第573話~光る天空の塔~
「さて、シエルの町の近くへ転移したぞ。それでは、天空の塔へ行こうか」
「「「「はい」」」」
シエルの町の近くの街道まで転移してきた俺は、嫁たちの了承を取ると。
「パトリック、頼むな」
「ブヒヒヒヒイイン」
パトリックを駆って、一路シエルの町を目指した。
三十分後。
「ようやくシエルの町に着いたな」
シエルの町の城門へとたどり着いた俺たちは、そのまま馬車の速度を落とすことなく、天空の塔がある場所へと向かった。
★★★
「はい!これ入場料ね」
「ありがとうございます。天空の塔はとても高いので、体調には気を付けて登ってくださいね」
天空の塔に到着した俺たちは、入り口の馬車置き場にパトリックを停めると、そのまま天空の塔へと入り、入り口で入場料を払うと、天空の塔へと登り始めた。
昼飯を食っている暇がなかったので、入り口の屋台で食料を買って食べながら登って行く。
「うん。さっき屋台で買ったピザおいしいですね」
「こっちのサンドイッチもおいしいよ」
途中まではそんな風にピクニックをしているような感じで和気あいあいとした感じで登って行っていたのだが、中層まで来ると。。
「旦那様、足がもつれて倒れそうです」
「ホルストさん、もう限界です。何とかしてください」
前に来た時と同じく足腰に限界が来たようで俺に助けを求めてきた。
仕方がないので。
「『重力操作』」
魔法で嫁たちを空中に浮かす。そして。
「じゃあ、このまま運んで行くからな。大人しくしてろよ」
「「「「はい」」」」
そのまま、魔法で空中に浮かしたまま塔の頂上まで運んで行くのだった。
★★★
「うわーい。ここはやっぱり見晴らしがいいよね。ここで走ると気持ちがいいよね。ねえ、銀姉ちゃん。二人で鬼ごっこしない?」
「いいよ」
塔の頂上へ着いた途端、ホルスターと銀が鬼ごっこで遊び始めた。
「きゃっきゃ」
「うふふ」
と、元気に走り回っている。
この過酷な塔を登ったばかりだというのに元気なことである。
もっとも、登ったと言っても二人が実際に歩いたのは数階分程度で、後は俺が肩車をしていたからこんなにも元気いっぱいなのだと思う。
それに引き換え嫁たちはというと。
「「「「とても疲れました」」」」
そう言いながら、仲良く床に尻をついてへたり込んでいた。
嫁たちは子供たちと違って半分以上は歩いていたからな。さすがに疲れたのだと思う。
それは俺も同じではあるが、今の俺たちにはのんびりとしている時間はない。
ヴィクトリアに言って、ジュースを一杯出してもらい、それを飲んで気を取り直した後、こう言って自分に気合を入れるのだった。
「よし!それじゃあ、早速調査開始だ!」
★★★
ということで、調査を開始した俺だったが、すぐに行き詰ってしまった。
「というか。ここで何をすれば世界の状況が分かるというんだ?ヴィクトリアのおじいさんは神属性魔法の使い手ならここを使いなして世界の状況を知ることができるって言っていたけど」
というのも、ここの装置の使い方がさっぱりわからなかったからである。
このままではダメだな。
そう思いながら必死に考えた俺は、ふと思いついてヴィクトリアに相談してみることにする。
おじいさんの孫であるヴィクトリアなら何か気付くのでは?そう思ったからだ。
「なあ、ヴィクトリア。ここの装置を使うのってどうすればいいと思う?」
すると、俺の質問にヴィクトリアはこう答えたのだった。
「おじい様は神属性魔法の使い手ならここを使えるって言っていたんですよね。だったら神属性魔法を使用した状態で、ここの床でも触ってみたらどうですか?とりあえず『神強化』でも使用したらどうですか?」
「なるほど、それは良いアイデアだな。『神強化』」
ヴィクトリアの進言を受け、俺は『神強化』を発動した状態で、当の屋上の床に触れてみた。
すると……。
★★★
「なんだ!塔が光り始めたぞ!」
俺が『神強化』を使用した状態で床に触れると同時に塔が突然輝き始めた。
それと同時に塔の中から俺の中へと何かが流れ込んで来る感覚が沸き起こる。
この感覚には覚えがある。
「これは封印の遺跡で『地脈操作』の魔法を使った時と同じ感じだな」
遺跡で『地脈操作』の魔法を使った時には、感覚的に地脈の情報が流れ込んできてそれで地脈の流れをコントロールできた。
それと同様に、ここではこの世界のありとあらゆる情報が感覚として俺の中に流れ込んできている。
この塔に接続している限りはこの世界のことが何でもわかる!
そんな気がした。
もちろん神聖同盟の本部建物の隠ぺいに使われている魔力の流れも、である。
「さて、それでは神聖同盟の連中よ。お前たちの建物の秘密。暴かせてもらうぞ!」
俺は全神経を集中させると、慎重に神聖同盟の本部を隠している魔力の源を探るのだった。
★★★
その後、三十分ほど塔の力を借りて、魔力の源を探った結果。
「ふむ。どうやらこの辺りのようだな。ヴィクトリア」
「ラジャーです!」
大体の魔力の発生位置を掴んだ俺は、ヴィクトリアに言って用意していた世界地図を出させる。
「え~と。ここと、ここと、ここと……」
そして、今検索した結果を地図に書き込んでいく。
それを見たエリカがこんなことを言う。
「う~ん。場所はフソウ皇国にドワーフの国にエルフの国。それに獣人の国の四か所ですか。どれも四魔獣がいた場所ですね」
「そうだな」
「これは多分四魔獣がいた場所が、地脈の力が集まっていたので、地脈のエネルギー利用しての神聖同盟の本部を隠すための時空魔法を起動するための魔力を確保する場所として都合が良かったからでしょうね」
「なるほどな」
エリカの意見に俺は納得した。
確かに四魔獣が封印されていた場所ならば地脈の力が強い場所だから、そういう魔力を集めるような施設を造るのには最適な場所であるようだった。
ただエリカの意見はこれで終わりではなく。
「ただし、旦那様。私の意見としては敵が魔力を確保している場所を探すのは意外に難しいかもしれませんよ。何せこの魔力を送り込む装置は敵の生命線です。簡単に壊されては敵としてもたまらないでしょうから、これらの場所の中でもかなり辺鄙な場所にあると予想できます。そうなると、私たちとしても地の果てまで敵を探し求める覚悟で動かないといけないと思います」
「そうだな。エリカの言う通りだ。連中も装置は絶対に隠したいだろうから、確かに俺たちも地の果てまで赴いて、装置を探さなければいけないだろうな。大変だろうがやるしかないな」
そう次の目標を口にした俺は、身を引き締め、武者震いをするのだった。
さて、これで次に行くべき場所は決まった。
ということで、俺は嫁たちにこういうのだった。
「それじゃあ、この地図の四か所へ行って神聖同盟の本部を隠している魔力装置を破壊するぞ!」
「「「「おおおおーーー!!!」」」」
こうして、俺たちは神聖同盟を本格的にぶっ潰すべく行動を開始したのであった。




