第560話~ナウル火山の遺跡 第八階層 対神聖同盟戦 真打現る!~
俺達と神聖同盟たちとの戦いが始まった。
「者ども!侵入者を始末せよ!」
「おおおお!!!」
神聖同盟の指揮官らしき人物の指示で攻撃部隊の連中が突っ込んで来る。
戦いが始まる前に連中の装備を確認すると、かなり良い物を身に着けている。
奴らの部隊のうち、前衛の連中はアダマンタイトの剣とアダマンタイトとハイミスリルの複合素材でできた鎧を身に着けていた。
アダマンタイトとハイミスリルの複合素材というのは最近開発されたという最新の素材で、オリハルコンには劣るが、普通のアダマンタイトやハイミスリルよりは優れた強度を誇ると評判の品だった。
まだ生産が始まったばかりで流通量も少なく、値段も目玉が飛び出るほど高いものなのにこれだけの人数分、大体前衛だけで二百人ほどいた、よく揃えたと感心するほどであった。
「ホルスト君。後ろの魔法使いたちが身に着けているローブと杖。ドラゴン製だよ。しかも、あれって上位種のドラゴンの品物じゃないかな」
鍛冶屋の娘のリネットの見立てでは後衛の魔法使いたちの装備も上等な品であるようだ。
どうやらレッドドラゴンやブルードラゴンといった高位のドラゴンの素材を使っているようだ。
以前、連中の仲間が普通のドラゴンの素材でできた装備で俺たちに挑んできたことがあったが、当然それよりもはるかに高価な装備である。
こっちも二十人ほどいるので、前衛と後衛、合わせればかなりの金額を使っていることになる。
よくそんな金があるなと俺は感心したものだが、ここで俺は一つ思い出す。
「そういえば、連中は獣人の国で窃盗団の運営をしていたな。それにうちの国でも国宝を盗んだりしていたし、色々な悪事を働いて稼いでいるんだろうな。これらの装備の資金はそこから出ているのだろう」
まあ、要するに悪事を働いて得た金でこれらの装備を買っているという訳だ。
本当にしょうがない奴らだが、それもここまでだ!
見た限り神聖同盟の攻撃部隊は装備こそ立派だが、腕の方は相変わらず大したことはなさそうだ。
ならば、速攻でぶっ潰して二度と悪事ができないようにしてやる!
★★★
敵部隊の攻撃が来た!まずは魔法使い部隊が魔法を放ってくる。
「『火球』」
「『電撃』」
「『小爆破』」
と、次々に魔法を放ってくる。
それに対してこっちはヴィクトリアが前に出て防御行動に出る。
「『極大化 防御結界』」
たちまち俺たちの前に魔法の障壁が展開する。
そして、カランカランと乾いた音を立てて、敵の魔法攻撃はすべて無効化されるのだった。
今度はこっちの番だ。
「『極大化 天風』」
「『極大化 風刃』」
俺とエリカが共同で放った真空の刃が魔法使いたちに襲い掛かる。
「『魔法障壁』」
魔法使いたちも俺たちの魔法を魔法の障壁で防ごうとしたが、レベルが違い過ぎてその程度ではどうにもならず。
「ぐぎゃー」
「ぐはっ」
と、低いうめき声を残して息絶えて行くのだった。
そんな風に俺とエリカが魔法使いたちを始末している間にリネットとネイアが前衛部隊の相手をする。
「『旋回撃』」
「『武神昇天流 連武撃』」
「ひいー」
「あぎゃー」
相手は装備こそ優秀だが、腕はいまいちな連中である。
リネットとネイアの必殺技を食らって次々に地面にたれて動かなくなっていく。
「よし!終わったな」
五分も経たないうちに、俺たちは敵の部隊を全滅させた。
★★★
神聖同盟の攻撃部隊が全滅し、残りは儀式を行っていた連中だけになった。
無駄だとは思うが、一応連中に降伏を呼び掛けてみる。
「お前たち、大人しく降伏したらどうだ。命だけは助けてやらないこともないぞ」
それに対して返ってきた返事は予想の範囲内のものだった。
「降伏?ふざけるな!我らに降伏などありえぬ!我らは最後まで我が神のために戦うぞ!」
と、全く取り付く島がない感じだった。
仕方ないのでこのまま倒してしまうか。
俺達がそう思い、剣を構えたところで連中が動いた。
突然全員が立ち上がるなり、俺たちの方をギロッと睨みつけてきた。
俺はてっきり連中が無謀にも俺たちに攻撃してくるのかと思ったが、連中の行動は俺たちの斜め上を
行っていた。
「盟主様、バンザイ!我らの命を盟主様の下へ!盟主様、後のことはお任せします!」
そう全員で一斉に叫ぶと、口を強くかみしめ、一斉に血を吐いてその場に倒れ伏したのだった。
「なに!」
事態の急変に驚いた俺は連中に近づくと、連中のことを調べてみる。すると。
「呼吸をしていない。息絶えている」
全員すでにこと切れていた。
多分歯に毒でも仕込んでいて、強く噛むことで仕掛けを発動させ、そのまま昇天したのだと思う。
こんなことは以前にもあった。
以前も連中は自分たちの命を捧げて四魔獣を復活させたことがあった。
今回もその時と同じように何かを復活させようとして命を捧げたのだろうか?
そう思ったが、それにしては不可解だ。
四魔獣はすべて封印してしまっていて復活させるやつはもう残っていない。
それに、連中が最後に言っていた言葉も気になる。
「確か、『我らの命を盟主様の下へ!盟主様、後のことはお願いします!』。そんなことを言っていたな」
と、俺がそこまで言った時。
「ふふふ。我が信徒たちよ。お前たちの力と思い。確かに受け取ったぞ」
部屋の奥の方から誰かのそんな呟くような声が聞こえた。
そちらの方を見ると、部屋の中心部にある祭壇とは別に、地脈の装置の前にも小さな祭壇があり、そこに座っていた男がそう言っていたのだった。
この男の存在に今まで気がつかなかったのは、たくさんの神聖同盟の連中に気を取られていたからだろう。
それはともかく、今こいつ、「お前たちの力と思い。確かに受け取ったぞ」とか言ってなかったか?
この場合のお前たちというのが神聖同盟の奴らのことだとしたら……目の前のこいつが神聖同盟の盟主という事か!
そう思った俺は目の前の男に声を掛ける。
「お前が神聖同盟の盟主か!?」
すると、「くくく」と、不気味な笑い声を発しながら俺たちの方へと振り返り、こう言うのだった。
「そうだ。いかにも私が神聖同盟の盟主である。お前たち、新しい神々の手の者だな?よくも今まで我らの活動を邪魔してくれたものよ。だが、それもここまでよ。今こそ私がお前たちを始末してくれよう」
そうやって言いたいことを言った盟主は、立ち上がると、俺たちを攻撃しようと身構えたのだが、ここで横槍が入った。
この事態を見守っていたヴィクトリアのおじいさんが、盟主の顔を見て何かに気がついたようで厳しい顔をしたまま盟主にこう聞くのだった。
「神聖同盟の盟主とやら!貴様、もしかして我が父プラトゥーンなのではないか?」
え?神聖同盟の盟主がプラトゥーン?
おじいさん、それは本当なのですか?
事態の急展開に俺は驚きを隠せず、おじいさんとプラトゥーンの話を大人しく聞くしかないのだった。
果たして、この戦いどうなるのだろうか?




