第563話~ナウル火山の遺跡 第八階層 最後の地脈の封印完了! それとプラトゥーンの魂について教えてもらう~
ヴィクトリアのおじいさんが、「プラトゥーンの魂が逃げた」とか言い始めたので、俺はそのことについて詳しく聞いてみることにした。
「ヴィクトリアのおじいさん、プラトゥーンの魂が逃げ出したってどういう意味ですか?」
「そのままの話だな。くそオヤジの奴、このままでは負けてしまうと思ったのだろう。クローンの肉体から魂だけを分離して、逃げ出しおったのだ」
「魂だけ分離って……そんなことができるのですか?」
「神ならばそう難しい話ではない。ほら、前にセイレーンだって自分の分身体を降臨させて、海底王国の民の前に出て来ただろう。あれはセイレーンがおのれの魂の一部を分身体に分けて操っているのだ。つまり神の魂を入れるにふさわしい依り代となるものがあれば、神ならば魂をそちらに移す事が可能なのだ」
「依り代って……神の肉体の代わりになるようなものってあるんですかね?」
「あるぞ。奴は言っておったではないか。『仮の体はまだある』と。つまりオヤジの奴は予備のクローン体を用意していて、そっちに魂を移したのだよ」
ああ、そういえばプラトゥーンの奴、そんなことを言っていたな。
俺はそのことを思い出し、プラトゥーンって本当にしぶとい奴だと思った。
「それでは、おじいさん。もしかして、この世界を救うには地脈を封印するだけでは足らず、逃げたプラトゥーンの魂を追いかけて封印しないと終らないってことですか?」
「まあ、そういう事だ。ということで、ここの地脈を封印した後も引き続き頑張ってくれ」
まじかよ!
まだ神命が終わってないと聞いた俺は正直げんなりしたものだが、ここまで来たらやるしかない。
「わかりました。ここまで来たら最後までやり遂げて見せます」
「うむ、頼むぞ」
と、プラトゥーンのクローンを倒し、その魂を封じることを誓ったのであった。
★★★
さて、プラトゥーンのクローンを倒すことを決めた俺達だが、その前にやるべきことがある。
「とりあえずここの地脈の封印を済ませておくか」
そう。ここの遺跡へ来た一番の目的『地脈の封印』である。
プラトゥーンの魂は取り逃がしてしまったとはいえ、だからといって最初の目的を忘れてはならないのだ。
ということで、部屋の外にいるセイレーンたちを呼ぶ。
なぜセイレーンを呼んだのか?そう思うかもしれないが、ここの封印装置はセイレーンが造ったそうなので、本人に使い方を聞くつもりなのだ。
「遺跡が揺れるほどの激しい戦闘があったみたいだけど、何があったの?」
部屋に入って来たセイレーンに今の状況を聞かれたので、簡単に状況説明をすると。
「まあ、おじい様のクローンと戦っていたの?それは大変だったわね。でもよくやったわ。クローンとはいえ、神を退けたのだから。褒めてあげるわ」
「ありがとうございます」
「でも、私も大変だったわ。遺跡が変に揺れるものだったから、遺跡が崩れてホルスター君たちが怪我をしないように必死に頑張ったんだからね」
「ホルスターと銀、そうなのか?」
「うん、お姉ちゃん、一生懸命頑張っていたよ」
「はい。セイレーン様のおっしゃる通りです」
「そうだったんですね。セイレーン様、子供たちを守っていただき、ありがとうございます」
セイレーンは状況をすぐに理解してくれ、さらに子供たちのことも一生懸命守っていてくれた事まで判明したので、俺は素直にお礼を言うのだった。
★★★
その後、すぐに地脈の封印作業を開始した。
「ここの封印装置って、起動させるのは少し手順がいるのよ」
セイレーンによると、ここの装置を動かすには手順があるようだった。
ただ別に難しい作業ではなかった。
「『王家の徽章』を右手に、『海竜の徽章』を左手に持って装置に向かって一分くらい黙とうしなさい。そうすれば装置がホルスト君を受け入れてくれて、動くようになるわ」
と、それだけのことで動くようだ。
単純な作業であるが、知らないと動かせないのでありがたいアドバイスである。
「わかりました。やってみます」
ということで、言われた通りに『王家の徽章』と『海竜の徽章』を手に持ち、黙とうする。
すると、一分くらいで装置が光り始めた。
どうやらこれで動かせるようになったみたいだった。
なので早速封印作業を開始する。
「『地脈操作』」
いつものように魔法を起動して地脈の流れを制御する。
しばらく頑張って魔法を使っていると。
「よし!終わったようだな」
地脈の封印が完了して今回の仕事は終わりだ。
そんな俺におじいさんが声を掛けて来る。
「これで、地脈の封印は終わったな」
「はい。ただプラトゥーンの魂が逃げてしまったのでそっちをどうにかしないと、ですけどね」
「まあ、それはそれで大変だろうが、地脈を封印したことでオヤジも本体を復活させることがほぼ無理になった。だから、もうひと頑張りしてくれよ」
「はい、頑張ります」
そんな感じでおじいさんとは今後のことについて話したわけだが、ここでヴィクトリアが会話に割り込んできた。
「ところで、おじい様」
「なんだい?ヴィクトリア」
「ひいおじい様の件は置いておくとして、おじい様の試練ってこれで終わりですよね。おじい様はホルストさんがここの地脈を封印すれば、ワタクシたちの仲を認めると仰っていたのですから」
そんなことを言いながら、つぶらな瞳でおじいさんの顔を覗き込んでいる。
確かにヴィクトリアの言う通りで、おじいさんは地脈を封印すれば俺たちのことを認めると言っていた。
自分の言っていたことを思い出したのか、おじいさんは少し嫌な顔をしつつも。
「そういえば、そうだったな。仕方がない。お前たちのことを認めてやろう」
と、渋々俺たちのことを認めてくれたのであった。
「わーい。これでワタクシとホルストさんはおじい様公認の仲になりました!」
「「「よかったですね」」」
喜ぶヴィクトリアのことを他の嫁たちも祝福していた。
俺も正式におじいさんが認めてくれたのでうれしかった。
こんな感じで地脈を封印し、おじいさんにヴィクトリアとのことを認めてもらった俺は、何だか一仕事終えた気分になり、ホッと一息つくのだった。
★★★
こうして地脈の封印を終えた俺たちは。
「『空間操作』」
俺の魔法で一気に遺跡の入口である船着き場へと移動する。
「ヴィクトリア、潜水艇の出番だ」
「ラジャーです」
そして、ヴィクトリアに潜水艇を出させると、そのまま潜水艇に乗り込み、トリトンの町へと帰還して行くのだった。




