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第62話~希望の遺跡、第7~9階層 難所エリアだがお宝ゲットのチャンスでもある~

「皆さん、ご心配をおかけしました」


 翌日、エリカの体調が元に戻ったようだ。

 元気になったエリカが皆にそう謝罪してきた。


 蒼かった顔が普通になり、生気が戻ってきている。


「どうする?念のため、一旦地上へ戻るか」


 と、聞いてみたが。


「一晩休んだら、だいぶ楽になりました。どうやらちょっと疲れていたみたいです。もう大丈夫ですから、心配なさらないでください」


 そうエリカが主張するので、探索を続行することにした。

 軽く朝食をとった後、後片付けをする。


 ササっと寝具を畳み、ヴィクトリアのリングに収納する。


「さて、それでは行くとするか」


 片づけを終えた俺たちは再び下層を目指す。


★★★


 7階層からはまた洞窟エリアだった。


「今度はオーガか」


 また出現する敵のランクが一段階上がった。

 とはいってもそこまでではない。

 所詮オーガ程度だ。


 5匹と普通の町の防衛部隊1個中隊程度とやりあえる程度の数がいるが、問題ない。


「エリカ、何匹か動けないようにしてくれ」

「はい、旦那様。『火鞭』」


 俺の指示を受け、エリカがすかさず魔法を放つ。

 たちまち炎の鞭が展開され、後方にいた3匹のオーガを岩に縛り付ける。


 たいした魔物ではないと言ってもそこはオーガ。それなりに腕力がある。

 連携して攻撃されたら余計なダメージを負いかねない。


 だから、一度に戦う数を減らさせてもらったというわけだ。


「行くぞ」

「おう」


 そこへ俺とリネットさんが突っ込んでいく。

 俺とリネットさんは旅の間も帰って来てからもずっと一緒に武芸の鍛錬を続けている。

 おかげで、以心伝心というのだろうか、最近では結構連携が取れるようになってきたと思う。


 この時もリネットさんが盾を前面に押し出して突進し、俺がその隙間からオーガを攻撃した。

 ザス。バシュ。

 あっという間に前衛のオーガを2匹叩き切った。


「エリカ、残りのオーガを解放しろ。ただし1体ずつだぞ」

「畏まりました」


 俺の指示でエリカがオーガを1匹解放する。

 拘束したままとどめを刺した方が楽なのではといった意見もあるだろうが、これには理由がある。


 リネットさんの実践訓練のためだ。


 リネットさんは長いこと副ギルドマスターとして現場から離れていたこともあり、実戦感覚が鈍っていた。

 この間の旅や鍛錬を通じて大分感覚を取り戻せたみたいだが、それでも本人は納得がいっていないらしい。

 だから、オーガのようなちょっと強めの魔物と積極的に戦わせてあげて、経験を積ませてあげようというわけなのだ。


 まあ、そんなに強くないオーガを縛ったまま殺すというのも、卑怯な感じがして気分がよくないというのもあるが。

 とにかく、リネットさんとオーガの1対1の対決が始まる。


 ジリジリ。

 リネットさんが盾と斧を構えたまま、すり足でオーガとの距離を詰めていく。


 オーガも棍棒を構えてリネットさんへ近づいて行く。


 先に仕掛けたのはオーガの方だ。

 棍棒を大きく振りかぶり一気に振り下ろす。中々に素早い動きだ。


 カラン。

 周囲に乾いた音が響き渡る。

 リネットさんがオーガの棍棒を盾で受け止めた音だった。


 リネットさんは棍棒の衝撃をそのまま受け流すと、一撃を加えた後で隙だらけになったオーガに斧の一撃を加える。


 グサッ。

 鈍い音とともに、オーガの着ている皮の鎧ごと、肩からオーガの胴体が両断される。


「グオオオオオ」


 断末魔の悲鳴を残してオーガが倒れる。


「見事な一撃でした」

「そうかな」


 俺がリネットさんの攻撃をほめると、リネットさんが照れ臭そうにする。

 普段、真面目な顔が標準装備の彼女にそんな顔をされると、こっちも何だか照れるくさくなる。


 何だかかわいい。

 思わずそう思ってしまった。


「それでは、残りのオーガもパパっとやってしまいましょうか」


 それから10分ほどでリネットさんは残りのオーガも片付けてしまった。


「みんな、すまなかったな。アタシの訓練に付き合わせてしまって」


 オーガを全滅させた後、リネットさんが俺たちに頭を下げてきた。


「気にしないでください。俺たち仲間じゃないですか」

「旦那様の仰る通りです。。仲間の手助けをするのは当然です。お気になさらないでください」

「そうです。ワタクシたちはパーティーなのですから、一人のためになることはみんなのためになるのです。だから、これからも一緒に頑張りましょう」

「みんな、ありがとう」


 リネットさんはもう一度頭を下げた。


 ダンジョンはまだ長い。


★★★


 8階層も7階層までと同じく洞窟エリアだったが。


「見てください、ホルストさん。川がありますよ」


 この階層には川が流れていた。

 川に沿って通路が続き、所々小道があり、ルートが分岐しているという感じだ。


 出てくる敵もガラリと変わった。


「今度はポイズントードか」


 ビッグアリゲーターやポイズントードなど水辺に生息する魔物が出現するようになったのだ。

 まあ、レベル的に大したことはないので問題ないが。


 ザシュッ。

 出てきたポイズントードを一撃で倒すと先を急ぐ。


「みんな、見ろ。滝だぞ」


 しばらく歩くと先頭を行くリネットさんが滝を発見した。

 そんなに大きな滝ではなかったが、結構な量の水が流れていた。


「旦那様、薬草が生えています」


 滝のすぐ側に薬草が生えているのをエリカが見つけた。


「どれ、どれ」


 早速近寄って調べてみる。


「マンゲツソウに、ミカヅキソウ、ヒリュウソウにカミノサカズキ、あ、マンドラゴラなんかもありますね」


 エリカが目を輝かせながら、草を見ている。

 エリカの食いつきっぷりがいいので、そんなにすごいのかなと思った俺はエリカに聞いてみる。


「そんなにすごい薬草なのか?」

「はい。どれも高級ポーションやマジックポーションの材料になるものばかりですね。私は魔法薬を作るのはあまり得意ではないのですが、それでも持っておきたいと思えるものばかりですね」

「そういうことならもらっておくか」

「はい」


 ということで、俺は薬草を採取することにした。

 次々に引き抜き、種類毎に袋に詰めていく。


「薬草採取って、意外と楽しいですね」


 結構薬草取りが気に入ったのか、特にヴィクトリアが熱心にやっている。

 中腰になってバンバン引き抜き、手の届く範囲に取る薬草が無くなると、立つのが面倒くさいのか、

中腰のままピョンピョンとウサギのように跳ねながら移動する。


 なんて横着な奴だ。


 俺はそう思いながらヴィクトリアを見ていたが、そんな横着者のヴィクトリアを悲劇が襲った。


 コツン。


 着地したところにあった小石に躓き、見事にひっくり返ったのだ。


「ぎゃあああ」


 大きな悲鳴を残しながらヴィクトリアが顔面を派手に地面にぶち当てる。


 ドン。


 結構大きな音がした。さらに。


「旦那様!見てはダメです!」

「ホルスト君、速く顔を逸らすんだ!」


 エリカとリネットさんが大声で叫ぶ。


 というのも、転んだ拍子にヴィクトリアのスカートがめくれ、パンツが丸見えになったからだ。


 ヴィクトリアのパンツを見たのはこれで2度目だ。前の時も何かの拍子に転んでいたような気がする。

 お前、本当にドジだな。まあ、それがお前らしいところだが。


 それはともかく、今度のパンツは大人びた黒くて面積の少ないやつだった。割と俺好みのやつだ。

 前の時は白くて大人しめの感じのやつだったのに、どういう心境の変化だろうと思った。


 おっと、今はそれどころではなかった。


 俺は慌てて顔を背ける。だが、少し遅かったようだ。


「ふえええええん。パンツ見られちゃいましたああああぁぁぁ!!!」


 本能的に俺にパンツを見られたことがわかったのだろう。ヴィクトリアがギャン泣きし始めた。


「ヴィクトリアさん、いい子だから泣かないで」

「ヴィクトリアちゃん、泣かないでくれ」


 二人が宥めるが中々ヴィクトリアは泣き止まなかった。

 それでも二人は宥め続けたが、中々上手く行かず、そのうちに二人の矛先が俺に向き始めた。


「元はと言えば、旦那様がヴィクトリアさんのパンツを見たのが悪いのです。さっさと謝ってください」

「事故とはいえ、女性の下着を見るのはよくないと思うよ」


 なぜか二人に怒られてしまった。


 というか、これ事故だよね。俺が一方的に悪いわけじゃないよね?


 俺は釈然としない思いを抱えつつも、まあ、見てしまったのも事実なので謝ることにする。


「大変申し訳ありませんでした」


 両手を地面につけ土下座して謝った。それで、ヴィクトリアも機嫌を直したらしく。


「もういいですよ。許してあげます」


 と、許してくれた。俺はほっと胸を撫でおろした。


「ちょっと顔を洗ってきます」


 謝罪が済むと、ヴィクトリアが泣いたせいで顔が汚れたことに気が付いたのだろう。

 顔を洗うために立ち上がると向こうへ行ってしまった。


「パンツくらい『見せてくれ』と、正直に頼んでくれれば見せてあげますのに……ホルストさんのバカ!」


 去り際にぼそっと何か独り言を言ったようだが、俺にはよく聞こえなかった。


★★★


 9階層は廃坑後?みたいなエリアだった。

 打ち捨てられたトロッコが置かれていたり、つるはしやもっこの残骸が散乱したりしていた。


「旦那様、ここは昔鉱山か何かだったのでしょうか」

「さあな。でも鉱山にしては変じゃないか」


 そうここは何かおかしかった。

 鉄鉱山、金鉱山などという言葉があるように、普通の鉱山では主に取れる鉱石の種類に限りがあるはずなのだ。

 それがここではどうだ。


「ここのは鉄でしょうか」

「こっちは金ですね」

「ここにはミスリルがあるぞ」


 このようにここでは様々な種類の鉱石が露出していてまったくまとまりがなかった。

 すごく変な鉱山だった。


 でも、それは別にいい。ここはダンジョンで別に本物の鉱山ではないのだから。


「それよりも、冒険者としてはここでお宝を回収しなければな」

「「「はい」」」


 折角なので鉱物資源は回収させてもらって有効活用することにする。

 といっても全部を回収している暇はないので、金やミスリルなど高価な鉱物だけ頂くことにする。


「ドワーフの血が騒ぐな」


 ここで一番張り切っているのは、ハーフドワーフであるリネットさんだ。

 先頭に立ち、率先して俺たちに指示してくれる。


 ドワーフの血を引くだけあってリネットさんは鉱物の扱いに長けており、彼女の言う通りに掘ると、上手く鉱石が取れるのだった。


 無論、鉱物を取っている最中に魔物が襲ってくることもあった。


「サーベルタイガーか」


 サーベルタイガー。大きなネコ科の魔物である。

 今まで遭遇したことのなかった魔物で少々驚いたが、どんな魔物かは聞いたことがある。


「確か、牙と毛皮が高く売れるんだっけか」


 そのためには頭の横から剣をぶっ刺して脳髄を貫くのが良い。だったかな。

 あ、そうそう、動きは素早いから気をつけろというのもあったな。


「『神強化』」


 俺は魔法をかけるとサーベルタイガーと向き合った。

 向き合うと同時にサーベルタイガーが襲い掛かってきた。


「グオオオ」


 鋭い爪を振り下ろしてくる。

 それを見て俺は思うのだ。


 これなら前に戦ったドラゴンの方が断然強いと。


 俺はサーベルタイガーの爪攻撃をさっとかわすと、予定通り側頭部から剣を突き刺してやる。


 どさり。

 悲鳴を言う間もなく、サーベルタイガーは絶命して、屍を大地に残す。


「ヴィクトリア、回収しとけ」

「ラジャーです」


 俺がヴィクトリアに指示すると、


「お宝、お宝、デザート増えた」


と、ウキウキ顔でサーベルタイガーを回収する。


 サーベルタイガーはお高く売れると知っているらしく、デザートが増えると喜んでいる。

 本当に無邪気な奴だ。


 その後も鉱石を掘り続け充分に回収した俺たちは、


「さあ、次に行くか」


と、9階層を後にした。


 さあ、次はいよいよ10階層だ。

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