかがですか?」

「それ、ください」

「奥様。こちらは森の果実を使って作られたうちの自慢の果実酒です。とてもおいしいですよ」

「それも下さい!」


 と、たくさんの料理や酒をもらって来ては、自分の席で嬉しそうに食べていた。

 で、連れの銀はというと。


「ホルスターちゃん。ドングリのパンとお肉とジュース貰って来たよ。一緒に食べよ」

「うん」


 そうやってホルスターの分まで食べ物をもらって来ては一緒に食べていた。

 本当に仲が良くて良いことである。


 そんなヴィクトリアたちを見習ってという訳ではないが、折角俺たちのために開いてくれた宴だ。

 他のみんなもしっかりご相伴にあずからせてもらった。


 今回宴会の料理で嫁たちが気に入ったのは肉の蒸し焼きだった。


「旦那様、このお肉の蒸し焼き。中までしっかり火が通っているのにとても柔らかくておいしいですね」

「本当だね。それに木の葉っぱで包んでから蒸しているから、そのよい香りが肉に染みこんでいて、とてもいいよね」

「後、一緒に蒸してあるクルミとかもおいしいですね。これをお肉に包んで、お酒と一緒に食べたら最高ですね」


 と、皆べた褒めだった。


 実際に俺も食べてみたのだが、これは本当においしかった。

 肉って焼くだけではなくこういう料理の仕方もあるのだと知った。


 嫁たちもそう思ったのか、蛇人の女性たちに。


「これってどうやって作るんですか?」


 とか聞いていたんで、そのうち家でも作ってくれるかもしれない。

 その時を心待ちにして、今は目の前の料理をしっかりと食べようと思う。


★★★


「よう、ホルスト。宴会は楽しんでくれているか?」

「ああ、もちろんだ」


 俺が宴会を楽しんでいると、セイランがそうやって声を掛けてきた。

 見ると、セイランは手に酒とつまみを持っているので、多分俺と一緒に飲みたいのだと思う。

 なので。


「一緒に飲むか?」


 と、逆にこちらから声を掛けると。


「喜んで」


 そう返事が返ってきたので一緒に飲むことになった。


★★★


 一緒に飲むことになったセイランはかなり飲む方だった。


「まあ、どんどん飲めよ」

「ああ、いただくよ」


 そうやって俺が注いでやった酒を次々に飲み干していくのだ。

 それなのにほとんど酔った気配を見せず。


「お前が提供してくれた酒はうまいな。こんな酒は初めて飲むぞ」

「そうか。おかわりならたくさんあるから、遠慮なく飲めよ」

「では、いただこうか」


 そうやって一切遠慮せず、俺がヴィクトリアに言って収納リングから出した酒ビンをどんどん空にして行く始末だった。

 そんなセイランを見ていると、蛇人が酒好きだというのは本当だったんだなとつくづく思うのだった。


 そうやって、酒を飲みながらセイランと世間話をした。


「そう言えば、セイラン。俺があげた槍は気に入ってくれたみたいだな。皆の前で槍を振るって、槍のお披露目をしていたそうじゃないか」

「ああ、ホルストがくれた槍は素晴らしいからな。みんなが見たいというから、実際に槍の演武をして皆に槍の良さを披露したんだ」

「そうか。それは良かった。あの槍は俺のコレクションの中でも気に入ってたやつなんだ。大事にしてくれよ」

「ああ。うちの家宝にするよ」


 そんな風にこの前セイランにあげたアダマンタイトの魔法槍の話をしたり。


「お前の弟たち。うちの息子たちとよく遊んでくれていたそうだな」

「ああ。鬼ごっことか、かくれんぼとか、釣りとかをしていたと言っていたな」

「釣り?川の水が少なくなっているのにそんなのができたのか?」

「水は少なくはなっていたが、それでもまだ水が流れはしていた。釣りをするくらい問題ないさ」

「そんなものなのか」


 そうやってセイランの弟たちとホルスターたちの話をしたりした。


 そうやって話をしているうちに、もしやと思った俺はセイランに聞いてみることにした。


「なあ、セイラン。お前、ここ『静かなる谷』みたいに地脈のエネルギーは強くて、その上あまり人が寄り付かないような場所の情報を持っていていたりしないか?」

「地脈のエネルギーが強くて、人がいない場所?そんな場所の話を聞いてどうするんだ?」

「ほら、俺たち神聖同盟を追っているだろう?」

「神聖同盟?ああ、ダムや怪しげな装置を造った奴らか?」

「そうだ。で、あいつらが他にも装置を造るんだったら、ここと同じように地脈のエネルギーが強くて人が少ない場所に造るんじゃないかと思うんだ。だから聞いてみたんだよ」

「なるほど。それは確かにあり得る話だな。……そうだな……」


 俺の質問の意図を理解したセイランはしばらく考える。

 そして、こんなことを教えてくれた。


「そういう話ならうちの村の司祭が詳しいと思うぞ」

「本当か?」

「ああ。ただ今は他の村人たちと飲んだくれている最中なので、聞くのは明日でもいいか?」

「もちろんだ」


 こうして俺たちは村の司祭から条件にあった場所の情報を聞くことになったのであった。

 ただ司祭は現在お楽しみ中のようなので明日聞くことにした。


 ということで。


「それじゃあ、セイラン。今日はとことん飲もうぜ」

「おう」

「エリカたちも楽しくやるぞ」

「はい」


 俺も深夜になるまでセイランや嫁たちと楽しく過ごしたのだった。

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