第523話~冒険者ギルドの依頼 泉に湧いたワニ共を撃破せよ! 後編~
目的地地の水面に到着すると同時に巨大なワニの魔物が出現する。
見たことがない魔物だったので、すぐに魔法で検索にかける。
「『世界の知識』」
すると、すぐに検索結果が出る。
『キング・オブ・ビッグアリゲーター』
ビッグアリゲーター族を束ねる王として生まれたビッグアリゲーターの特殊個体。
その咬合力(嚙む力)はアダマンタイトの鎧をも軽く砕くほどである。
その上、水の魔法をも使いこなす頭の良さも持ち合わせている。
かなりの強敵なので気を付けて戦おう。
ちなみにその肉は普通のビッグアリゲーターよりもおいしく、その皮は防具の素材として普通のビッグアリゲーターの十倍以上の価格で売ることができる。
倒したら是非回収しておこう。
……以上が検索結果である。
それにしてもいつもながら役に立つテキストである。
弱点とかは書かれていなかったが、こいつが高く売れるのだけはよく分かった。
それなりに強いみたいだが、テキストを見る限りでは今まで凶悪な魔物たちと戦ってきた俺達ならばそこまで苦戦するような相手ではないようだ。
ということで、さっさと倒して、売り捌いてお金にしてしまおうと思う。
★★★
キング・オブ・ビッグアリゲーターとの戦いが始まった。
「さて。まずは雷属性魔法で牽制攻撃と行くか」
そんな感じで、初手として俺たちは雷属性の魔法で魔法で攻撃しようとしたのだが、その前に奴が先手を打ってきた。
「旦那様。あのキング・オブ・ビッグアリゲーターから魔力の波動を感じます」
「これは……『うず潮』の魔法?」
何とエリカが奴の魔力を感知した時にはすでに『うず潮』の魔法を放ってきていたのだ。
『うず潮』は文字通り海面にうず潮を作り出す高度な魔法だ。
船の近くで使われると船がうず潮に巻き込まれて沈んでしまうことになる。
このままでは危険だ!
そう感じた俺はすぐに手を打つ。
「『重力操作』」
すぐに『重力操作』の魔法を使用して、エリュシオン号を空中に浮かせた。
俺がエリュシオン号を浮かせた時、ちょうど『うず潮』の魔法が今までエリュシオン号がいた海面に迫って来て、エリュシオン号がいた付近の水を池の底へと引きずり込んで行った。
ふー。危なかった。もう一歩遅かったら船ごと池の底だった。
全員が無事なことに俺は心から安堵した。
それにしても、このワニ野郎。初っ端からこんな手を放ってくるとは中々やるじゃないか。
だったら、こっちも本気でやってやる。
そう思った俺は愛剣クリーガを抜くと、ワニ野郎を真っ二つにしてやるべく構えるのだった。
★★★
キング・オブ・ビッグアリゲーターの攻撃から逃れた俺たちはすぐさま反撃を開始した。
あんな強力な魔法を使ってくる以上他にどんな能力を有しているか分からんからな。
さっさと倒してしまうに限る。
「あのくそワニは俺が叩き切ってやるから、お前らは援護しろ!」
俺は仲間に援護を命令すると、一気にキング・オブ・ビッグアリゲーターに突っ込んで行く。
「『極大化 電撃』」
「『神撃の矢』」
仲間たちが船上から魔法や矢で援護する中、俺はワニ野郎目掛けて一直線に突っ込んで行く。
無論キング・オブ・ビッグアリゲーターが無抵抗であるわけではなく、雄たけびを上げながら反撃を企てて来る。
「グギャアアア」
「『水刃』の魔法に尻尾攻撃。それに大口を開けて俺のことを呑み込もうと狙っていやがるな」
当然ワニの方も魔法や肉弾攻撃などあらゆる攻撃手段で俺を倒そうと攻撃してくる。
しかし、今回俺はワニ野郎の相手をまともにしてやらない。
「『重力操作』」
もう一度魔法をかけ直して、一気に速度を上げる。
その動きにキング・オブ・ビッグアリゲーターはついてこられず。
「やった!ワニ野郎の攻撃をすべてかわしてやったぞ!」
俺はキング・オブ・ビッグアリゲーターの攻撃をすべてかわすことに成功する。
そして……。
「『フルバースト 一点突破』」
そのまま一気にキング・オブ・ビッグアリゲーターの心臓を貫くことに成功する。
心臓をやられたキング・オブ・ビッグアリゲーターは、「グヘッ」と短いうめき声を残し、池の底へと沈んで行った。
「やった!俺たちの勝利だ!」
こうして俺たちはギルドの依頼を達成したのだった。
★★★
依頼を達成した後、俺たちはノースフォートレスの町へと戻り、そのままギルドに直行し、ダンパさんに依頼の顛末を報告した。
「そんな巨大なワニがため池に潜んでいたのかい?そんな巨大なワニがいるんだったら、是非買い取りたいから、見せてくれないか」
ダンパさんに報告するとそうお願いされたので、商業ギルドの倉庫に行き、回収してきたキング・オブ・ビッグアリゲーターをダンパさんとマットさんに披露する。
「「おおおおおーーーー。これは大物だね」」
キング・オブ・ビッグアリゲーターを見た二人の目つきがたちまち変わる。
特にマットさんの目つき何か商売上手の商人の目つきそのものだった。
こういう目つきの時のマットさんは本気で目の前の商品を欲しがっている。
そう思った俺は強気で商売をすることにする。
「マットさん、そんなにこの商品は高く売れそうですか?」
「ああ、この革なんか普通のビッグアリゲーターの何倍も丈夫そうだからね。肉も質が良さそうだし。それに何と言っても珍しい魔物だからね。欲しがる人は多いと思うよ」
「それで、マットさんはこれをいくらで買い取ってくれるのですか?」
「そうだねえ。金貨百枚でどうだい?」
「金貨百枚ですか?う~ん。それはどうですかね。これだけの大きい魔物ですし。それに普通のビッグアリゲーターと比べてもレアな個体ですよ。金貨百五十枚くらいにはなりませんか?」
「金貨百五十枚か。う~ん、さすがにそれだとうちも利益の確保が難しそうだな。……どうだい。金貨百二十枚では?」
「それはさすがに安いですよ。金貨百三十枚。これくらいでどうですか?」
「百三十枚か。まあ、ホルスト殿にはいつもお世話になっているからね。いいよ。その値段で買わせてもらうよ」
「ありがとうございます」
ということで、今回のキング・オブ・ビッグアリゲーターは金貨百三十枚で売却されることになり、俺達は十分な報酬を得ることができたのだった。
★★★
さて、こうしてギルドの依頼もこなしたことだし、本当ならここで少しのんびりしたいところだったのだが。
「旦那様、そろそろ海底王陛下との謁見の日時です。一旦、海底王国へ帰りましょう」
と、エリカに指摘され、そういえばそうだったなと思い出したので、急いでトリトンの町へと帰ることにする。
「『空間操作』」
そして、魔法を使って一気にトリトンの町へと移動するのだった。
★★★
トリトンの町へと帰ってきた俺たちは宿泊先の迎賓館へと帰還する。
「ホルスト様。お帰りなさいませ」
すると、係の人が俺たちのことを出迎えてくれ、こう告げてくるのだった。
「ちょうど先程海底王陛下の使者の方が見えられて謁見の準備が整ったと伝えてきました。ホルスト様の方の準備ができているのなら明日にでも会いたいとのことです」
「わかった。俺たちの方はいつでも準備オーケーだ。すぐにこちらも使いの者をやって、海底王陛下に明日謁見したいと伝えてくれないか」
「畏まりました」
こうして俺の発言を受け、すぐに使者が海底王陛下の元へ派遣され、明日俺たちと海底王との謁見が行われることになったのだった。




