第555話~ナウル火山の遺跡 第六階層 煮えたぎる溶岩の世界 前編 炎の魔物たちとの戦い~
とうとう第六階層まで来た。
ヴィクトリアのおじいさんによると、ひとつ前の第五階層までは俺達にこの世界が歩んできた歴史を見せるためのダンジョンで、ここからは普通のダンジョンになるということだった。
それで、どんな仕掛けが待っているのだろうと思って来てみると。
「パパー。ここ、すごいねえ。真っ赤な溶岩が川みたいに流れているよ。とても熱いねえ」
「ああ、そうだな」
ホルスターの発言に苦笑しながら俺は答えた。
そうこの階層は溶岩の川が流れる溶岩エリアだったのだ。
俺が苦笑いしているのを見たおじいさんが俺に声を掛けて来る。
「どうだね?私が用意した溶岩は?ここの溶岩は特殊でね。普通の溶岩よりもはるかに高温なのだよ。落ちたらタダで済まないから。気を付けなさい」
★★★
この溶岩が流れるエリアを俺たちは進んで行く。
ここには溶岩の上を流れて行く浮島があるので、それに乗り込んで溶岩の流れに園って進んで行くのである。
これってどこかで見た仕掛けだよなあ。
この光景に既視感を感じた俺は、しばらく考え、思い出した。
「ここって『希望の遺跡』にあった溶岩エリアとそっくりだよな」
そう。ここは『希望の遺跡』の溶岩エリアそっくりだった。
そして、前にもこんなことがあったのを思い出す。
そういえば前にドワーフ王国の地底湖に行った時も、こんな経験をしたな。
あの時も希望の遺跡の地底湖と同じような地底湖があり、ネズ吉の話だとヴィクトリアのおばあさんが予行演習的な感じで希望の遺跡の地底湖を用意したということを聞いた。
ということは、『希望の遺跡』の溶岩エリアもここの予行演習だったということなのだろう。
さすがはヴィクトリアのおばあさん、俺たちのためにあのダンジョンを用意してくれていたとは気が利く人である。
ただ、ここは『希望の遺跡』のそれよりもずっと危険そうだ。
溶岩はより高温になっているし、出てくる魔物も強力になっていることだと思う。
しかし、俺達には進むしか道はない。
ということで、気合を入れて進むとしよう。
★★★
浮島に乗って溶岩の川を進んでいると、予想通り魔物が現れた。
「ホルストさん。フレイムドッグと炎の獅子の混成軍がこっちに近づいて来ています」
ヴィクトリアが放っていた風の精霊からの報告を受け、俺たちにそう警告してくる。
……って、フレイムドッグは希望の遺跡でも雑魚として出てきていたけど、炎の獅子って確か希望の遺跡ではボスとして出てきたはずじゃなかったっけ?
それがいきなり雑魚として出て来るなんて……どうやらヴィクトリアのおじいさん、この階層を造るのに大分気合いを入れたみたいだった。
これだけでも、ここが予行演習であった『希望の遺跡』の時と比べて大分難易度が上がっているのが分かるというものだ。
とはいえ、泣き言を言っていても始まらない。
「行くぞ!」
俺は剣を構えると、魔物たちに立ち向かっていくのだった。
★★★
俺達とフレイムドッグ・炎の獅子との戦いが始まった。
「ブオオオオオ」
戦いはまず魔物たちの一斉攻撃から始まった。
炎の獅子が三匹とフレイムドッグが七頭の合計十体の魔物の炎のブレスが俺たちに迫って来る。
「『極大化 天凍』」
「『極大化氷弾』」
それに対して俺とエリカで氷の魔法で防御、いや反撃を試みる。
俺達の魔法は炎ブレスをあっさり貫通し、逆魔物たちに氷の魔法が迫って行く。
極太の氷の刃が魔物たちに降り注ぎ、魔物たちを攻撃する。
「ワオーン」
この攻撃だけで、フレイムドッグたちが悲鳴をあげながら全滅する。
まあ、フレイムドッグ自体はそこまでの魔物ではないからこんなものだと思う。
それで、問題は炎の獅子なわけだが、こっちも対処している。
俺とエリカが時間を稼いでいる間に。
「『氷属性付与』。『炎属性耐性付与』」
ホルスターがリネットとネイアの二人に属性付与魔法を使ったからだ。
これで炎の獅子対策もバッチリだ。
さて、総攻撃と行くとするか。
★★★
残った三匹の炎の獅子に対して総攻撃を開始した。
この勝敗もあっけないものだった。
「『精霊召喚 水の精霊』。さあ、ホルストさんたちを炎から守るのです!」
俺とリネットネイアの三人が、そうやってヴィクトリアが召喚した水の精霊に守られながら、炎の獅子たちのブレス攻撃を突破していく。何度も炎の獅子たちの炎ブレスが飛んでくるが、その度に水の精霊の水の結界に阻まれて、ボンボンと激しい音がするだけである。
そして、十分に炎の獅子たちに接近したところで。
「『フルバースト 究極十字斬』」
「『フルバースト 一撃両断』」
「武神昇天流奥義 『フルバースト 虎殺脚』」
各々が炎の獅子に対して必殺技を放つ。
「ガオオオオオン」
俺たち三人の必殺技をもろに食らってしまった炎の獅子たちは、最後の唸り声をあげるとその場に倒れ伏すのだった。
こうして俺たちは魔物の群れをせん滅したのだった。
★★★
そんな感じで雑魚の魔物たちをけちらしながら進んで行くと、とうとう第六階層の一番奥へと到着した。
「ホルストさん。あそこで淡い光を放っているのが転移魔法陣ではないですか?」
「そうみたいだな」
「ということは、ここがゴールで間違いないですね」
浮島からでも転移魔法陣の存在が視認できたので、ここで間違いないようだった。
ということで、浮島を降りて早速上陸することにする。
「『重力操作』」
俺の魔法で全員が一斉に浮島から飛び立ち、転移魔法陣の島へと降り立つ。
降りるなり、これでこの階もクリアかなとホッとしたのだが、その時だった。
「うん?」
突然黒い影が俺たちの上へ覆いかぶさる。
そのことに危険を感じた俺はとっさにヴィクトリアに命令する。
「ヴィクトリア!防御魔法だ!」
「『極大化 防御結界』」
俺の命令で急いで防御魔法を張った次の瞬間。
ピキピキン。
という音とともに防御魔法の外が凍り付く。
俺が氷の槍が来た方を見て見ると。
「氷の……龍?」
そこにいたのは氷の龍『氷龍』だった。




