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第536話~エリカのお父さんの依頼をこなせ 砦にこもる魔物を退治せよ! 後編~

 魔物部隊の斥候を排除し、砦の情報まで得ることに成功した俺たちは早速砦の襲撃を行うことにした。


 時刻はちょうど夕刻。夏の夕暮れの時間は長いが、あと一時間もすれば空も十分暗くなるだろう。

 その時間を狙って襲撃することにする。


「各部隊は襲撃の準備につけ!」


 俺の命令で各部隊が所定の配置に就くため移動を開始する。

 若い子が多いだけあってその動きは機敏で、見ているだけで頼もしい限りだ。


 ちなみにうちの妹たちも攻撃に参加させている。

 この程度の砦の攻撃なら妹たちに戦闘経験を積ませるのにちょうどいいし、


「活躍したら小遣いをやるぞ!」

「お兄ちゃん、本当?だったら頑張る!」


と、金欠な妹が妙にやる気を出していたので、部隊に混ぜてやったのだった。


「よし、それでは俺たちも移動するぞ!」

「はい」


 そして、各部隊が移動するのに合わせて俺たちも移動する。


 三十分もしないうちに俺たちも自分たちの持ち場へと到着し、配置に就く。

 俺達の配置場所。そこは。


「ほほう。ここが魔物たちの砦の門か。固い木できっちりと造られていて中々のものじゃないか」


 魔物たちの砦の前の前から大体百メートルくらい離れた森の中だった。

 ここで全体の指揮を執りつつ、様子を見て攻撃に参加する予定なのだった。

 こうやって態勢を整えてから三十分ほど経った頃。


「ようやく空が暗くなってきたな」


 空が暗くなり襲撃の予定時刻になった。

 ということで、早速攻撃開始と行きたいところだが、その前に。


「『神強化』。『神耳』発動」


 俺の『神耳』を発動して砦の中の様子を探ってみる。すると。


「うん。砦の中は今は食事中らしいな。スープをすする音や肉をかじる音が聞こえてくる」


 砦の仲は食事中だったらしく魔物たちが食事をする音が聞こえてくる。

 とてもリラックスした雰囲気のようで、油断しきった感じがひしひしと伝わって来る。


 これは絶好の好機だ!


 そう思った俺はエリカに指示を出す。


「エリカ、やれ!」


★★★


「エリカ、やれ!」

「はい、旦那様。『小爆破』」


 俺の指示でエリカが攻撃開始の合図の魔法を空にめがけて放つ。

 エリカの魔法はまっすぐに空に向かって飛んで行き、ボンという爆発音とともに炸裂する。


「うわー」


 それをきっかけに全軍が総攻撃を開始する。


「弓隊、魔法使い隊は砦の建物を焼き払え!」


 各部隊の隊長の指示のもと、弓隊が火矢を、魔法使い隊が『火球』の魔法を砦の建物目掛けて一斉に放つ。

 俺達の攻撃を受けた建物は一斉に燃え上がり、「ギャー」という悲鳴をあげながら魔物どもが一斉に逃げ始めた。


 そうやって砦の内部が混乱したのを見計らって、前衛部隊が突撃する。


「『一撃粉砕』」


 リネットが先頭に立ち以前幽霊海賊船を潰した時に使用したアダマンタイト製のハンマーを用いて砦の門をぶち壊した。


「今だ!突撃せよ!」


 リネットが壊した門の跡を通って、前衛部隊が砦の中に侵入して行く。

 敵魔物部隊の主力はゴブリンやコボルトだった。

 こいつらならば軍の子たちの敵ではない。


「えい!やあ!」

「『火矢』」


 軍所属の騎士や魔法使いたちの攻撃で次々に始末されて行く。


 このまま順調に行くかな?

 俺がそう思いながら軍の子たちの戦いの様子を見守っていると。


「ホルストさん。どうやら敵の幹部クラスが現れたようです」


 そう俺の横のネイアが囁いてきた。

 見ると、砦の奥の方からオーガが十匹ほどとゴブリンキングが一匹出てきていた。

 どうやらこいつらがここのボスの様だった。


★★★


「リネット、ネイア。行くぞ!」

「「はい」」


 オーガとゴブリンキングが出てきたことで俺とリネットとネイアの三人が前へ出た。


 オーガやゴブリンキングくらい今の俺たちなら楽勝で倒せる相手だが、軍の若い子たちに取っては強敵だ。

 それに軍の若い子たちはゴブリンたちの相手が忙しく、奇襲で数を減らしたとはいえゴブリンたちの数はこちらの人数の八割くらいはいた、オーガたちの相手をするのは難しい。

 下手に相手をさせると死人が出るかもしれない。


 そう考えて俺たちが相手にすることにしたのだった。


★★★


「リネットは右手の五匹のオーガを。ネイアは左手の五匹のオーガを始末しろ。ゴブリンキングは俺が始末する」

「了解だよ」

「任せてください」


 俺の指示でリネットとネイアがオーガへと向かって行く。

 リネットとネイアにとってオーガなど物の数ではない。


「ウガー」


 と、唸り声をあげながら襲い掛かってくるオーガの攻撃を難なくかわすと。


「『真空断』」

「武神昇天流奥義『虎殺脚』」


 そうやって、一人一撃でオーガを肉塊へと変えて行った。


「さあ、覚悟しろ!」


 二人がオーガの相手をしている間に俺はゴブリンキングと対峙する。

 ここのゴブリンキングは普通のゴブリンキングよりも大柄な奴で、


「キシャー」


と、大声で叫びながら、自分の身の丈ほどもある大剣を振り回してきた。

 普通の戦士ならこの攻撃をかわし切れず真っ二つにされていたかもしれないが、俺は違う。


「当たるかよ!」


 ゴブリンキングの攻撃をさっと避けると、


「『十字斬』」


と、逆に必殺技を放ってやった。

 俺の必殺技は見事にゴブリンキングに命中し、


「ギャッッ」


と、短い悲鳴を残してゴブリンキングは絶命した。


 ボスを倒した俺が周囲の確認をすると、リネットとネイアは既にオーガたちを全滅させていたし、軍の子たちや妹たちも雑魚魔物を全滅させかかっていた。


「後、もう少しで終わりそうだな」


 この状況を見て、もう俺や嫁たちの出番はなさそうだと判断した俺は、後はのんびりと軍の子たちや妹たちの活躍を見守るのだった。


★★★


 魔物たちを全滅させた後は後始末の開始だ。


「怪我をした者はヴィクトリアに治療してもらえ。いいな?ヴィクトリア」

「ラジャーです。『範囲上級治癒』」


 まず最初にしたのは怪我人の治療だ。

 幸いなことにこちら側に死者はいなかったので、ヴィクトリアの魔法でどんどん回復して行く。


「ふう~、痛くなくなった。助かった~」

「ヴィクトリアさん、ありがとう」


 ヴィクトリアに治療してもらった連中はそう口々にお礼を言っていた。

 中にはヴィクトリアに好意的な視線を向ける者さえいた。


 ……って、俺のヴィクトリアにそんな視線を向けるんじゃない!

 ヴィクトリアは俺のだからな。変な気を起こしたら承知しないぞ!


 ヴィクトリアに好意的な視線を向けていたやつらは、俺のそんな容赦のない視線を向けられると、ハッとした表情になり、大人しく引き下がるのであった。


 さて、ヴィクトリアの治療が終わった後は、砦の破却と戦利品の回収だ。

 部隊を二つに分けて残った砦の設備や柵ややぐらなどの処分と、魔物装備品や残った食料品などを回収した。

 これらの作業を一時間ほどで終え、今回の討伐任務は終了だ。


「さて、それではヒッグスタウンへと帰還する」


 任務を終えた俺たちはさっさとヒッグスタウンへと帰還した。


★★★


「ホルスト君、よくやってくれた」


 ヒッグスタウンへと無事に戻ってきた俺たちをエリカのお父さんは非常に褒めてくれた。

 まあ、お父さんにとっては最近の悩みの種だった魔物が討伐されたのだから喜ばしいことなのだと思う。

 ということで、お父さんは俺たちに過分なほどの報酬をくれた。


「ちょっと、お義父さん。多過ぎではないですか」


 結構な金額をくれたので、俺はそう言って辞退しようとしたのだが、お父さんは聞かず。


「構わないよ。ホルスト君は十分な働きをしてくれたからね。それに軍の子たちにもかなりの恩賞を出してしまったので、ホルスト君たちにもあげないとバランスが取れないんだよ。だから受け取っておくれよ」


 と、主張するのでありがたく受け取ることにした。

 それで、俺が報酬を受け取ったのを見て早速近づいてきた奴がいる。


「お兄ちゃん。魔物退治頑張ったんだから、約束通りお小遣いをちょうだい!」


 もちろん、妹の奴だった。


 旅の道中の暗い表情はどこへやら、嬉しそうな顔をして、そうおねだりしてきた。

 こんな業突く張りな妹にあまり金を渡したくなかったが、約束なので仕方なく渡すことにする。

 妹の仲間の子たちも呼んで、一緒に渡した。


「一人銀貨三十枚だ」


 この手の仕事の報酬としては、相場よりも高額な金額を渡してやった。


「「「え?銀貨三十枚?ちょっと多過ぎです。こんなにもらえないです!」」」


 妹の仲間の子たちはそう言って受け取りを固持しようとしたが。


「いいから、取っておきな」


 と、無理矢理渡しておいた。

 対して、妹の奴はというと。


「お兄ちゃん。ありがとう」


 と、さっさと自分の懐に入れていた。

 本当現金な奴である。


 ただ喜ぶ妹を見て、俺には妹の末路が見えた気がする。

 お前、絶対にそのお金を無駄遣いして、後悔する事になるぞ。


 そんな予感がして仕方がなかったのだ。

 そして、実際妹の奴は本当にもらったお金を使い果たすのだが、それはまた別の話である。

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