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第533話~緊急ミッション エリカの姪っ子のミラにふさわしい贈り物を用意せよ!~

 ネイアの叔母さんの家で一晩過ごした翌日。


「叔母さんたち、それじゃあ行ってきますね」

「ああ、行ってらっしゃい」

「風邪などを引かないように気をつけるんだよ」

「ネイアお姉ちゃん、元気でね」


 そうやってネイアと叔母さんたちが別れの挨拶を交わした後、俺たちは叔母さんの家を離れた。

 そして、次に向かったのは。


「ファウンテン・オブ・エルフの町で買い物をするのは楽しみですね。旦那様」

「ああ、そうだな」


 ファウンテン・オブ・エルフの町の商業区だった。ここへは買い物をするために来たのだった。

 というのも。


「旦那様。私の父から連絡が来ました。どうやら、一週間後に私の姪のミラのお披露目会をするそうです」

「そうか。とうとうするのか。それにしても結構急な話じゃないか?」

「それが私たちの潜水艇の修理に少し時間がかかるということを、父が魔道具工房から聞いたらしく、私たちが自由に動ける今のうちにやっておこうと思って急いで準備させたみたいですよ」

「確かにお父さんの言う通り今俺たちは開店休業状態だからな。そういう話ならミラのお披露目会に行かなければならないな」


 と、旅行の直前にお父さんからエリカの姪っ子であるミラのお披露目会の連絡が来て、そのための贈り物を用意するためにここへ来たのだった。


 そして、ご存じの通りミラはエリカの姪っ子であると同時に、銀と並ぶホルスターの許嫁でもある。

 だから、エリカと相談した結果。


「エルフの国の王都なら女の子向けの可愛いプレゼントが手に入るのではないですか」


 ということになり、ネイアの叔母さんたちを訪問するのに合わせて、ファウンテン・オブ・エルフでプレゼントを買う運びとなり、こうしてやって来たのだった。


★★★


 俺達が買い物に行ったのは、ファウンテン・オブ・エルフの町の商業区の中でも高級店が集まっているエリアだ。


 まあ、ミラはエリカのお父さんの内孫で、ホルスターの許嫁だからな。

 安物の間に合わせのような贈り物をあげるなんてもっての外だった。


 ということで、高級店をいくつか回ってミラにふさわしい贈り物を探すことにする。


「そうは言っても中々いい物がないな」

「まあ、お店はたくさんありますからね。ゆっくり探しましょう」


 ただミラにふさわしい品物は中々見つからなかった。

 俺達としては子供向けのかわいらしいデザインの品が欲しかったのだが、大人向けの商品が多くて簡単にはお目当ての商品が見つからなかったのだ。


 そうやっていくつもの店舗を回っているうちに。


「ホルストさん、ここのお店なんか良さそうですよ」


 と、ヴィクトリアが良い感じのお店を見つけてきた。


「なるほど。この店なら良いものが見つかりそうだな」


 ヴィクトリアに言われて該当の店を覗いてみた俺は、ヴィクトリアの発言に納得し、そう呟いた。


 そのお店は小物類を中心に商売をしているお店なのだが、商品のラインナップが良かった。

 ここには他の高級店と同様に大人向けのシックなデザインの商品も多く置かれていたのだが、それ以外にも子供向けのかわいらしいデザインの品物も充実していたのだった。

 まさに今の俺たちが必要としている商品が売られていたのだった。


 ということで、目的の店を発見した俺たちは贈り物の吟味に入った。


「こっちのお人形とか、かわいらしくていいんじゃないか?」

「いえ、それでしたらこっちの小物入れの方が」

「ワタクシはこのぬいぐるみが気に入りましたね。絶対に欲しいですね」

「アタシはこのイヤリングなんかいいと思うんだけど」

「リネットさん、ミラ様はまだ赤ん坊でそんなものは身に着けられませんよ」

「それもそうだ。じゃあ、ネイアちゃんは何がいいと思う」

「私はこのおもちゃ箱が良いんじゃないかと思います。花柄がとてもかわいいんですよ」


 こんな感じでみんなであれやこれや言い合って、ミラに贈る物を選んでいくのだった。


 というかさあ。ヴィクトリア。お前だけ自分の欲しい物を言っていないか?

 欲しい物があったらまたそのうち買ってやるからさあ。今はもうちょっと真剣に選んでくれよな。


 ちょっと態度が不真面目なヴィクトリアに対してそんなことを思いつつも、俺達は真面目に贈り物を選んでいくのだった。


★★★


 そんな風に厳選して商品を選んだ結果、俺とエリカが選んだのは……。


「旦那様。この月のレリーフが刻まれたオルゴールにしましょう。収録曲も『月の踊り』の音楽で素敵ですし」

「そうだな。俺もこれがいいと思う」


 月のレリーフが刻まれたオルゴールだった。

 大きさも手ごろで、収録曲も素敵なので、子供に子守唄代わりに気ませるにはちょうど良いと思う。


 これに加えて『レジェンドドラゴンの規模のお守り』も一緒にあげることにする。

 これはホルスターに持たせているものと同じなので、夫婦でペアで持つことになるのでちょうどよいと思う。

 俺とエリカの贈り物は以上なのだが。


「あなたたちも贈り物を用意しましたか?」

「「「「「「「バッチリです!」」」」」」」

「もちろん、素敵な物を用意したわよ」

「私もだよ」


 他の嫁たちや妹及びその仲間の子たち、それにセイレーンとヴィクトリアのおじいさんもプレゼントを用意してくれたのだった。

 既に包装済みなので中身が何かはわからないが、きっと素敵な物を用意してくれたのだと思う。


「銀はビーズで手作りの髪飾りを作りました」

「僕は海底で採って来た七色貝から首飾りを作ったよ」


 もちろん、銀もホルスターもプレゼントを用意しているぞ。

 二人とも手作りの品を用意したみたいだ。


 今回の旅行直前にお披露目会の具体的な日時が急遽決まったわけであるが、お披露目会自体が開催されるのはミラが誕生した時には決まっていた。

 二人ともそのことは知っていたので、それに備えて随分前から作り続けてみたいだ。

 それで出来上がった物をこうして俺たちに見せてくれたという訳だ。

 二人の真心がこもっていて、とても素晴らしいプレゼントだと思うぞ。


「さて、これでプレゼントも手に入れたし、そろそろエリカの実家へ行くぞ」


 こんな感じでお披露目会のプレゼントをそろえた俺たちはファウンテン・オブ・エルフの町を出て、そのままエリカの実家へと向かったのだった。


★★★


 そして、一時間後。

 エリカの実家に着いた俺たちはエリカのお父さんに歓迎されていた。


「やあ、よく来たね」


 と、機嫌よく俺たちを出迎えてくれたお父さんは、そのまま屋敷へと俺たちを迎え入れてくれた。

 今回はしばらくお父さんの屋敷で厄介になる予定なので、それぞれが割り当てられた部屋に荷物を置き、その後リビングへ集合する。

 そして、お兄さん夫婦やお父さん夫婦の目の前で、スヤスヤとベビーベッドで寝ているミラに贈り物を渡した。


 本当ならお披露目会当日に渡すべきなのだろうが、当日はバタバタしそうだから、ゆっくりとお話ししながら渡せる今のうちに渡すことにしたのである。


「これは素敵な贈り物をありがとう。ミラも喜んでくれると思うよ」


 お兄さんたちは俺たちのプレゼントを喜んでくれ、全員に対して一人ずつ頭を下げながらお礼を言ってくれたのだった。


 そんな風にプレゼント贈呈が終わった後は、数日後に控えたお披露目会の日までのんびりと各自が自由に過ごすことにする。


「ホルスター君に銀ちゃん。おばあちゃんたちと一緒に遊びましょ」

「「うん」」


 ホルスターや銀はエリカのお父さんやお母さんたちと家の中でや時には庭へ出て遊んでいたし、嫁たちや妹の仲間たち、セイレーンやヴィクトリアのおじいさんたちは。


「町の見物や買い物をしに出かけましょう」


 と、町の外へ出かけたり、行かない時は屋敷で各々がやりたいことをやっていた。


「どれ。俺も久しぶりに武具の手入れでもするか。それとも嫁たちと……」


 俺も久しぶりに趣味の武器の手入れをしたり、嫁たちとイチャついたりした。


 そんな中、俺の妹だけは。


「ひいい。なんで私だけ一生懸命働かなければいけないのよ~」


 と、相変わらずエリカに仕事をさせられていた。


 とは言ってもやらされているのは俺たちの泊まっている部屋の掃除と衣類の洗濯くらいで、それ以外の食事の用意とか細々とした雑用とかは屋敷の使用人さんがやってくれるから意外と実際に働いている時間は短いはずだし、しかも仕事さえ終われば皆と同じく自由な時間を与えてもらえているのだから、十分に遊ぶ時間ももらえていると思う。


 ただ、宿泊人数が人数だけにそれだけでもかなりの重労働だし、皆が一切働かない中一人だけ働かなければならないのは精神的にきついとは思うが。


 でも、仕方がないよね。それがお前に与えられた罰なわけだし。

 ということで、頑張って働け!


 汗で髪の毛を濡らしながら働く妹を横目に、俺はエリカの膝枕の上で耳掃除をしてもらいながらそんなことを思うのだった。

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