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今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。 食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、 なぜかおまけで女神を押し付けられる~  作者: 暇潰し請負人
第22章 強固な結界からプラトゥーンクローンを引きずり出すために……。ホルスト、世界の果てへ赴く!
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第572話~神聖同盟の建物の秘密~

「特殊な転移魔法陣?それはどんなものなんだ?説明してくれないか?」

「はい。旦那様」


 俺がエリカに特殊な転移魔法陣とやらについて聞いてみると、エリカが説明してくれた。


「旦那様。私が魔術事典ヒエログリフを所有しているのはご存じでしょう」

「ヒエログリフ?ああ、確かエルフの国の古代図書館で手に入れたやつだろう?もちろん覚えているぞ」


 ヒエログリフ。この世のあらゆる魔法のことが載っている魔術事典である。

 前にエルフの国の地脈の遺跡を調べにエルフの国の古代図書館へ行った時に偶然見つけて、それ以来エリカが所有している。


 エリカはヒッグスタウンにある魔法大学に自分の研究室を持っているくらいに研究熱心で、主に時空魔法の研究をしている。

 そして、このヒエログリフはエリカの研究に大いに役立っているという訳だった。


 それはともかく、エリカの説明は続く。


「そのヒエログリフの中に特殊な転移魔法陣のことが書かれてあったのです。それによると、転移魔法陣の中には特殊な条件下でのみで発動するものがあるとか。エンドウさんの話を聞く限りでは、神聖同盟の人たちが近づいた時だけ転移魔法陣が発動し、建物に入れるのではないかと思われます」

「なるほど」


 エリカの説明を聞いた俺はとても納得がいく思いがした。

 確かに神聖同盟の奴らが来た時だけ転移魔法陣が発動するというのであれば、ワイトさんやエンドウの話とよく符合するのだった。


 ただ、それでもまだ納得できない点があった。


「でもな、エリカ。エンドウの仲間たちは建物が建てられているのを見ているんだぞ。それなのに、その場所に建物はなく、神聖同盟の奴らが近づくと転移魔法陣が発動して、多分その建物へと移動しているんだろうな。だったら、その建物はどこにあるんだ」

「それは簡単な話です。旦那様」


 俺のその質問に対して、エリカは自信ありげにそう答えるのだった。


「簡単な話って、どういう事なんだ?」

「これはこの前海底火山の遺跡の孤児院で手に入れた魔術書に書かれていたことなのですが、時空魔法の中には建物の周囲に仮想空間を作ることによって、通常空間から建物を隠蔽する魔法があるらしいのです」

「仮想空間を作って建物を隠蔽?そんな魔法があるのか?」

「はい。存在するみたいですよ。彼らはその魔法で建物を隠し、転移魔法陣で通常空間と仮想空間を行き来しているのだと思います」


 なるほど。つまり神聖同盟の連中は時空魔法で仮想空間とやらを作ってそこに本部を隠し、特殊な転移魔法陣を使って自分たちだけがそこへ行き来しているという訳か。

 確かにそれならワイトさんの部下が連中を追えなかった理由もわかるし、エンドウたちが建物の場所が分からないと言っているのにも納得できるのだった。


 それに、ここまで手の込んだ隠蔽設備まで仕込んでいるとなれば、ここが神聖同盟の本部であるという確証が持てるのだった。


 そう考えた俺は、ようやく神聖同盟の連中の尻尾を掴めた気がしたのだった。


「それで、エリカ。神聖同盟の本部が隠されているのはいいんだけれど、それを見つける方法があるのか?」

「はい、あります。これを見てください」


 そう言うと、エリカは自分のマジックバッグから一冊の魔術書を取り出した。


「これは?」

「これは、この前の遺跡の孤児院で手に入れた魔術書です。これによりますと……」


 エリカは魔術書を開きながら、どういう風に建物が隠されているのかの説明を始めた。

 

★★★


「この魔法を使うのには非常に複雑な仕掛けが必要なのです」


 エリカが問題の魔術書の該当ページを指し示しながら、建物を隠蔽する魔法についての説明をしてくれる。


「複雑な仕掛け?そんなものがあるのか?」

「はい。何せこの魔法は空間を一つ作ってそこに建物を隠してしまうような魔法なのです。そして、そのためには莫大な魔力が必要で、その魔力を集めるためには大掛かりな仕掛けが必要という訳なのです。具体的にはどこかに魔力を集める装置をいくつか作って、そこから魔力を送って建物を隠すためのエネルギーにしているのだと思います」

「なるほどな」


 エリカの説明はとても納得がいくものだったので、俺は大きく頷いた。

 さすがはエリカだと思った。


 確かに建物を一つ恒久的に仮想空間に隠蔽しようとしたらかなりの魔力を使うと思う。

 実際、同じく時空魔法である俺の『空間操作』の魔法だって、使用する時は魔力を使っているしね。


 そして、神聖同盟の連中にしてもこれだけのものを作るにはかなりの労力が必要だろう。

 だからこそ、半年ほど前にその努力が実って本部にふさわしい建物と設備を完成させてようやくこの森へと越してきたのだと思う。


「それで、エリカ。ここからが重要なんだが、その魔法を解除して神聖同盟の建物を仮想空間から引きずり出すにはどうしたらいいと思う?」

「それはそう難しい話ではありません」

「そうなのか?」

「はい。ここの建物を隠すための仮想空間維持のために魔力を供給する装置を破壊すればよいのです!」


★★★


 ここの建物を隠すための仮想空間を維持するために魔力を供給している装置を破壊すれば、ここの建物は姿を現す。


 エリカから答えを聞いた俺は欣喜雀躍きんきじゃくやくする。

 装置さえ破壊すれば、ようやく神聖同盟の連中を追い詰められる!


 そう確信が持てたからだ。


 となると残る問題は一つだけだ。

 俺は再びエリカに問いかける。


「それで、エリカ、その問題の装置はどこにあるんだ?」

「『魔力感知』で捜索をかければある程度の方向はわかると思いますが、それ以上はわからないと思います」

「なに?方向くらいしかわからないのか?」

「はい。残念ながら、ここではそれ以上のことはわからないと思います。それ以上のことを知りたいのならば……」

「知りたいのならば?」

「どこかもっと魔力探知に適した場所を探し出して、そこからここの魔力の流れを探ればわかる可能性があると思います。ですが、現状ここで探知しても方向以上のことはわからないと思います」

「そうか……」


 ここまで解決方法が分かったというのに、最後の最後で躓いてしまった。


 どこから流れて来るのかわからない魔力の流れを突き止められるなんて都合の良い場所なんてそうそうあるわけがない。

 となると、ここである程度魔力の流れてくる方向を探知しておいて、後は地道に探すくらいしか道はなさそうだった。


 最後の最後で面倒くさいことになってしまったと感じた俺だったが、仕方がないのでせめて効率よく装置がある場所を探す方法を考えようとして、今までに経験してきて来たことを思い出してみる。

 う~ん効率よく魔力の流れが探れる場所か。どこか良い場所、なかったかな?

 そうやって、これまでのことを思い出しているうちに、つい最近ヴィクトリアのおじいさんからよい話を聞いていたことを思い出した。


 そして、気がついたら大声で叫んでいた。


「そうだ!『天空の塔』だ!あそこへ行けば装置の場所が分かるかもしれない!」


★★★


「ホルストさん、天空の塔へ行くんですか?」


 俺が急に大声を出して『天空の塔』と叫んだものだから、驚いたヴィクトリアが、恐る恐るという感じで、俺に問うてきた。

 それを見た俺は、ちょっと声を荒げすぎたかな、と反省し、今度は優しい声でこう言うのだった。


「その通りだ?だってヴィクトリアのおじいさんが言っていたじゃないか。何かあった時は、天空の塔へ行ってみろって」

「そういえば、おじい様、そんなことを言っていたみたいですね」

「ああ。そして、今がその時だと思うんだけど、皆、どうかな」


 この俺の問いかけに対して、嫁たちは一斉にこう答えるのだった。


「「「「それは良いアイデアだと思います」」」」


 これで全員の意見が一致した。

 ということで、『天空の塔』へ行き、ここ『死出の森』に流れて来る魔力の流れを調べることになったのだった。


★★★


 さて、今後の方針も決まったことだし、俺たちはエンドウに別れの挨拶をして一旦ここを離れることにした。


「エンドウ。色々情報をくれて助かったよ」

「いえ、皆様のお役に立てて何よりです」

「それで、お前たちの情報をくれたお礼をやるからみんなで食べてくれ。ヴィクトリア」

「ラジャーです」


 そう言いつつ、ヴィクトリアが収納リングから取り出したのは……。


「じゃじゃーん。稲荷寿司ですよ。みんなで食べてくださいね」


 狐たちの大好物稲荷寿司だった。


「これはありがとうございます。ありがたく食べさせてもらいます」


 稲荷寿司を受け取ったエンドウをはじめとする狐たちは、もらった稲荷寿司を大事そうに抱きかかえ。


「皆様、大変だと思いますが、頑張ってください。それでは、お元気で」


 と、別れの挨拶をして、自分たちの住処へと帰って行ったのだった。


「ああ、元気でな」


 最後に狐たちにそうやって声を掛け、狐たちがいなくなるのを見送った俺たちは早速行動を開始する。


「『空間操作』」


 俺がその場で魔法を使用し、一気に天空の塔のあるシエルの町へと、転移したのであった。


 天空の塔でうまく情報が集まるといいなあ。


 そんな期待を胸に抱きながら、シエルの町へと転移して行くのだった。

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