閑話休題80~その頃の妹 妹、両親に怒られる~
どうも、皆様。
レイラ・エレクトロンです。
今現在私は絶体絶命の窮地に立っています。
というのも、現在私の前には怖い顔をした両親がいて、ずっと私のことを睨んでいるからです。
こうなった経緯をお話しすると、さっきまで私は兄嫁のエリカの姪っ子であるミラのお披露目会に参加していて、そこで兄嫁の指示通りに参加者にお酒や食事をとってあげるという接待をしていたのです。
ここで私が一族の人を接待することで、一族に広まっている私の悪印象を少しでも緩和しておけ、という事らしいのです。
「お酒はいかがですか?食べ物をお取りしましょうか?」
ということで、愛想笑いを浮かべながらそうやって一族の人たちを接待していたのですが、そこに現れたのが。
「「レイラ!」」
「あっ!お父様。それにお母様」
両親でした。
両親は私を見つけるなり、私に近づいて来て怒り始めました。
「レイラ!修道院を卒院した後、私たちの所へ一度も顔を出さないとはどういう事なんだ!本当、心配をかけおって!しかも、ホルストたちにまで迷惑をかけたというではないか!いい加減にしなさい!」
「お父様の言う通りですよ。お母様もお父様もずっとあなたのことを心配していたのですよ。それなのにあなたときたら……少しは反省しなさい!」
顔を真っ赤にしてそんな風に私を怒鳴りつけてきたのです。
怒鳴られた私の方は、どうしたらいいかわからなくなって、泣き出してしまいました。
「お父様、お母様。ごめんなさあああい!」
そうやって子供のように泣きました。
人前で娘に泣かれて両親も扱いに困ったのでしょう。
泣きじゃくる私の袖をつかむと、
「こっちへ来なさい!」
と、私をお屋敷の空き部屋に連れて行ったのでした。
そして、現在に至るという訳です。
★★★
空き部屋に入り、テーブルを挟んで両親と対面した後、しばらくの間は両者の間を沈黙が支配していたのですが、やがてお父様が口を開きます。
「それで、レイラ。今、お前は何をしているのだ?」
「えっと、冒険者をしています」
「そうじゃない。お父様が聞いているのはお前の生活態度の話だ。トーマスに聞いた話だと、随分と破天荒な生活をしているみたいだが」
「そんなことはないですよ。最近はちゃんと仕事に精を出していたし、エリカお姉さんに言われて花嫁修業もきちんとしていたし、ボランティアとかも頑張っています」
「なるほど。最近は仕事とか確かに頑張っているようだな。その努力は認めてやろう。でも、詐欺師に引っかかって莫大な借金を背負ってしまったそうじゃないか。そして、その借金をホルストに返してもらったとか。その点はどうなんだ?」
来た!と私は思いました。
投資詐欺に引っかかって借金をした件。親には一番聞かれたくない話でした。
ここは何とか話をごまかさなければ!
そう考えた私は必死に言いつくろいます。
「それは将来に備えて投資を始めたら、相手がたまたま詐欺師がやっていた投資案件で、最初だけ儲かるようになっていたの。それで、それに騙された私が借金をして追加で投資をしたってだけの話なの。私が頑張ってやった結果、失敗しただけのことなの」
「それで、二進も三進もいかなくなって、ホルストに頼み込んで借金を返してもらった、と?」
「まあ、そうだけれども……挑戦した結果だから、頑張った結果だから、悪いことをしたとまでは思っていないです。単に私の脇が甘かっただけです。その点は十分に反省して、今後に生かそうと思っています」
「なるほどな。挑戦の結果の借金だからそこまで悪くないと自分では思っているか……」
私の説明を聞いたお父様は納得したような顔になります。
それを見た私は、これで借金の件は誤魔化せたと思ったのですが、世の中そんなに甘くはありませんでした。
「まあ、それはいいとしよう。でも最新の情報だと、今度はギャンブルをして借金を作ってしまったということではないか。ギャンブルも将来に備えての行動なのか?」
「それは……」
私は言葉に詰まりました。
というか、それ最近の出来事なのに、何でお父様たち知っているの?
そう思いましたが、多分まめな兄嫁がご当主様に報告して、それがお父様に伝わったのだと思います。
まあ、それはいいでしょう。どうせそのうちバレたでしょうから。
ただしお父様にバレた以上はタダではすみません。
激しく追及されました。
「それは、では分からないだろうが!はっきりしなさい!」
「だって、最初は競馬で調子よく勝ってたからそれで調子に乗ってしまって、そのうちに勝てなくなって、気がついたら負けを取り戻そうと借金して賭けちゃったのよ」
「負けを取り戻そうとして、借金して賭けた?そんなバカなことをしたのか!何を考えているんだ!お前は!」
「わ~ん!ごめんなさい。お父様」
と、激しくお父様に怒られた私は最後は泣いて謝るしかないのでした。
★★★
お父様たちのお説教はその後も続き、結局一時間ほど私は怒られ続けました。
「全くお前という子は……」
「何でこんな子に育ってしまったのかしら……」
その間お父様は怒り続けているし、お母様は泣いてしまうしで、本当大変でした。
でも、両親がこうしている原因はすべて私にあるので、私には受け入れるしか方法はありませんでした。
そして、最後にお父様はこう言うのでした。
「今日はこの位で終わっておくが、今後はきちんと反省して二度とギャンブルなんかするんじゃないよ。後、ホルストに迷惑をかけるようなこともするんじゃない!分かったか?」
「はい」
「わかったならこれで終わりだ。エリカさんにお客様の接待をするように言われているんだろう?そっちの仕事に戻りなさい」
これにて両親の説教タイムは終わりだった。
その後は両親に言われた通りに接待の仕事を続けた。
しかし、仕事をしつつもどこか私は上の空だった。
あの両親の怒りっぷりを思い出すだけでも怖くてたまらなかったからだ。
そして、お披露目会が終わり部屋へ戻り、ベッドに横になった私はこう思うのだった。
本当最悪の一日だった。兄嫁に仕事をさせられるし、両親に怒られるしで良いことなど一つもなかった。
それにあの両親の怒りっぷりは尋常ではなかった。
もしかして、次何かしでかしたら今度こそ本当に勘当されちゃうかも。
そんな悪い方向の未来を想像してしまって怖くなった私は、その日ベッドに横になったまま鬱々とした気分で眠れない一晩を過ごすのだった。




