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第528話~再びの天空の塔 最上階への道のりはやはり過酷だった……って、やっぱり俺が全員を連れて登ることになるのか~

 天空の塔へはすぐに着いた。


 ノースフォートレスの町を出て一時間ほど馬車を走らせ、『空間操作』の魔法で天空の塔の近くまで移動し、そこからさらに馬車を三十分ほど走らせれば到着だ。

 天空への塔は一度行ったことがある場所なので、この方法で簡単に行けたのだった。


 さて、無事天空の塔へ到着したことだし、皆を連れて観光しようと思う。


★★★


「うわー、相変わらずここは人が多いですねえ。というか、前より人が多くないですか」


 天空の塔の真下の広場にたくさんの人が集まっているのを見て、ヴィクトリアが驚いている。


 ヴィクトリアの言葉通り天への塔の真下の広場はたくさんの観光客で賑わっていた。

 ヴィクトリアの言う通り、前に来た時より多いと思う。

 多分、今世間的には夏休みシーズンらしいのでそれでいつもより観光客が多いのだと思う。


 とは言っても、ここの塔を最上階まで登ろうというもの好きはそう多くないらしく、大体の人は広場でブラブラとして塔の外観の荘厳さを楽しんだ後、塔の五階にある低層の見張り台まで行って塔からの眺めを楽しむといった感じなようだ。

 もちろん、俺たちは最上階まで登ってそこからの景色を楽しむつもりだけどね。


 ということで、まずは広場で塔へ登るための準備をすることにする。


★★★


「すみません。おじさん、アップルジュースとお、オレンジジュース、それにパイナップルジュースにアイスティーを十五人分ずつ下さい」

「毎度!」

「後、ここに置いてあるクレープを全種類五個ずつ下さい」

「合点だ!」


 天空の塔の真下の広場の屋台でヴィクトリアが大量の飲み物と食べ物を買い漁っている。


 というか、妙に店主さんの反応が軽快で良い感じだ。

 ちょうど昼過ぎで客が少なくなった時間帯に突然大量の注文が入ったので、そのことが嬉しくてヴィクトリアに合わせて調子よく商売しているのだと思う。


 それはともかく、今回ヴィクトリアが大量に買っているのはヴィクトリアの意思という訳でなく、「ヴィクトリア。ここを登ると腹が減るからな。飲み物と食べ物をたくさん買っておけ」という俺の指示によるものである。


 とにかく天空の塔を登るのは非常に疲れるからな。

 前回の経験からそれを理解している俺としては、要所要所で休憩しながら行くつもりなのでその為にヴィクトリアに飲み物などを買わせたのだった。ただ。


「おばちゃん。アイスミルクとメロンのシャーベットを十人前下さい!」

「あいよ!」


 俺の指示で調子に乗ったヴィクトリアが屋台の一か所だけでは飽き足らず、複数の屋台で買い物を始めたのだった。


 あれ?これ、もしかして俺が指示しなくてもヴィクトリア、勝手に屋台で買い物をしていたんじゃ……。


 ヴィクトリアを見て俺はそう思ったが、まあいい。『備えあれば憂いなし』というからな。

 ここはヴィクトリアの好きにさせて備えておこうと思う。


★★★


 天空の塔の最上階への道のりは予想通り過酷だった。


「うわー、パパ。ここからの眺めってすごいよね」

「ホルスターちゃん、覚えていないの?ホルスターちゃん、赤ちゃんの頃ここへ来ているんだよ」

「そうなの?」


 俺の肩に乗っているホルスターと銀はそうやって元気いっぱいだ。

 それと、体力的に優れているリネットとネイア、それに最高神と言うだけあってヴィクトリアのおじいさんも平気そうに歩いていたが、それ以外は全滅だった。


「旦那様、私そろそろ限界です」

「ホルストさん、ワタクシ、もう歩けそうにありません」


 普段なら平気で俺について冒険してくるエリカとヴィクトリアでさえこのザマで、かなり苦しそうにしている。

 俺達よりは頑丈でない妹たちなどは。


「マーガレット、私、もう立てないよお」

「レイラ、私もだよ~」

「ベラ。もう歩けそうも無いから肩を貸して」

「フレデリカ、無理。私も歩けそうにない」


 と、今にも死にそうだというような泣き言を言っているしね。

 それどころか、セイレーンに至っては。


「久しぶりにまともな運動をしたから、足の裏の筋肉が限界でもう歩けそうにないわ。誰かおぶって行ってくれないかしら」


 と、俺の方をチラ見しながら泣き言を言ってくるような始末だし。


 というか、セイレーンさんよお。俺が子供たちを肩に乗せているのが見えないのか?

 俺は子供を運ぶのに忙しいんだ!

 お前は大人なんだから、自分のことは自分でどうにかしろよ。

 セイレーンの甘えた態度を見て、俺は本気で腹が立ってしまったね。


 とはいえ、このままでは収拾がつかないので皆を励ます言葉をかけることにする。


「お~い。みんな、よく聞け!後二階ほど登れば中層の見張り台だ。そこまで行ったら後は楽に行けるようにしてやるから、もう少し頑張れ!」

「!!!」


 俺のその言葉を聞いて全員がやる気を取り戻したのか、それから中層の見張り台までの間は、何とか全員揃って踏破することができたのだった。


★★★


 中層の見張り台で少し休憩した。

 言ってなかったが低層の見張り台でも休憩したので、この塔における二回目の休憩となる。


 休憩では先程ヴィクトリアが爆買いした飲み物やおやつが活躍した。


「さあ、じゃんじゃん食べましょう!」


 そう言いながらヴィクトリアが大量の飲み物やおやつを取り出すと、


「いただきます!」


と、早速みんなで爆食いを始めるのだった。


 特にヴィクトリアとセイレーン、それに妹の奴の食いっぷりが激しかった。


「もぐもぐ。ワタクシの見込んだ通りここの屋台のクレープは美味しいですね」

「本当ね。さすがは私の姪っ子だけのことはあるわ。良い嗅覚を持っているわね」


 と、腹が減っていたのを一気に解消するために競うように食べていたし、妹の奴も。


「ふふふ。久しぶりのおやつだ。張り切って食べなきゃ!」


 と、借金でおやつを食べる余裕がなかったといううっ憤を晴らすかのように食べているしね。


 この三人、まだまだ元気そうだな。こいつらだけ、この先も歩いてもらうか。


 三人を見ていて俺はそう思ったりもしたが、それをやるとキレられそうなので、それは諦めることにした。


★★★


 さて、休憩が終わった後は移動を再開する。

 ここで俺は以前天空の塔へ来た時と同じ手法を取ることにする。


「『重力操作』」


 魔法で重力の力場を発生させ、それにみんなを乗せて移動させることにしたのだった。

 以前の時は数名を力場に乗せるだけで精一杯だった俺だが、魔法の熟練度が上がった今ならばここにいる全員を乗せても全然平気で運べるのだった。


 実際、みんな大喜びで。


「旦那様、素敵です!」

「ホルストさん、最高です!」

「お兄ちゃん、やるう」


 と、エリカたちはともかく、俺と仲の悪い妹までが俺のことを褒めてきて、気持ち悪かったくらいだ。


 というか、エリカたちのように歩き疲れてフラフラだった者だけではなく、平気な顔をして歩いていたリネットやネイア、ヴィクトリアのおじいさんまで便乗して俺の魔法に乗っかって来ていた。


 可愛い嫁であるリネットとネイアは俺に甘えたいからそうしているのは理解できたが、ヴィクトリアのおじいさん。あなたは良い大人なんですから自分の足で歩いてください。


 俺は何食わぬ顔で俺の魔法に乗っかってくるおじいさんを見てそう思ったが、それを言ってしまうと何だか俺が浮いてしまうような気がしたので、我慢することにした。


★★★


 そうこうしているうちに塔の最上階へと到着した。


 時刻はちょうど夕刻。

 塔の最上から見える夕日はとても壮大で優雅に見えた。


 それにうちの女性陣が食いついて行く。


「これは素敵な景色ですね。みなさんもそう思いませんか」

「はい!」


 エリカの言葉に皆が頷き、皆で夕陽を見ながらワイワイはしゃいでいる。

 そんな中俺はおじいさんに呼び出される。


「ちょっとこっちへ来い!」


 そう言いながら女性陣と反対方向へ連れて行かれた俺はおじいさんにこう言われたのだった。


「それでは、約束通りお前に昔話をしてやろう」


 そう言うと、おじいさんは昔この辺で起こったことを話してくれたのだった。

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