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第522話~冒険者ギルドの依頼 ため池に湧いたワニ共を撃破せよ! 前編~

 宴会の翌日の昼頃。

 俺達は馬車を走らせてノースフォートレスの近くにある大きなため池に向かっていた。


「実は町の近くのため池に巨大な魔物が棲みついたんだ。今の所実害は出ていないが、調査に行ったギルドの調査員が池に巣くう魔物の配下らしいビッグアリゲーターに襲われて逃げ帰ったりしている。だから、被害が出る前に何とかしたいんだ」

「わかりました。そういうことならお引き受けしましょう」


 昨日の依頼についてダンパさんに事情を聞きに行ったところ、ため池に魔物が出現したとのことだったので急いで出かけたという次第である。


 それで、皆で馬車に乗って移動しているのだが、セイレーンの奴が落ち込んでいる。


「うううう。またやってしまった。私って、調子に乗るといつもああなの。飲み過ぎて派手にやってしまうの」


 と、まだ酔いが残っていて顔を蒼くしながらも、昨日の行いを恥じているのか、一人ブツブツ呟いていた。


 そんなセイレーンに誰も声をかけなかった。

 いや、哀れ過ぎて声をかけられないというのが正しいだろう。

 親であるヴィクトリアのおじいさんですら黙っているのだから、推して知るべしといったところである。


 ということで、皆黙りこくっていたのだが、その状況についに耐えきれなくなったのか、ヴィクトリアの奴が意を決して声をかけた。

 多分、ヴィクトリアの奴も酒で色々とやらかしてきた過去があるので、何とか慰めてやろうという気になったのだと思う。


「セイレーンお姉ちゃん、元気出してください」

「ヴィクトリア……」

「お酒で一回や二回失敗したくらいが何だというのですか」

「だって、ヴィクトリア。よりにもよってみんなの前であんな醜態を晒してしまったのよ。もう表を歩けないわ」

「まあ、確かにあれは大分やらかしていましたが、セイレーンお姉ちゃんがやったことなどあの程度ではないですか。たかがしれていますよ」

「あの程度って……あんたねえ」

「ワタクシなど、あそこの酒場でもっとひどいことをやらかしたものです。教えてあげましょうか」


 そう言うと、ヴィクトリアは自分のことを語り始めた。

 かつて飲み過ぎて調子に乗って踊ったりして客とトラブルになったこと。 吐くくらい飲んでどうしようもなくなって、俺におんぶして家に連れて帰ってもらったりしたこと。

 そういう事を赤裸々に話した。


 ヴィクトリアのそんな話を聞くうちに、酒で失敗したのは自分だけでないと思ったのだろう。

 段々とセイレーンの顔から暗い色が消え始め、最後には。


「あんたもお酒で色々やらかしたのねえ。さすが私の姪っ子だけのことはあるわ」


 と、落ち着きを取り戻し笑顔になってくれたのだった。


 自爆営業でセイレーンを慰めようとして、逆にセイレーンに笑われたヴィクトリアはちょっと複雑な顔になったが、それも束の間、セイレーンが元気になってくれたことにホッとしたようだった。


 こんな感じで、俺たちはセイレーンを慰めたりしつつも着実に目的地へと向かって行くのであった。


★★★


 さて、とうとう目的地へと到着した。

 目的地は農業用のため池だ。

 ため池とは言ってもかなり大きいもので、これ一つでここら一帯の農地に農業用水を供給するには十分な規模だった。


 だから広さ的にはノースフォートレスの町の闘技場十個分くらいの広さがあったりするのだ。

 ここに巨大な魔物が棲みついたということなので、早急に処理する必要があるので俺達のお鉢が回って来たという訳だ。


 ということで、早速討伐開始だ。


「ヴィクトリア」

「ラジャーです。『精霊召喚 水の精霊』」


 まずはヴィクトリアに命令して水の精霊を呼び出して偵察に行かせる。

 もちろん、巨大な魔物の居場所を探るためだ。


 そして、待つこと三十分。


「ホルストさん、標的はため池の中心部分にいるようです」


 ヴィクトリアが標的を発見した。

 どうやら獲物はため池の中心部分の深い水の中に潜んでいるようだった。

 それを聞いた俺は作戦を考える。


 ふむ、敵は池の中心にいるのか。となると、船を使って一気に池の中心まで言って決着をつけるとするか。

 そう作戦を決めた俺はもう一度ヴィクトリアに指示を出す。


「ヴィクトリア。エリュシオン号を出せ!」

「ラジャーです」


★★★


 エリュシオン号に乗り込んだ俺たちはため池の中心に向かって航海を始めた。

 すると。


「ホルスト君、魔物だよ。多分ビッグアリゲーターの群れだよ」


 聞いてきた通り池の主と思われる魔物の子分たちと覆われるビッグアリゲーターが現れた。


 ビッグアリゲーターはワニの魔物でその素材は高く売れる。

 その割には狩るのが簡単なので、初心者向けの魔物である。

 俺とエリカも冒険者になりたての頃はよく飯のタネにさせてもらったものである。


 ということで、今向かってきているワニ共は大した敵ではないのでさっさと片付けてしまうことにする。


「『電撃』」

「『雷光術』」

「『電撃』」


 エリカたちの魔法攻撃でワニたちが「グギャー」と断末魔の悲鳴を残しながらバタバタと倒れて行く。


「ネイアちゃん、行くよ」

「ええ、行きましょう」


 エリカたちが魔法で攻撃している一方で、リネットとネイアは雷属性が付与された矢で攻撃している。

 こちらも効果は抜群でビッグアリゲーターたちが次々に倒れて行った。


 ちなみに倒したビッグアリゲーターは全部回収だ。


「ヴィクトリア」

「ラジャーです」


 俺の指示でヴィクトリアがくたばったビッグアリゲーターたちを次々に回収して行く。

 前述のとおりビッグアリゲーターはそれなりの値段で売れるので、行きがけの駄賃で回収させてもらうことにする。


 こんな風に目的の地点へと向けて、俺たちは順調に進んで行った。


★★★


 池の主の子分のビッグアリゲーターを退けながら進んで行くと、目的地の池の中央部へと到着した。

 ここで俺はヴィクトリアに確認する。


「ヴィクトリア、この辺りにその問題の池の主はいるのか?」

「はい。水の精霊の報告によるとそうらしいのですが……あ!見てください!水面が!」


 そうやって俺とヴィクトリアが相談していると、ヴィクトリアが異変に気がつき騒ぎ出す。

 ヴィクトリアの言うように池の海面を見ると、ドバーという大きな音とともに水面が割れ、割れた水面から巨大な魔物が顔を出した。


 その巨大な魔物を見た俺は、その巨大さに思わず目を見張った。


「巨、巨大なワニ?」


 そう出てきた魔物は、ビッグアリゲーターの十倍以上の大きさ、二十メートル以上もある巨大なワニの魔物だったのだ。

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