第561話~ナウル火山の遺跡 第八階層 対プラトゥーンクローン戦 前編 神対神では世界が危ない!そして……~
「神聖同盟の盟主とやら!貴様、もしかして我が父プラトゥーンなのではないか?」
そのヴィクトリアのおじいさんの質問に対して、盟主はこう答えるのだった。
「ふふふ、いかにもその通りだ。我こそが『神々の王』プラトゥーンだ。というか、誰かと思えば、お前は我が愚息クリントではないか?久しぶりだな」
「確かに久しぶりだな。クソオヤジ‼あんたを封印して以来、幾星霜の年月が流れたが、こうして再びあんたに会って話をすることになるとは思っていなかったよ。というか、あんた、まだ自分のことを『神々の王』だなんて思っているのか?もう天界の神々は誰もあんたのことをその名では呼ばないぜ」
「ふん。生意気な小僧めが!風の噂だとお前が今は『神々の王』などと名乗っているらしいが、我こそが真の『神々の王』よ。お前に『神々の王』と名乗る資格はないわ!」
「ふん。『神々の王』の称号を名乗るかは他の神々が決める事よ。そして、今あんたのことを『神々の王』と認めている神は誰もいない。資格がないのはあんたの方だ!」
「では試してみるか?行くぞ!」
と、こんな言い争いから、おじいさんとプラトゥーン、二人の神々の戦いが始まったのだった。
★★★
二人の神々の戦いは壮絶だった。
普段はどちらかと言えば優しいおじいさんだったが、プラトゥーン相手には本気で戦っていた。
「『天爆』」
「『天爆』」
おじいさんとプラトゥーンの魔法がぶつかり合う。それだけでこの部屋が激しく揺れる。
いや、この部屋だけではない。
「この感じ。遺跡全体が揺れていないか?」
そう。部屋だけでなくこの遺跡全体が揺れている感じがしたのだ。
今までこんなことはなかった。
だって地脈の封印の遺跡って全て神々が造った遺跡なんだぞ。
俺達が四魔獣と戦った時も、戦った現場くらいならともかく、遺跡全体が揺れるなんてことはなかった。
それなのに遺跡にまで影響が出るということは、それだけ神々の力が強いという事なんだと思う。
ということで、俺たちも防御するだけで必死だ。
「「『神化 防御結界』と『神化 魔法障壁』の合体魔法。『神化 絶対障壁』」
ヴィクトリアとエリカの合体魔法で何とか防いでいるという感じだ。
二人が合体魔法を使えなかったら、俺たちはとっくにやられていただろう。
そう思うと二人に感謝である。
そんな二人の神々の戦いであるが、ヴィクトリアのおじいさんの方が圧倒的に優勢であった。
何発か魔法の応酬があった後の二人の状況を言うと、おじいさんがピンピンしているのに対して、プラトゥーンの方は全身傷だらけで結構ボロボロな感じである。
同じ神同士の戦いなのに、どうしてこうも差がついているのだろうと俺が思っていると、おじいさんがその理由につながるようなことを言う。
「オヤジ。あんた思っていたよりも弱いな。やはりその体、本体ではなくクローンだな」
★★★
え?目の前のプラトゥーンがクローン?つまり偽者ってこと?
おじいさんの発言に俺が驚いていると、プラトゥーンは不敵な笑みを浮かべながらこう切り返すのだった。
「その通りだ、愚息よ。私の本体はまだ復活しておらぬ。この体は我が肉体の一部である四魔獣の肉体から採取した細胞を使い、神聖同盟の盟主を改造して作られたクローンに我が魂を憑依させたものに過ぎぬよ」
そのプラトゥーンの話を聞いた俺は、今での神聖同盟の連中の行動に納得がいったのだった。
今まで連中が各地の遺跡で地脈の封印を解こうとしていたのは、プラトゥーンの本体の解放と四魔獣を復活させて世界を混乱させようとしたことの他に、プラトゥーンのクローンの作成という理由も含まれていたのだということも。
え?プラトゥーン本体が解放されればクローンはいらないだろうって?
それはそうだが、奴らの行動がすべて計画通りに行くとは限らないので、保険としてクローンの作成を狙ったんだと思う。実際、俺たちの手により地脈は封印され、四魔獣も討伐され、計画はうまく行っていなかったわけだし。
それで、そのクローン実用化研究の副産物が俺たちが戦ったキメラや四魔獣のクローンだったという訳だ。
おかげでえらい苦労をさせられたが、まあ、いいや。終わったことだし。
それよりも、おじいさんとプラトゥーンの話はまだ続く。
自分はクローンだと白状したプラトゥーンに、おじいさんはこう言うのだった。
「やはりクローンだったか。ならばその肉体、このまま滅ぼしてやろう」
「ふふふ。そううまく行くかな?」
それに対してプラトゥーンはさらに不敵な笑みを浮かべながらこう反論するのだった。
「愚息よ。お前、一応かなり手加減しているようだが、それでもこの世界で出してはいけないほどの神の力を使っているではないか。確かにその調子で神の力を振るい続ければ、私のこの肉体を滅ぼし、私を再び封印することもできよう。だが、そのせいでこの神の力が宿った遺跡にまで影響が出ておるではないか。これ以上、お前が力を使えばこの遺跡の外にも影響が出るのも時間の問題だろう。そうすればこの世界の生物は滅びるだろう。それでも良いのなら、このまま私と戦うがよい」。私はこの世界のことなどどうでもよいからどちらでも構わぬぞ?」
「くっ」
そこまでプラトゥーンに言われたおじいさんはピタリと攻撃を止めてしまった。
どうやらプラトゥーンの言っていることは本当らしく、このまま二人が戦い続ければ、世界に多大な影響が出るのは間違いないようであった。
そこまで話を聞いて俺はようやく理解した。
今までやって来たジャスティスをはじめとするヴィクトリアの家族である神々たち、全然本気ではなかったんだな、と。
本気で神が戦えばこの世界がとんでもないことになってしまうのだ、と。
だから神たちは自分で戦わず俺たちに戦わせていたのだ、と。
そこまで理解した俺は、おじいさんがプラトゥーンとの戦いを止めてくれたことに正直ホッとしたのだった。
まあ、それはそれとして、このままプラトゥーンを放置しておくわけにはいかない。
誰かが止めなければならない。その役目は当然……!
おじいさんが俺たちの方へ振り向いて言う。
「さあ、お前たち、出番だぞ。見事プラトゥーンのクローンを打ち倒してみせよ!」
そのセリフを聞いた俺は、ああやはりそうなるか、と思った。
★★★
プラトゥーンのクローンと戦うことになった俺はおじいさんに問うた。
「おじいさん、一つ聞いていいですか?」
「何だ?」
「俺たちあいつに勝てますかね?あいつ、相当強そうなんですが」
その俺の質問に対しておじいさんはこう答えるのだった。
「勝てるとも!ここまでの冒険でお前たちの実力、しかと確かめさせてもらったが、その実力は目の前のオヤジのクローンに決して劣るものではない!それに今は奴を倒すチャンスだぞ!」
「そうなんですか?」
「そうだぞ!オヤジは今俺と戦ったばかりで傷ついているからな。今の弱ったオヤジの肉体なら倒すこともそう難しくないであろう」
「わかりました。やってみます!」
おじいさんの言葉を受け、ちょっとは自信が湧いてきた俺は今度はプラトゥーンのクローンの方を向き、こう啖呵を切った。
「そういう事で、プラトゥーン。今度はおじいさんに代わって俺達が相手だ!」
★★★
「そういう事で、プラトゥーン。今度はおじいさんに代わって俺達が相手だ!」
「ククク。新しい神々の手先どもよ。今度はお前たちが相手か」
俺の挑発に対し、プラトゥーンのクローンは不敵に笑いながらそう返してきた。
「何がおかしい!」
「ふふふ、か弱い人間の分際でいくらクローンで弱っているとはいえ、このプラトゥーンに挑んで来るとは身の程知らずにも程がある!その身の程知らずさが、まるでアリが象に挑んでいるようで滑稽でおかしいのよ。だから笑ったのさ」
「ふん。なるほど。お前にとって俺達はアリにすぎないという訳か。……いいだろう。そのありにどれほどのことができるか見せてやる!みんな、行くぞ!」
その俺の叫びと共に、俺たちとプラトゥーンの戦いの火ぶたが切って落とされたのだった。




