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今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。 食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、 なぜかおまけで女神を押し付けられる~  作者: 暇潰し請負人
第22章 強固な結界からプラトゥーンクローンを引きずり出すために……。ホルスト、世界の果てへ赴く!
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閑話休題88~その頃の妹 緊急事態!ああ、私の髪の毛が!~

 皆様、こんにちは。

 レイラ・エレクトロンです。


 今日私に不幸な出来事があったので、今からそれについて話そうと思います。


 本日、私は仲間たちとギルドの依頼を受けて魔物退治に出掛けていました。

 『ビッグアリゲーター三匹退治 報酬銀貨五枚プラスビッグアリゲーターの買取り料』。

 冒険者になりたての頃の私たちならともかく、兄貴たちに鍛えられ、いくつもの冒険を重ねてきた今の私たちにとってそう難しい依頼ではありませんでした。


 町から歩いて半日ほど離れた村のため池に出現したという話だったので、兄貴の馬を拝借して出かけました。


 え?兄貴の馬を使っても構わないのかって?


 一応兄貴からは。


「たまにはパトリックの運動のために仕事に使ってもいいぞ」


 と、言われているのでそこは大丈夫だと思います。


 それで兄貴の馬に揺られて問題の村へ二時間ほどかけて行きました。

 歩くと半日かかる所を二時間で行くとは、さすが馬車は速いなと感じました。

 そうやって村に着いた私たちは早速魔物退治を開始しました。


「『風刃』」

「私の弓を食らいなさい!」


 私が魔法、フレデリカが弓で援護する中。


「はあああ」

「たあっ」


 マーガレットとベラが魔物に襲い掛かり。


「グギャアア」


 さっさと魔物たちの首を取って終わりでした。

 そんな感じで魔物たちを退治した私たちは町へ帰ろうとしたのですが。


「ごめん。私ちょっとおトイレに行ってくる」


 その前に私はトイレに行きたくなったので行くことにしました。

 村でトイレを借りて、用事を済ませて出てきて手を洗おうとした時にそれは起こりました。

 手を洗い、鏡で身だしなみを調えてから仲間と合流しようとした私は鏡を見て気がついてしまったのです。


「なに、これ?何か私の髪の毛。毛先の方が茶色く変色していない?」


 そうきれいな黒髪だった私の髪の毛の毛先が、茶色く変色していることに気がついてしまったのです。


★★★


 その帰り道、私は馬車の中で一人こうなってしまった原因を考えました。


 一人で考えたのは髪の毛が傷んでいるなんて仲間たちに言うのが恥ずかしかったからです。

 幸いなことに変色していたのは本当に髪の毛の先っぽの方だけだったので仲間たちはまだ気がついていませんでした。だからこのまま黙っておくことにします。


 それはそれとして、私は自分の髪の毛がこうなってしまった原因を必死に考えました。

 今までそれなりの長さの人生を送ってきましたが、こんなことは初めてでした。

 ということは以前は髪の毛が痛むようなことはしていなかったということです。

 ですから、こうなった原因は最近知らないうちに髪の毛に良くないことをしていたということになります。


 何か最近変わったことがあったっけ?


 頑張って髪の毛に害があるようなことをしていないかを考えます。

 そして、しばらくしてある結論に達します。


 そう言えば、前と違って私って最近ずっと育毛剤を使っているよね?

 もしかしてあれが原因なんじゃ?


★★★


 髪の毛が傷んだ原因を何となくつかんだ私は、町に帰った翌日の休養日に例の育毛剤を買った薬局に乗り込んで行きました。

 もちろん、例の育毛剤について問いただすためです。

 ですが……。


「あれ?確かお店がこの辺にあったはずなのに……」


 肝心のお店がどこを探しても見つかりません。

 確かに前に来た時にはあったはずなのに……。


 何だか狐にでも化かされた気分になった私は近所の人に聞いてみることにしました。

 すると。


「ああ、あの薬屋さん?あそこ少し前に夜逃げして、店主も行方不明だよ。ほら、あそこの空き店舗。あそこが薬屋さんがあった場所だよ」


 近くの肉屋のおじさんにそう教えてもらいました。

 そして、言われた場所に行ってみると。


「そうだ。確かにここに薬局があった。あいつ、夜逃げしたんだ」


 本当に薬局があった場所は空き店舗になっており、猫の子一匹いる気配がありませんでした。

 どうやら本当に夜逃げしたみたいでした。


★★★


 その後、私はさらに詳しい情報を集めるために周辺で聞き込みを行いました。

 すると、出て来るは、出て来るは……。


 え?何が出てきたのかって?

 もちろん例の薬局とその店主の良くない噂です。


「ああ、あそこの薬局?あそこの薬局の薬。値段が高い割にはあまり効かなかったんだよな。どうやら薬と偽って、何の効果もないものを売っていたみたいなんだ。だからあまりお客さんもいなかったよ」

「あそこの店主。どうも借金があったみたいだよ。時々いかつい顔つきの奴らがやって来ては『金、はよ返せや!』って、店主を怒鳴りつけている声が店から聞こえてきていたよ」

「あそこの店主。最低な人間でしたね。子供を脅してお金を巻き上げるようなことをしたり、お店にツケで払うとか言って払わなかったりしていたみたいですよ」


 と、碌な噂を聞きませんでした。


 特に気になったのは、薬と偽って別の物を売りつけていたという話です。

 そんなことを本当にする人間なら私に売りつけた育毛剤が効果がない偽物だった可能性も大いにあり得ます。


 いや、まだ効果がないだけならましです。

 実はあの育毛剤の中に体に良くない成分が含まれていたとしたら……。

 そのせいで髪の毛が傷んだんだとしたら……。

 そう想像するだけで、私は足元が震えました。


 ああ、本当これからどうしよう。


 私は本当にどうしようかと悩みながら、とりあえず家に帰るのでした。

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