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第516話~大海溝の遺跡 ラスボス邪見鬼戦 前編 ヴィクトリア、お前他人の名前を間違えるとかいい加減にしろ!~

 俺達は扉を開けると奥へと進んで行く。

 進みながら俺は魔法のリストの確認をする。


『神属性魔法』

『神強化+9』

『天火+9』

『天凍+9』

『天雷+9』

『天爆+9』

『天土+9』

『天風+9』

『天罰+9』

『神のオーラ+5』

『神獣召喚+8』

『神約+7』

『重力操作+9』

『魔法合成+9』

『地脈操作+7』

『空間操作+9』

『世界の知識+8』

『十戒+4』

『天地創造+2』


 何か『天地創造』とか言うのが増えている。

 多分、前にヴィクトリアのお母さんが島を創った時に使ってたやつだ。

 今後非常に役に立ちそうな魔法だが、今回は使わないかなと思った。


 さて、新魔法も手に入れたことだし、さっさとボスを倒そうと思う。


★★★


 ボス部屋を奥へと進んで行くと、一匹の巨大な鬼がいた。

 部屋のど真ん中に大きな椅子を置き、そこにどっしりとした感じで座っている。


 鬼は俺たちが近づいてきたのを認識すると、声をかけて来る。


「ほほう。人間がここまで来るのは久しぶりだな。ここへ来たということは『海竜の徽章』を求めてきたのだろう?」

「その通りです」

「そうか。しかし、人間が赤丸たちを退けてここまで来るとはやるではないか。あいつらはジャッジメント様にお仕えする鬼の中でも鬼神と呼ばれる上位の奴らなのだぞ。それを退けてくるとはな。そんなお前の名前を聞かせてくれないか?」

「ホルスト・エレクトロンです」

「ホルストか。よい名だ。おっと、まだ名乗っていなかったな。我が名は鬼神王邪見鬼じゃけんき。地獄の獄卒長だ。さて、お前たち、『海竜の気書』が欲しいのならば、この私を倒して手に入れてみるがよい!」


★★★


 このダンジョンのボスは自分のことを邪見鬼と名乗った。

 中々強そうな名だ。

 俺は邪見鬼と話を続けようとして口を開こうとする。


 と、ここでヴィクトリアのやつが首を突っ込んできた。


「じゃんけん鬼さんですか?もしかして、ここの勝負はじゃんけんなのですか?」


 その発言で場の空気が凍り付く。……ったく、このバカはいきなり何を言い出すんだ!

 見ろ!


「この娘は何を言っておるのだ?」


 お前の発言で邪見鬼も戸惑っているじゃないか。普通なら名前を間違えられて怒ってもいいはずが、それをあっさり通り越して戸惑ってしまったじゃないか。どうしてくれるんだよ!


 さて、この場をどうすべきか。

 俺が悩んでいると、ここでおじいさんが助け舟を出してくれた。


「すまんな、邪見鬼。私の孫が失礼なことを言ってしまって」

「こ、これはクリント様。まさか、こんな所までおいでとは。……して、ま、お孫様とは?」

「今お前のことをじゃんけん鬼などと間違えた娘。この子はマールスの娘で、私の孫なのだ」

「何と。こちらの方はマールス様のお嬢様でしたか」

「うむ、そうだ。それで、うちの孫がじゃんけん鬼などとお前の名前を間違えてしまってすまなかったな。許してもらえないか?ほら、ヴィクトリア、お前も謝りなさい」

「邪見鬼さんというお名前でしたか。聞き間違えてごめんなさい」


 おじいさんに促されてヴィクトリアも素直に謝る。

 そうやって神様たちに謝られて、みんな忘れているかもしれないがヴィクトリアは女神だぞ、邪見鬼は恐縮した顔になり、慌てて汗をかき出す。


「いえ!問題ないです!むしろじゃんけん鬼などという可愛らしい名前で呼んでいただけて光栄です!」


 そして、最後はそんなことまで言い始める始末だった。


 この点、巨大で体格も立派で強そうで鬼神王とか地獄の獄卒長とか名乗る邪見鬼と言えども、上司である神様には逆らえないんだな。


 おじいさんと邪見鬼のやり取りを見て、俺はそんなことを思ったのだった。


★★★


 さて、そんなやり取りがあった後、俺たちと邪見鬼との戦いが始まった。


 勝負内容はもちろんジャンケンではない。

 力と力のぶつかり合い。

 自分たちの全能力をかけた真剣勝負だ。


「こちらの準備はオーケーだ。そちらは?」

「いつでもかかって来るがよい」


 そうやってお互いの準備ができたところで、部屋の中央で俺たちと邪見鬼が向かい合う。


「それでは始めようか」


 邪見鬼が一言そう言うと、たちまち邪見鬼の体が変化し始めた。

 真っ赤だった邪見鬼の体の色が黒く変化しだし、大岩のように筋肉が盛り上がる。

 身長こそ変化しなかったが、馬が牛になったかのように体が大きくなった。


 これで邪見鬼の方の準備は完了したようだ。


「それでは行くぞ!」


 そして、邪見鬼は側にあったオリハルコンの金棒を手に持つと、俺たちの方に向かって来るのだった。


 こうして、俺たちと邪見鬼の戦いが始まった。

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