第558話~ナウル火山の遺跡 第七階層 後編 ヴィクトリア、お肉を焼く~
さて、ヴィクトリアのおじいさんによるご褒美の進呈が終わった後は、皆で庭に集まってバーベキュー大会をした。
「さあ!今日は無礼講です!じゃんじゃん食べましょう!」
バーベキューということでヴィクトリアが超張り切っている。
収納リングからドラゴンやオーク、海牛といった肉類やたくさんの野菜を出し、魔道メイドさんたちに渡し。
「メイドさんたち、このお肉や野菜を食べやすい大きさに切って串に刺してください」
「はい、畏まりました」
焼く前の下ごしらえをやってもらう。
一番面倒くさい作業をやってもらってなんかメイドさんたちには悪い気がしたが。
「そんなことはないわよ。ここのメイドさんたち、屋敷の手入れをすることとお客さんに奉仕する事こそが自分たちの存在意義だと思っているの。だからホルスト君たちがやって来てお客さんをもてなすという仕事をすることができて、むしろ使命を果たせたと喜んでいるわよ」
セイレーンによるとそういう事らしいので、それならいいかと思い、全面的にメイドさんに任せようと思う俺なのであった。
★★★
「それでは焼きますよ!今日はワタクシがバーベキュー奉行を勤めますので、焼くのはワタクシに任せてください!」
メイドさんたちが作ってくれ肉や野菜の刺さった串を焼きながら、ヴィクトリアがはしゃいでいる。
よく知らんが、バーベキュー奉行をやるとかまで言っている。
俺的には奉行って何?って話だったのだが、後で聞いた話によると、「異世界で特定の仕事の責任者を務める仕事のことです」とのことだったので、自分が責任を持って焼くという意味らしかった。
ということで、ヴィクトリアが頑張って焼いているわけだが、今回皆の食欲がすごかった。
「ヴィクトリアさん。その調子でどんどん焼いてください!今日はなぜかお腹が空くのでたくさん食べたいのです」
「ヴィクトリアちゃん、頑張って焼いてよ。今日は昼間汗をかいて体力を使っちゃったからお腹が空くのよ」
「ヴィクトリアさん、頑張ってください。私も精いっぱい食べて、ヴィクトリアさんの思いに応えたいと思うので」
ヴィクトリア以外の嫁たちは第六階層で思ったよりも体力を使ってお腹が空いたせいか、珍しくおかわりを催促しているし。
「銀姉ちゃん。ヴィクトリアお姉ちゃんが焼いてくれたお肉、柔らかくておいしいね。もっとたくさん食べたいね」
「そうだね。食べたいよね」
ホルスターと銀も腹ペコなのか、たくさん食べて、どんどん串を空にしているし。
「ヴィクトリア。そんなペースじゃ間に合わないわよ。何せ今日の私のお腹は底なし沼。あるだけご飯食べちゃうつもりだから」
セイレーンは、そんな風にいつも通りに食い意地が張っているし。
「ふむ。ヴィクトリアが焼いてくれたバーベキューはとてもうまいな。これは食事が進むわい」
おじいさんも普段より大分食べていた。
かくいう俺も。
「うまい。うまい。うまい!よし!次は一気に三本まとめて食べてやろう!」
と、自分でも珍しいくらいの勢いで食べていた。
そんな訳で、メイドさんが作ってくれた串もどんどん無くなって行っている。
それを見て、ヴィクトリアが焦り始める。
「ああああん。皆さん、食べるのはいいのですが、ワタクシの分もちゃんと残しておいてください!」
汗をかきながら必死に串を焼きつつも、ヴィクリアもお腹が空いていたのだろう、自分も食べたくなってそんな泣き言を言い始めたのだった。
そんなことを言ってもバーベキュー奉行だとか言い始めたのはお前だからな。
最後まで責任を持って焼けよ。
焦っているヴィクトリアを見て俺はそう思ったが、このままではかわいそうな気がしたので一応フォローしてやることにする。
何本か串を取り、その肉や野菜を串から外して皿に盛ると、ヴィクトリアの側まで行き。
「ほら、ヴィクトリア。俺が食べさせてやるから、あ~んしろ」
「あ~ん」
そんな感じで、串を焼いているヴィクトリアに食べさせてやったのだった。
ヴィクトリアは串を焼きつつも、モグモグと口を動かして肉や野菜を消費し。
「おいしいです。ホルストさん、ありがとうございます」
と、満面の笑みを浮かべながら俺にお礼を言って来るのだった
。
やれやれ世話の焼けるやつだな。
そう思いつつも、そんなヴィクトリアをかわいいと思う俺なのであった。
★★★
バーベキューが終わった後は明日に備えてさっさと寝た。
明日行くのは第八階層。
この遺跡最後のエリアだ。
気合を入れるためにも今日は英気を養いたいところなので、すぐに寝ることにしたのだった。
ちなみに今日俺と一緒に寝たのはヴィクトリアだった。
ヴィクトリアは一緒の布団に入って横になるなり、俺にこう囁いてきた。
「これで最後の地脈の封印も完了しそうですね。そうすればおばあ様のお仕事も完了です。そうしたら、いよいよのんびりとできそうですね」
「ああ、そうだな」
「そうなったら、ワタクシ、ホルストさんの赤ちゃんが欲しいです」
「ああ、俺も欲しいよ」
「だから、明日は頑張りましょうね」
そう言うと、最後はヴィクトリアがほっぺたにキスをして来た。
ヴィクトリアの気持ちが込められていて、とても暖かいキスだった。
ヴィクトリアにキスされた俺は明日は頑張ろうという気になり、この日はそのまま眠りに入り、明日に備えるのだった。




