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第549話~ナウル火山の遺跡 第三階層 初期都市 中編 クノッソスの地下迷宮に挑め!~

 さて、いざ『クノッソスの地下迷宮』へ挑むことになった俺達だが、ここの迷宮はまさに迷宮と呼ぶにふさわしい造りだった。

 ここの迷宮は地下二階までしかない小規模なものだったのだが、その割には道が入り組んでいて、罠も豊富だった。


「あれ?ホルスト君、ここさっきも通らなかったかい?」

「そうだったかな?同じような造りの壁や柱ばかりで、段々どこにいるか分からなくなってくるな。それに細い道ばかりで、この造りだと確かに防衛するのには有利だろうな」


 侵入者の侵入を拒むため、見た目が同じでとても細い道を造りまくっていたり。


「ぎゃああああ」

「ヴィクトリアさん、危ないです!えい!」

「ふう、助かりました。ネイアさんが咄嗟に引っ張ってくれなかったら落とし穴に落ちて、穴の中の針山に串刺しにされるところでした」


 今ヴィクトリアが落とし穴に引っかかりそうになったように、あちこちにトラップが仕掛けられていた。


 防衛用に造られたとはいえ、かなりの悪意がある迷宮である。

 これだと造った張本人も訳が分からなくなり、管理を放棄せざるを得ないだろうと思う。

 何せ機密が漏れないように地図すら作ってないみたいだし。


 それら迷宮の悪意に加えて、魔物たちまで襲って来た。


「コボルトとゴブリン、ゴブリンウォーリアの混成軍です」


 敵の魔物はコボルトやゴブリンなどの小粒な魔物が中心だった。

 どれも大した相手ではないが、数だけはやたら多い。今回も数十は超えていると思う。


 俺たちにとっては何でもないが、普通の軍隊や冒険者がここに侵入したら厄介なことになると思う。

 何せ細い道で小さい魔物たちが待ち伏せをして、数を頼りに襲ってくるのだ。

 これでは普通の軍隊や並の冒険者ではひとたまりもなく殺されると思う。

 本当鬼畜な迷宮を造ったものだと思う。


 とはいえ、俺達にはこんな連中に構っている暇はない。さっさと片付けることにする。


「『風刃』」

「『精霊召喚 風の精霊』。さあ、風の精霊よ!コボルト共を滅ぼしてしまうのです!」


 エリカとヴィクトリアが前に出て魔法を唱え、風の力で魔物どもを次々に切り刻んでいく。


「やったな。これで終わりかな?」


 そして、三分も経たないうちに俺たちは魔物の群れを全滅させたのだった。


★★★


 そんな感じで俺たちは迷宮を進んでいた俺たちなのだが。


「こんな調子ではいつここを出られるかわからないな。しょうがない。あれを使うか」


 段々とこの複雑な迷宮に嫌気がさしてきたので奥の手を使うことにする。


「『世界の知識』」


 俺の魔法でここのマップを作成することにする。

 いくら複雑なダンジョンでもマップさえあれば安全に進めるからな。

 これで、万事オーケーである。


「よし!これで地図は完成した。先へ進むぞ!」


 そして、完成した地図を参考に進むこと三十分。


「お!下の階へ降りる階段だ」


 下り階段を発見した俺たちは、さっさと下の階へと降りて行くのだった。


★★★


 『クノッソスの地下迷宮』の地下二階も、俺の作った地図を使ってサクサクと攻略して行った。


「ホルストさん。地図によるとこっちみたいですよ。私の『生命力感知』によると魔物の気配もないので、大丈夫です」

「そうか、ネイア。じゃあ、行くとしようか」

「ちょっと、ヴィクトリアちゃん。そこ、気を付けて!間違って床にあるスイッチを踏むと毒矢が飛んでくるよ」

「本当ですか?危ない所でした。ありがとうございます」


 そうやって所々にある罠を避けながら順調に進むことができた。


 ただ、それでも魔物には遭遇する。

 しかも、この階層でよく遭遇したのはヴィクトリアが大嫌いなあいつだった。


「ひいいいいい、またスライムです。スライム、大嫌いです!」


 そうスライムだった。

 しかも今回出てきたのは、スライムの中のスライム、前に一度どこかのダンジョンで戦った強敵であるブラッドリー・エンパイアー・スライムだった。


 ブラッドリー・エンパイアー・スライムを見たヴィクトリアはそそくさと俺の後ろに隠れると、目をつむってじっとしている。

 これは明らかにどうにかしてくれというサインだった。

 前にスライムを退治させて少しはスライム嫌いが直ったと思っていたのに、これである。


 どうもこの前トリトンの町の図書館でスライムに関して何かあって、それでやっぱりなるべくスライムには関わらないようにしたようだった。


 まあ、ここまで嫌いだというのなら無理強いはしない。

 残りのメンバーで何とかするとしよう。


「『極大化 雷嵐』」


 まずエリカが魔法でブラッドリー・エンパイア・スライムの体を切り裂き、その核が露出するように仕向ける。


「『極大化 天氷』」


 次に俺がブラッドリー・エンパイア・スライムの露出した核目掛けて氷の魔法を放つ。

 俺の魔法を受けた核はピキピキという音を立ててあっという間に氷漬けになる。


「うりゃあああ。『飛翔脳天割』」


 そこへリネットが必殺技を出し、核に対して思い切り斧が振り下ろされる


 リネットの一撃に氷漬けにされた核が耐えられるわけがなく、パリンと音を立てて核が壊れた。

 核を破壊されたブラッドリー・エンパイア・スライムはドロドロに溶け、消えてなくなったのであった。


★★★


 ブラッドリー・エンパイア・スライムを倒した俺たちは移動を再開した。

 再開したのだが……。


「ヴィクトリア。まだ怖いのか?」

「……はい」


 ヴィクトリアの奴がスライムを怖がって俺の側から離れようとしなかった。

 まあ、それ自体は構わないのだが、その様子をヴィクトリアのおじいさんが羨ましそうに見ていた。


「おのれ!小僧!私のヴィクトリアとイチャイチャしおって!絶対酷い目に遭わせてくれる!」


 と、呪詛めいたことまで言っているし。


 最高神の呪詛とかはっきり言って恐いんで止めてほしいんですけど……。

 とはいえ、おじいさんの恨みを買わないようにヴィクトリアを離すというのも何か違うし……。


 そんな風に俺が困っていると、ここでセイレーンが助け舟を出してくれた。


「ソルセルリお姉ちゃんから聞いていたけど、ヴィクトリアって本当にスライムが嫌いなのね。一応お姉ちゃんが『スライム除け』の魔法を教えておいたって言っていたけど、使ってないの?」

「使ってないです。ワタクシの魔法だと弱いスライムは出てこなくなるのですけど、ブラッドリー・エンパイア・スライムは出てくるので」

「そうなの?それじゃあ私が『スライム除け』の魔法を使ってあげるわ。それならブラッドリー・エンパイア・スライムも出てこられないから、問題ないわ。だからホルスト君からそろそろ離れなさい。そんな風にくっついたままだと、とっさの時に判断が遅れて事態の急展開に対応できないでしょ」

「は~い」


 ということで、セイレーンが『スライム除け』の魔法を使ってくれたので、ヴィクトリアは俺から離れたのだった。


 これでおじいさんの恨みをこれ以上飼わなくて済んだのであるが、その反面残念な気持ちもあった。

 ヴィクトリアにピッタリとくっつかれているのって別に嫌じゃないからな。


 一体どっちなんだよ!


 そうツッコミたい人もいるかもしれないが、それが俺の本心なのだから仕方ない。

 まあ、ヴィクトリアとのふれあいタイムが終了するのは残念だが、これでもうスライムは出てこないと思うので、先を急ごうと思う。


★★★


 そんなことがあってから一時間ほどで地下二階の最奥の部屋。ボス部屋に到着した。

 入口の扉を見ると、何やら牡牛らしい動物の紋様が書かれていた。


「牡牛ということは、ここのボスは牛に関する魔物なのでしょうか?」


 紋章を見たネイアがそんなことを呟いていたが、俺もその意見には概ね同意だ。

 この都市を渡せとか言ってくるような魔物だから、知恵も高く、その分虚栄心も高い可能性も高い。

 こうやって紋章を使って自己アピールをしていても不思議ではない。


 まあ、それはどうでもいいか。さっさと魔物を倒してしまうことにしよう。


「行くぞ」


 俺達は入り口の扉を開けると、ボス部屋の中へと入って行った。

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