閑話休題79~その頃の妹 良薬は口に苦し 妹、超健康的な野菜ジュースを飲む~
どうも、レイラちゃんで~す。
今私の心はとてもハッピーな気持ちで満ち満ちています。
なぜかって?
それは今やってもらっている美容マッサージがとても気持ち良いからです。
ここのマッサージって本当に最高なんですよ。
ここのマッサージはオイルを使ってやってくれるんですけど、兄嫁によるとここのオイルは上物らしいのですが、これがとても良いんです。
それにマッサージ師さんの揉み方もとても上手なんです。
上等のオイルと腕の良いマッサージ師さんの組み合わせが奏でる至福のハーモニー。
これだけで今日一日、いや最近アルバイトで酷使していた体中からどんどん疲れが抜けて行く。
そんな気分になれます。
それは一緒に美容マッサージを受けている仲間たちも同様のようで。
「ああ、気持ちいい!世の中にこんなに気持ちがいいことがあるなんて初めて知ったよ」
「あ、マッサージさん。肩。肩の辺りをもうちょっと強く揉んでください。……あ、そこです。そこ。ああ、とてもいいです」
「ああ、私、マッサージなんて初めてだけど、とってもいいわね。最高だわ」
と、全員ご満悦な顔でマッサージを楽しんでいた。
こんな感じで私たちは旅の一時を幸せに過ごしたのでした。
★★★
マッサージが終わった後は一旦サウナに入って汗を流してのデトックスタイムです。
サウナで大量に汗を流して体の中の老廃物を根こそぎ排除です。
ここのサウナの温度は結構高めらしくで、そのせいか中にいるだけで大量の汗が出ます。
だから大量の汗が出てデトックス効果も高そうです。
サウナで汗が出るのはとても気持ちが良いものです。
サウナの中でジーっと座って我慢して、それで汗が噴き出てくる時の気持ち良さと言ったら筆舌に尽くしがたいものです。
だからサウナの中にいると、世の中のサウナ好きの気持ちがよくわかります。
なので、サウナで汗をかく、それ自体は良いのですが、問題は……。
「サウナの中にずっといると喉が渇くよね」
サウナの中にずっといると喉が渇いてしょうがないという事でした。
まあ、そうですよね。汗として水分を出したら、人間喉から水分を補給したくなりますよね。
私がそんなことを思っていると、マーガレットがこんなことを言い出しました。
「確かに喉渇いたよね。……そうだ!確かサウナスペースの入口にお茶が置いてあったから、あれ飲みに行かない?」
「「「お、いいねえ」」」
マーガレットのその意見に対して、私以外の全員も喉が渇いていたのでしょう、みんなでお茶を飲みに行きました。
サウナを出て、サウナスペースの入口に行くとマーガレットの言う通り、冷たい氷とお茶が入った水差しが置いていました。
水差しの横の壁には張り紙が張ってあり、『痩せるお茶。無料飲み放題サービス!ご自由にお飲みください』と書かれていた。
「え?これタダでいくらでも飲んでいいの?やった!」
お茶が無料と知った私たちは早速飲み始めます。
水差しの横に置いてあった紙コップにお茶を注ぐと、「グビ、グビ」と、みんなで一気にお茶を飲みだしました。
ここのお茶はとてもおいしくていくらでも飲める感じで、皆結構飲みました。
特に私がたくさん飲んでしまって……。
「おいしい!最高!」
と、仲間たちが二、三杯で飲むのを止めたのに対して、軽く十数杯ほど飲んでしまいました。
これには仲間たちも心配に思ったのか。
「レイラ、お茶飲み過ぎじゃない。大丈夫?」
そう言ってくれたのですが、
「ダイジョウブ、大丈夫!」
と、気にせず飲み続けたのでした。
なおこの時の私は気がついていませんでした。張り紙の下の方にこんな注意書きがあったのを。
『喉が渇いたからといって、冷たいお茶を飲み過ぎるとお腹を壊すおそれがあります。飲み過ぎないように注意してください』
★★★
サウナで十分に汗を流した私たちは仕上げのマッサージを受けます。
今度のマッサージは仕上げと言うだけあって、先程のようにしっかりマッサージするというよりは美容クリームなどをしっかりと塗ってくれるマッサージです。
こっちも先ほどと同様とても気持ちが良かったのですが、ここで私はやらかしてしまいました。
「ト、トイレ~」
仕上げのマッサージを受けている最中、そうやって私は何度もトイレへ駈け込む羽目になりました。
どうも先程大量のお茶を飲んだせいでお腹を壊してしまったようです。
しかも症状はそれだけにとどまらず。
「?*#*!###!!!!」
お腹の調子が悪くなったせいで気分まで悪くなり、さっき食べた御馳走をトイレで戻してしまうことになりました。
そして、仕上げのマッサージが始まってから十分もしないうちに。
「お客様、お顔が真っ青ですが、大丈夫ですか?この分だとマッサージは止めておいた方が良いと思います。マッサージを中断して、部屋に戻って休まれた方が良いと思いますよ」
「うん、そうします」
気分が悪くなり顔を真っ青にしてマッサージどころではなくなってしまった私は、部屋に戻ることにしたのでした。
「「「レイラ、大丈夫?私たちも部屋に戻ろうか?」」」
私の変調を見て心配した仲間たちもマッサージを中断して部屋について来てくれようとしたのですが。
「一人で大丈夫だから。心配しないで」
仲間たちにマッサージを中断させるのを悪いと思った私は、そう言って仲間たちを説得すると、一人部屋に帰って横になるのでした。
★★★
ただ、横になったくらいで私の症状が良くなるはずがなく、部屋に戻った私は相変わらずトイレにこもりっぱなしでした。
その結果、部屋のトイレ周りが悲惨な状態になったわけなのですが、マッサージから帰ってきた仲間たちがそれを目撃してしまい、
「レイラ、大丈夫?すぐにエリカさんを呼んでくるから待っていなさい!」
と、すぐに兄貴の所へ行ってしまいました。
すると、十分も経たないうちに兄嫁がやって来て、呆れた顔で私を見ながらこう言うのでした。
「レイラさん、冷たいお茶を飲んでお腹を壊したんですって?本当何をやっているんでしょうかねえ、この子は」
「ごめんなさい」
「謝るのはいいからこの薬を飲みなさい。あなたのお腹の調子が悪いと聞いたネイアさんがすぐに胃腸薬を調合してくれましたからね。これを飲めば多少は落ち着くでしょうから、早く飲んで大人しくしていなさい」
「はい」
兄嫁に薬を渡された私はそれを飲むと大人しくベッドに横になりました。すると、三十分ほどすると。
「大分吐き気やお腹の痛みが引いてきた……かな?」
少し症状が落ち着いたみたいで、トイレに行かなくてもベッドで横になってじっとしていられるくらいにはなりました。
それを見た兄嫁もホッとした顔になり。
「それじゃあ、レイラさんも落ち着いたようなので私は部屋へ帰りますね」
「「「はい。レイラのことは私たちが見ておくので、エリカさんは休んでください」」」
「ありがとう。それじゃあ、私は休ませてもらいますね。あなたたちも無理しないようにしなさいよ」
「「「はい」」」
それだけ言い残すと兄嫁は部屋へと帰って行きました。
仲間たちはそれからしばらく私の看護をしてくれていたのですが、やがて私の顔色が大分良くなったのを確認すると。
「「「おやすみ」」」
と、挨拶をして寝たのでした。
★★★
翌朝、私は兄嫁に呼び出されると昨晩のことで怒られました。
「まったく!お茶を飲み過ぎてお腹を壊すとか、何をしているのですか!」
「ごめんなさい」
「謝って済む問題ではないですよ。今回はこの程度で済んでよかったですが、取り返しのつかない事になっていたらどうするつもりだったのですか!自分の体を守れるのは自分しかいないのですよ。それにあなたの軽率な行動でフレデリカさんたちにも迷惑をかけたでしょ!大切な仲間の子たちに迷惑をかけてはダメですよ。もっと反省しなさい」
そんな感じでひどく怒られてしまいました。
ただ、兄嫁のお説教タイムはそう長く続きませんでした。
というのも、昨日よりはだいぶマシにはなったものの、まだ私の体調は不十分で、それを感じ取った兄嫁が。
「まあ、今日はこの位にしておきましょうかね。あなたも体調がすぐれないようですし」
と、短いお説教タイムで終わったのでした。
兄嫁のお説教を聞くのはつらいので、私は何とか終わったとホッとしたのですが、説教こそ終わったものの兄嫁がこの位で許してくれるはずがなく。
「説教は終わりますが、レイラさん。あなたには反省してもらうためにきっちり罰を受けてもらいますからね!」
「罰があるんですか?そんなあ」
兄嫁はきっちりと私にお仕置きしてきたのでした。
★★★
兄嫁が与えてきた罰。それは……。
「レイラさん。あなたは朝食抜きですよ。あなた、まだ胃腸の調子が悪いようですし、朝ごはんは食べない方がちょうどいいでしょう」
何と朝ごはん抜きでした。
この兄嫁の罰に私は愕然としました。
兄嫁の言う通り確かにまだ胃腸が悪くて、気分も良くなく、食欲もあまりなくて、すぐにでも横になりたい気分なのですが、それでも昨日の晩御飯を全部戻してしまったので結構お腹が空いています。
食欲がないのにお腹が空いているのは矛盾しているんじゃないかって?
そんなことはないです。
人間、食欲は無くてもお腹が空いて小腹に何か入れたいと思う時というのは確かに存在するのです。
その点を兄嫁に主張しましたが。
「ダメですよ。あなたの体調の為にも、あなたの行動の反省の意を示すためにも一食我慢しなさい」
と、却下されました。
その兄嫁の言葉を聞いた私はショックのあまり崩れ落ちそうな気分になりましたが、そんな私を見て兄嫁は、
「朝食はダメですが、代わりにこれなら飲んでもいいですよ」
と、別の物を提供してくれました。
兄嫁のくれた物、それは……。
「エリカお姉さん、この物凄く濃い緑色をした飲み物。これは一体何ですか?」
「ネイアさん特製『胃腸に良い薬草』入りの野菜ジュースです。これなら栄養満点だし、消化が良いのであなたの弱った胃腸を癒すのにピッタリですよ」
物凄い色をした野菜ジュースでした。
というか、色ばかりか匂いも強烈な野菜の香りがプンプンと漂っています。
この分なら確かに健康には良さそうなのですが、あまりおいしそうな感じがしないので正直飲みたくないです。
好きな人にはたまらない飲み物なのかもしれませんが、少なくとも私は苦手でした。
ただ、目の前には兄嫁がいて、私が野菜ジュースを飲むのを今か今かと待っているので飲まないわけにはいきません。
「えい!」
ということで、私は意を決して飲みました。
……予想通りすごい味がしました。
私が野菜ジュースを飲むのを見た兄嫁は満足したようで。
「レイラさん。この野菜ジュース、健康に良くておいしかったでしょう?」
「はい、まあ……」
「でしょ?私も前にネイアさんにこれを作ってもらって飲んだら気に入ったの。それで、今回あなたが体調が悪そうだったからあなたに飲ませてあげようと思って、ネイアさんに作ってもらって持ってきたのよ。あなたにも気に入ってもらえたようでよかったわ」
そこまで言うと兄嫁は立ち上がり、
「それじゃあ、レイラさん。出発まで時間があるから休んでいなさい。それと、今のジュース、まだ体調が悪いようだったらまた出してあげるから、体調が悪かったら言ってね」
と、それだけ言い残すと部屋を出て行ったのだった。
残された私は、これ以上あんなものを飲まされてたまるものですか!と、横になって体調を元に戻すことに専念するのでした。




