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第545話~ナウル火山の遺跡 第二階層 農耕が始まった頃の村 前編 魔物に襲われる村を救え!~

 第一階層の転移魔法陣を越えた先には広大な平原が広がっていた。

 先程の植物がうっそうと生い茂る森と比べたら、はるかに開放的な場所である。


 それはいいのだが、これはどこへ行けばいいのだろう。


 俺がそう思っていると。


「こっちよ。こっちへ行けばいいわよ」


 そうセイレーンが案内してくれたので、そちらへと向かうことにする。


★★★


「小さな村がありますね。リネットさん」

「そうだね。ネイアちゃん」


 そんなリネットたちの発言通り、しばらく行くと小さな村があった。

 あったのだが、何か変な感じがした。というのも。


「旦那様。あそこの村の建築様式って大分古いものではないですか?それこそ古代史の教科書にでも出てくるくらいの」

「俺は不勉強なので古代史うんぬんは分からないけど、確かにまだ新しい建物なのに古臭い感じはするな」


 村の建物、いや、建物もそうだがその他の村の設備も含めて、村の全てが古い感じがしたからだった。

 そんな風に俺たちが首をかしげていると、ヴィクトリアのおじいさんがその理由を教えてくれた。


「ここは人間が農耕を始めた頃。その頃の村だよ」


★★★


 ここは人間が農耕を始めた頃の村。


 ヴィクトリアのおじいさんがそんなことを言い始めたので詳しく聞いてみることにする。


「人間が農耕を始めた頃の村ですか?どうしてそんな場所をダンジョンに造ったのですか?」

「言っただろう。お前たちのこの世界の歴史を見せてやるためにここの五階層まで造ったと」

「そういえばそう言っていましたね。それで、その世界の歴史の中でもなぜこの時代を選んだのですか?」

「それは人間はその文明の始まりである農耕の始まりの時から既に魔物と戦って来た。そのことをお前たちに教えたかったからだ」

「何と、人間はこの時代から既に魔物と戦っていたというのですか?」

「うむ」


 ここでおじいさんは大きく頷くと、右腕をあげ、遠くの方を指さす。

 すると、村から少し離れた所では砂煙が立ち上がるのが見え、人々の歓声や金属がぶつかり合うような音が聞こえてきた。

 それを見た俺は、もしかして……あれって戦闘じゃないか、と思い、さらに詳しく観察しようとした。

 ただ実際にはその必要はなく、おじいさんが状況の説明をしてくれたのだった。


「あれは村を襲ってきた魔物とこの村の村人たちが戦っているのだよ」

「やはりそうでしたか。俺の予想通りでした」


 俺の予想通りの事態だった。

 そして、俺の予想通りならこの状況は……。


「うむ。お前の考えている通りだ。敵である魔物たちの数は、ここの村井人たちの数倍はおる。このままだと村人たちの方が負けるだろう」

「大変だ!すぐに助けなきゃ」


 おじいさんに現在の状況を聞いた俺はすぐさま飛び出して行った。

 無論、村人たちを救出するためである。


「私たちも行きます!」


 俺が戦場へと行くのを見て皆が付いてくる。

 全員すでに武器を構えていてやる気十分だ。


 さて、村を襲う魔物などさっさと倒してしまおう。


★★★


 戦場に急行すると、魔物と村人たちが死闘を繰り広げていた。


「うおおおおお」

「キシャアアアア」


 村人と魔物。お互いが雄たけびを上げながらすさまじい戦闘を行っている。


 だが、村人たちの方が大分振りそうだ。

 当たり前だ。村人が五十人程であるのに対し、魔物は三百を超える数がいるからだ。

 相手の魔物はオーガやオーク中心の弱い魔物だったが、村人の方も青銅で作られた貧弱な装備しかないので、この数の差を覆すのは難しいと思う。

 一応村人たちは防壁を拠点にして戦っているものの、このままでは負けると思う。


 ということで、俺たちが加勢することにする。


「『天火』」

「『風刃』」

「『旋回撃』」


 攻撃を行っているの魔物部隊の側面へと突っ込んで行き、魔法や範囲攻撃を叩き込む。

 これだけの攻撃で魔物部隊は瓦解した。

 もともと弱い魔物の集まりな上、俺たちが来るなど予想していなかったらしく横の守りが手薄だったからだ。


「ギャアアア」

「ヒイイイイ」


 そうやって悲鳴をあげながら魔物たちは肉塊へと変わって行った。


 五分後。


「このオーガで最後か」

「そうみたいですね」


 俺が最後に残ったオーガを斬り捨てて魔物の軍団は全滅した。


★★★


 戦闘後はすぐさま負傷者の治療をした。


「おい、負傷者はゆっくり運べ」

「はい」


 村人に言って負傷者を一か所に集め、


「『極大化 範囲上級治癒』」


ヴィクトリアが一気に魔法で治療してしまう。ヴィクトリアの魔法なら、手がちぎれそうになっている人でも、息も絶え絶えで今にも死にそうになっている人でも一発で治せてしまうので、これで治療終了だ。


 幸いなことに俺たちの介入が早かったせいか死者もいないらしいので、後は戦利品を回収してこの戦闘の後始末はすべて終了した。


★★★


 戦闘終了後、俺たちは村人たちによって村へと案内され、そこで村長をはじめとする村人たちの歓迎を受けた。


「勇者様。この度は我らの危機を救っていただき誠にありがとうございます。このような小さな村ですので大したおもてなしはできませぬが、精いっぱいの宴を開かせていただきますので、どうかおくつろぎください」


 村長さんはそう言うと村人たちに指示を出し、俺たちのために宴を開いてくれる。

 宴ではさっきの戦いで得たオークの肉や良い匂いのする焼き立てのパン、搾りたての牛のお乳でできたシチューなどが出てきた。

 そんなに大きくない村なのにこんなにたくさんの料理でもてなしてくれるのは何だか申し訳ない気がするが、折角の村人のおもてなしだ。ありがたくいただくことにする。


「うん。うまいな」

「やはり作り立てのご飯は美味しいですね」


 塩のみという素朴な味付けの料理だったが、村人の感謝の心がこもったありがたい料理で、しかも出来立ての料理だ。

 俺も他のみんなも十分満足した。

 

★★★


 宴の最中、俺は村長さんとお話しした。

 この近くに転移魔法陣がある遺跡がないかを聞くためである。


「村長さん、一つお伺いしたいのですが、この近くに遺跡のような物はないですか?」

「遺跡ですか?う~ん」


 俺に質問された村長はしばらく考えた後。


「そういえば、ここから東に半日ほど行ったところに石造りの建物があります」


 と、教えてくれたのだった。


 俺はそれを聞いて、やった!と思わず心の中でガッツポーズをしてしまった。

 ただ、その遺跡には問題もあるようで。


「実はその遺跡のは強大な力を持った悪魔が棲んでおりまして、たくさんの魔物を従えているのです」


 どうやら遺跡には魔物の軍団を率いた悪魔が棲みついているようだった。


「そうなのですか?」

「はい、実は今日村を襲った魔物たちもそこから来ていまして、我々も本当に困っているのです」

「そういうことなら、その遺跡へ行くついでにその悪魔とやらを俺たちで退治しましょう」

「本当ですか?」

「ええ。詳しい話を聞かせてください」


 ということで、遺跡の悪魔の退治を引き受けた俺は村長から詳しい話を聞くのだった。

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