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今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。 食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、 なぜかおまけで女神を押し付けられる~  作者: 暇潰し請負人
第22章 強固な結界からプラトゥーンクローンを引きずり出すために……。ホルスト、世界の果てへ赴く!
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第609話~必死の試練 苛烈な試練汚乗り越えて、戦士長を倒せ!~

 急遽セイランの村の戦士団と戦うことになった。

 セイランの実家の屋敷内にある道場に移動し、そこで試合をすることになった。


 セイランの屋敷の道場は本宅とは別棟にあった。

 床は板敷であり、広さもエリカの実家の軍が使う練兵場の三分の一くらいの広さがあり、試合をするには十分な広さだった。


 というか、屋内の道場にしては広すぎる気がしないでもないが。


「ここは道場としてだけでなく村の集会所としても使用しているから村のみんなが入れるように広く造っているんだ」


 セイランの話によるとそういう事らしい。


 まあ、その辺はどうでもいいか。

 それよりも試合を始めよう。


★★★


 道場で待っていると、族長が村の戦士団を連れて現れた。


 戦士団は全部で十人いた。

 全員筋骨隆々でたくましい体つきをしており、一目で頼もしい戦士だとわかる連中だった。

 その中でひときわ背が高く、他のメンバーよりも体格が良い蛇人の男が前に出て名乗り出てきた。


「そなたがホルスト殿か?」

「そうですが、あなたは?」

「私はこの村の戦士長を務めるコブラと申します。本日はよろしくお願いします」

「ああ、よろしくお願いする」


 こうして試合前の挨拶も終わり、試合を始めることとなった。


★★★


「それでは、試合を始めるとしよう。それでは、え~と。ホルストだったな。ホルストには『必死の試練』という形式でうちの戦士団と試合をしてもらおう」


 試合を始める前に、族長が試合形式についてそう説明してくれた。

 それで、『必死の試練』と聞いて、セイランが慌てている。


「父上。いくら何でも『必死の試練』とは……」


 と言って、父親を止めようとしている。どうやらかなり危険な試合形式なようだ。

 俺はセイランにどういう事か聞いてみた。


「どうしたんだ。セイラン。その『必死の試練』とかいうのに、何か問題があるのか?」

「ああ。『必死の試練』は蛇人の間に伝わる最も過酷な試合形式なのだ。これを受けた者のほとんどが死ぬか、もしくは二度と再起できないほどの傷を負うと言われている。だから必ず死ぬということで『必死の試練』なんだ。そういった非常に危険なものなんだ」

「そうなのか?具体的にどういったことをやるんだ?」

「まず挑戦者の武装は木剣一本と布の服一枚だけだ。この装備で挑戦者は完全武装の部隊と戦わないといけない。さらに……」

「さらに?」

「挑戦者は目隠しに耳栓までして、敵の姿も音も聞こえない状態で相手と戦わなければならんのだ」


 なるほどねえ。雀の涙ほどの装備に視覚と聴覚を奪われた状態で完全武装の相手と戦う訳か。

 確かに普通なら死んでも不思議ではないやり方だった。

 だからセイランもそんなことをするなと父親に訴えているわけだが、族長の方は聞く耳を持たず。


「『必死の試練』は蛇人に古より伝わる儀式。蛇神様への絶大な信仰を示す儀式だ。こいつらが蛇神様に認められた者だというのなら、この儀式くらい簡単に突破できるだろう」


 そう言うのみだった。


 それに対してセイランは、「しかし……」と、なおも父親を説得しようとするが、俺はそんなセイランを止めた。


「いいよ。セイラン。その『必死の試練』受けてみるよ」

「でもなあ」

「任せろ!俺を信用してくれ」


 そして、一言そう声を掛けると、俺は準備をして試合に臨むのだった。


★★★


 試合の準備が調った。


 俺は薄いシャツとズボンだけを着て、木剣を一本だけ持ち、その上目隠しと耳栓をされるという非常に不利な状態に置かれている。

 そして、そんな俺の周囲をコブラを中心とした戦士団が囲んでいて、いつでも攻撃できる態勢にいた。


 これは後で知ったことなのだが、道場の隅っこの方では俺の家族とセイランが。


「頑張って~」

「ホルスト、頑張れ!」


 と、大声で応援してくれていたらしい。

 耳栓で声が聞こえなかったので応援に応えてやれなかったけど、俺は応援してくれるだけでもうれしいからな。


 さて、皆も応援してくれることだし、さっさと試合を終わらせてやるとするか。


★★★


 族長が合図に右手を上げて、試合が始まった。


 コブラ率いる戦士団がじりじりと俺に近寄って来る。

 全員隙が無い動きだ。これだけでも相手が手練れだとわかる。


 俺は気合を入れるために一呼吸入れる。その時だった。


「しゃーー!!」

「きえーー」


 俺の背後に一にいた二人が襲い掛かって来た。

 二人とも獲物は槍で鋭い突きを俺に入れてきた。

 かなり鋭い突きなので並の奴ならこの一撃でそれこそ即死だったかもしれないが、俺は違う。


「何の!とおお!!はあああ!!」


 二人の槍の突きをさっと避けると、二人の背後に回って、首筋に鋭い一撃を入れてやる。


「ぐへっ」

「がはっ」


 手加減したので死ぬようなことはなかったが、二人とも首を強打されて意識を失ってしまう。


 この一連の動きを見て、コブラたちの動きが一瞬止まる。

 俺のあり得ない動きを見て動揺したのだと思う。


 目が見えず、音も聞こえないのになぜそんな動きができる?


 そんな彼らの思いがひしひしと伝わって来る。

 彼らの気持ちは理解できるが、俺は『生命力感知』ができるから、このくらいは朝飯前だ。


 とはいえ、折角彼らが隙だらけになったのだ。

 さっさと片付けさせてもらう。


★★★


 それからは一方的だった。


「行くぞ!」


 そう一言声を発して動き始めた俺を止められる蛇人は誰もいなかった。


「ぐふっ」

「かっはっ」


 俺の木剣による強打を受け、セイランの村の戦士団の戦士たちが次々に意識を失っていく。

 そして……。


「後はあなただけのようですね。コブラ殿」


 残るは戦士長のコブラだけになった。

 ただ残ったコブラはまだ意気盛んだった。


「ふふふ。さすがは若様が認めた男だけのことはある。目も耳もきかない状態でここまでやるとはさすがだ。だが私も誇りあるスネークっヘッド族の戦士長。簡単には負けんぞ!」


 そう大声で叫びながら俺に襲い掛かって来た。


 コブラの身長の半分ほどもある大剣を力任せに振るって来た。

 かなり重い攻撃だ。今持っている木剣でこの攻撃を受けたりしたら、木剣が持たないと思う。

 ということで、頑張って避けた。


「ほい!はい!」


 と、コブラの攻撃をかわしてやった。

 自分の攻撃をことごとくかわされているうちにさすがのコブラも疲れてきたのか。


「はあっ、はあっ」


 ついには肩で息をするようになり、動きは乱れ、隙だらけになった。

 こうなっては勝負は決まったようなものだ。


 ブンッと、コブラが大剣を上段から振り下ろした時にできた隙を狙ってドンと大剣を持つコブラの手の甲を強打する。

 カランッ、カランッ。

 乾いた音を立てて、大剣が地面に転がって行く。


 武器を失ったコブラに木剣を向けながら俺はこう言った。


「まだやるかい?」

「参った。私の負けだ」


 こうして、試合は俺の勝利で終わったのだった。


★★★


「『範囲上級治癒』」


 試合の後は場所を先程までいた大広間に移して、ヴィクトリアが蛇人の戦士たちの治癒をした。

 ヴィクトリアの魔法の効果は抜群で、気を失っていた戦士たちは全員意識を取り戻した。


 その治療の最中、コブラが俺に聞いてきた。


「ホルスト殿。後学のために教えてほしい。目も見えず耳も聞こえないのにどうして貴殿は我々の動きが分かってあのような動きができたのだ」

「簡単な話さ。『生命力感知』といって、相手の生命力を感知して相手の動きを探る方法があるんだ。それを使ったんだよ」

「『生命力感知』?何とそのような方法があるのか。……どうやら我々ではあなたの相手をするのは早かったようだ。今日はとても強いあなたのような方と戦えてとても素晴らしい日だった」


 そう言うと、コブラは俺の手を強く握って来て親愛の情を示すのだった。

 そうやってしばらくコブラが俺の手を握っているうちに部下たちの治療も終わり。


「部下の治療も終わったことだし、これで失礼する」


 コブラは大広間を出て行くのだった。

 その後ろ姿を見て、蛇人の戦士って爽やかな感じの奴が多いなあと思う俺なのだった。


★★★


 さて、無事に試合にも勝ったことだし族長も俺たちのことをいい加減に認めるかなと思っていたのだが、族長はしぶとかった。


「あの状態で戦士団を倒すなど何かの間違いだ!インチキに決まっている!」


 と、まだごねていた。

 先程のコブラの爽やかな態度に比べると、見苦しい限りである。


 そんな父親の説得をセイランが試みる。


「父上。父上のお言葉通りホルストは戦士長に勝ったではないですか。まだご不満なのですか?これ以上何をすればホルストたちのことをお認めになるのですか?」

「そうだな。この人間たち、蛇神様に認めてもらったと言っておったな。だったら、何か証拠の品を持っているだろう。それを見せてみろ!」


 どうやら族長。俺たちが蛇神に認められたと証拠の品を提示できれば協力する気はあるようだった。

 まあ、ここまでごねているのだから本心から言っているとも思えないが、こうなったら族長の言うことを全部聞いてぐうの音も出ないようにするしかないだろう。


 このことは俺だけでなくセイランも同様に思ったようで、父親の発言を聞いたセイランが俺に頼み込んできた。


「ホルストよ。すまないが、この頑固親父に、お前たちが蛇神様に認められたという証拠の品を見せてもらえないだろうか?」

「もちろんだ。任せておけ」


 ということで、俺たちは急遽族長に自分たちがヤマタノオロチに認められていることを示す証拠をせることになったのであった。

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