表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

622/780

第541話~生贄を要求する謎の魔物を退治せよ! 後編 さっさと魔物を退治して、ヴィクトリアを助け出せ!~

 ヴィクトリアがセイレーンの祭壇に横になって『パシフィック村』を襲うという魔物が襲ってくるのを待っている。

 俺達はヴィクトリアを襲うために魔物が現れたら、その魔物を素早く退治するつもりで近くの岩陰に隠れて待機している。


 そうやって待つこと三十分。

 山のふもとの方から一つの大きな影が現れたかと思うと、徐々にヴィクトリアに近づいてきた。


 ようやく来たかと思った俺たちは、獲物を逃がさないよう、獲物が十分にヴィクトリアに近づくまで待つことにする。

 が、予想に反して、魔物はある程度まで近づいたところでヴィクトリアに近づくのをピタリと止める。


 あれ?もしかして罠だと気づかれた?


 その様子を見てそんな感じがした俺は焦ったものだが、実際はそうではなかった。


「旦那様。あの魔物。細長いものを伸ばしてヴィクトリアさんに近づけています」


 そう。エリカの言う通り立ち止まった魔物は立ち止まった地点から何か細長いものを伸ばしてヴィクトリアに接触しようとしていた。

 ただ、周囲が暗いせいでその細長いものが何か、どんな魔物化などということまではよく分からなかった。


 そんなわけで。


「『神強化』。『神眼』発動!」


 『神眼』を使って相手の魔物を探ってみることにする。

 すると、相手の正体がはっきりと見えてきた。


「タコ?!」


 相手の正体は何と数十メートルはあろうかという巨大なタコだったのだ。

 タコはヴィクトリアの数メートル手前で立ち止まり、そこから何本も触手を伸ばしてヴィクトリアを絡めとろうとしていたのだった。


 このままではヴィクトリアが危険だ!


 そう思った俺は警告を発し、皆で突撃を敢行しようとする。だが。


「皆、気を付けろ!あれは……」

「今回の敵はタコの魔物で『オクトパスエンペラー』という名前よ!さあ、バリバリ倒すわよ!」


 と、俺より先にセイレーンの奴が叫んでいた。どうやらセイレーンも『神眼』を使って敵の確認をしたようだった。


 出番を奪われてしまった俺は何だか悔しい気分を味わったが、まあよい。

 それよりもヴィクトリアが心配だ。さっさと魔物を退治してしまうぞ。


★★★


 ヴィクトリアを襲うタコの魔物『オクトパスエンペラー』に向かって俺たちは突撃して行った。

 その途中、セイレーンが『オクトパスエンペラー』について解説してくれる。


「見ての通り『オクトパスエンペラー』は巨大なタコの魔物よ。とても強力な八本の触手を使って獲物を狩る魔物よ。触手からは常にネバネバした粘液が出ているから、万が一触手に捕まったりしたら逃げるのが大変だから気を付けてね。それと、あの巨体を利用した体当たり攻撃も強力だから注意するのよ。後、ああ見えて賢いから不利になったらすぐに真っ黒なスミを吐いて逃げるわよ。逃げたら、次に捕捉するのは非常に困難だから、絶対に逃がさないようにここで倒すわよ」


 セイレーンは海神らしく海の魔物である『オクトパスエンペラー』について非常に詳しく、そうやって事細かに説明してくれるのだった。


「なるほど。『オクトパスエンペラー』の生態については大体わかりました。それで弱点とかについて教えてください」

「まずは電撃系の魔法に弱いからそれで攻撃するといいわね。それと斬撃の攻撃にも弱いから剣や風の魔法による攻撃も有効ね。その反面殴打系の攻撃には強いからネイアちゃんの武術は効果が薄いわね。それと、リネットちゃんの斧による攻撃も斧自体の切れ味がそんなに期待できるものではないから効果は期待できないかも。それとスミによる逃亡や目くらまし攻撃を防ぐために、水の魔法か風の魔法を使って水流の流れがこっちへ来ないようにしておくことも大事よ。対策としてはそのくらいかな」

「ありがとうございます。参考になりました」


 そんな風にセイレーンから事細かに『オクトパスエンペラー』の弱点を聞いた俺は、すぐに作戦を考え皆に指示を出す。


「リネットとネイアはエリカに雷属性付与してもらった矢で攻撃しろ!ホルスターは『風刃』の魔法、銀は『雷光術』でオクトパスエンペラーを攻撃だ。エリカは水と風の魔法を駆使してオクトパスエンペラーの隅攻撃への対処と逃亡の阻止を測ってくれ。俺は、そうやって皆が攻撃している間にオクトパスエンペラーに近づいて一刀両断に切り裂いてやる!作戦は以上だ。各自行動せよ」

「はい!」


 これにて戦闘準備は完了だ。

 後はオクトパスエンペラーを倒すのみである。


★★★


 オクトパスエンペラーに近づいてみると、オクトパスエンペラーの触手の接近に気がついたらしいヴィクトリアが既に抵抗を始めていた。


「あんな気色が悪いねちょねちょした触手で触られるなんて真っ平ごめんです!全力で抵抗させてもらいます!『精霊召喚 風の精霊』。さあ風の精霊よ。そこの気色が悪いタコ野郎を切り刻むのです!」


 と、オクトパスエンペラーの触手に触られるのが嫌なのか、風の精霊を呼び出して全力で攻撃していた。


 俺もその気持ちはよく分かる。

 タコは食えばうまいが、生きているタコのねばねばしたのは俺も苦手だからな。

 俺もヴィクトリアの立場なら避けたいと思うだろう。


 ということで、さっさとオクトパスエンペラーを倒してヴィクトリアを助けるとしよう。


★★★


「ネイアちゃん。アタシに続けて矢を放って!『神撃の矢』」

「はい!え~い!」


 オクトパスエンペラーに近づきながらリネットとネイアが雷属性が付与された矢を連続で放つ。

 二人の放った矢はブス、ブスと音を立てながら次々とオクトパスエンペラーに命中して行き、ヴィクトリアを襲っていたオクトパスエンペラーの攻撃の手が緩む。

 そこへ。


「『極大化 風刃』」

「『極大化 雷光術』」


 ホルスターと銀が魔法で攻撃して行く。

 二人の連携は見事で、二人の攻撃によってオクトパスエンペラーがどんどん傷だらけになって行っている。


 この状況をたまらないと思ったのか。


「プシュー」


 と、オクトパスエンペラーは大量のスミを俺たちめがけて吐いてくると、それを煙幕代わりにして逃走を図りだした。

 なるほどセイレーンが賢いというだけあって、自分が不利な場合の状況判断も的確という訳だ。


 だが、俺たちとしてもこいつを逃がす訳には行かない!

 すぐにエリカが手を打つ。


「『極大化 雷嵐』」


 すぐに風の魔法で水流を作ってスミを拡散させると、続けて。


「『極大化 氷弾』」


 オクトパスエンペラーの周囲に魔法で氷の壁を作りだしてオクトパスエンペラーの逃走を見事阻止してみせた。


 もちろんこうしている間にも、リネット、ネイア、ホルスターと銀、それにヴィクトリアによる攻撃は止むことがなく、オクトパスエンペラはどんどん傷ついて行き、少しずつ動きが鈍くなっていく。

 そこへ剣を構えた俺が接近し、十分に必殺剣が届く距離まで接近したところで。


「『フルバースト 究極十字斬』」


 オクトパスエンペラー目掛けて必殺剣を放つ。

 俺の技は見事オクトパスエンペラーに命中し、ザシュッという音を立てながら、オクトパスエンペラーを四分割に切り刻んだのだった。


 村を襲った凶悪な魔物の最期としてはあっけなかったが、彼我の実力差を考えればこんなものだと思う。

 むしろ遺跡攻略前の肩慣らしだと思えば、十分すぎる相手だったと思う。


 さて、こうして依頼も達成できたことだし、さっさと村へ帰ろうと思う。


★★★


 村へ帰ると、村をあげて俺たちを歓迎してくれた。


「『セイレーンの戦士』様。村を救っていただき、本当にありがとうございます。これで村は救われました、大したおもてなしはできませんが精いっぱいのことをさせていただきます」


 と、村長のソロさんがお礼の言葉を述べてくれ、朝から晩まで一日中、たくさんの料理や歌や踊りで俺たちを歓迎してくれたのだった。

 なお、なぜ朝からなのかというと、俺たちが帰りついたらちょうど朝で、ソロさんに魔物討伐の報告をしたら村人を集めてすぐさま宴を開いてくれたからなのだった。


 宴の料理は海産物を中心としたものだったが、村で生産した肉や果物なんかの料理もあり、この地方独特の海の香辛料を使った味付けが絶妙で、とてもおいしかった。


「旦那様。ここの料理、フソウ酒ととても合いますね。この香辛料少しもらって帰りましょう」

「ワタクシ、ここの料理の味付けがとても気に入りました。ここで食べられるうちに気合いを入れて食べないと!」

「あら、ここの料理って案外おいしいわ。これならトリトンの町に料理屋を出しても通用しそうね」


 と、皆にも好評だった。


 村人たちの歌や踊りも心がこもった素晴らしいものだった。

 この村にはかつてトリトンの町の交響楽団に在籍したという人がいて、その人が中心になって歌や踊りを披露してくれたのだった。


「ララララ~。我が村パシフィックを救いしセイレーンの戦士様。その剣は一撃で山を粉砕し~、その足の速さは一日で千里を駆け抜ける~。まことに素晴らしき戦士様~」


 と、人魚の姿に偏した村の娘たちの踊りを背景にして、俺たちをたたえる歌を歌ってくれたのだった。


「うん、いい歌だな」


 俺達は気持ち良い気分でその歌を聞き、ナウル火山へ向けて出発するまでの間気持ち良いい時間を過ごすことができたのであった。

 本当、村人たちの気持ちのこもった歓迎に感謝であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ