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第513話~大海溝の遺跡 地下5階無間地獄風ダンジョン ボス戦 銀、あの犬と再会する~

 『大海溝の遺跡』地下五階のボス部屋に突入した。

 突入してすぐに俺たちはここのボスに出会った。


「犬?でも、頭が三つあるぞ」


 ここのボスは三つの頭を持つ犬のようで部屋の真ん中にお座りの姿勢で大人しくしていた。

 というか、こいつと似たシルエットのやつ、どこかで見たことがあるな。


 そう思っていると、銀がとことこと前へ進み出ると犬に挨拶し始めた。


「お久しぶりです。ケルベロスさん」

「おお、これは銀殿ではありませんか。お久しぶりですな」


 どうやら二人は知り合いのようでお互いに挨拶をしている。

 俺は銀に聞く。


「銀、こいつのことを知っているのか?」

「はい。こちらの方はオルトロスさんのお兄さんで、地獄の番犬と呼ばれているケルベロスさんです」


 何とここのボスはケルベロスだった。


★★★


「銀殿には以前にヴィクトリア様からの贈り物を持ってきていただいたのです」


 ケルベロスはそうやって以前銀に世話になったことを教えてくれた。

 どうやら前に銀がヴィクトリアのお使いで冥界に行った時にお土産をもらったということらしかった。


「それで、ケルベロスさんがここの番人さんなのですか?」

「その通りです。私は普段はご存じの通り冥府の門の番をしているのですが、ここのダンジョンに訪問者が来た時にはここへ来る手筈となっているのですよ」

「まあ、そうなんですね」

「はい。というか、すでに会ったと思いますが赤丸と青丸も同じなのですよ。あいつらも普段はジャッジメント様の所で働いていて、用がある時だけここへ来るのです。そういえば、ヴィクトリア様に乱暴しようとしたり、銀殿をいじめたりしたあの人間の二人組。あいつらを連行したのも赤丸と青丸なのですよ」


 ケルベロスの話を聞いて俺は何となくすっきりとした気分になった。


 赤丸と青丸がデリックとルッツのやつを連行してくれたのか。

 あの鬼たちは大人の姿だと、とても怖かったからな。

 そんなのに連行されてデリックたち相当に怖かっただろう……うん、いい気味だ!


 と、俺はそうやって話を聞いてすっきりしたのだが、ケルベロスの話を聞いて怒り出した人がいた。


「ケルベロスよ、その話は本当なのか?その人間の二人組は、本当にヴィクトリアに乱暴しようとしたり、銀をいじめたりしたのか?」

「はい、クリント様。間違いありません。私、たまにあいつらのことを食べに行っておりますし、この前などマールス様がいらっしゃって、あいつらにお仕置きしておりました」

「なに?マールスが、か。……ふむ、そういうことならこの私もそいつらの顔を拝みに行かねばのう」


 そう言うおじいさんの顔はニヤついていていて、とてもうれしそうだった。

 それを見た俺は、おじいさん絶対に二人の所へ乗り込んでいくんだろうなと思った。


 あーあ、おじいさんに睨まれてあいつらどうなっても知らないぞ。

 何せおじいさんは最高神だからな。その気になれば二人にとんでもない罰を与えることができるはずだからな。

 せいぜい懺悔して、少しでもおじいさんに許してもらえるようにするんだな。


 まあ、おじいさんはヴィクトリアのことをとても大事にしているから、お前たちのことを絶対に許さないと思うけどな。


 俺はデリックたちに訪れるであろう運命を思い、そんなことを考えたのであった。


★★★


 さて、そんな風に雑談をした後はケルベロスと戦うことになった。

 銀の知り合いということであまり戦いたくなかったが、一応試練ということで避けて通ることはできなかった。


「それでは行きますぞ!」


 そう一声発すると、ケルベロスの体が巨大化し始める。

 ぐんぐんという感じであっという間に体が大きくなり、十メートルくらいの大きさになる。


 これで、ケルベロスの方の準備は完了したようで、最後に。


「ワオオオオオオーーーン」


 と、うなり声をあげて威嚇してくる。

 これに対して俺たちも武器を構え、準備を整える。


「いつでもいいぞ!」

「それでは始めますか」


 そして、俺たちとケルベロスの戦いが始まった。


★★★


「ウガアアアア」


 戦闘が始まるなり、ケルベロスが炎のブレスを吐いてきた。

 ケルベロスの炎は極太でとても高温だった。


 その上で、ケルベロスは同時に氷の魔法までも放ってきていた。

 多分『氷弾』の魔法だと思う。


 炎ブレスと『氷弾』、二種類の属性の異なる攻撃を仕掛けられて、一瞬どうしようか、対応に苦慮したが、それも束の間、俺はすぐに指示を出す。


「ヴィクトリア、魔法で防御だ!」

「ラジャーです!『極大化 防御結界』」


 俺の指示でヴィクトリアが防御魔法を張る。


 ドゴーン。

 次の瞬間、ケルベロスの攻撃が魔法に命中してすさまじい音がした。

 その音から察するにまともに食らっていたら危なかったと思う。


 こんな強力な攻撃を使えるとか、さすがは神獣オルトロスの兄貴だと思う。


 というか、こんな攻撃を何発も食らったらこっちの命がいくつあっても足らない。

 ここは一気に攻撃して決着をつけようと思う。


★★★


「グオオオオオ」


 再びケルベロスが炎のブレスを吐いてきた。もちろん『氷弾』の魔法も一緒だ。

 二度目の攻撃にもかかわらず威力は全然落ちていない。

 一回目の攻撃で大分魔力を消耗したと思われるのに、大したタフさだと思う。


 この攻撃を先程はヴィクトリアの防御魔法でいなしたわけだが、今度は反対の属性の魔法を使って相殺して行く。


「『極大化 氷槍』」

「『精霊召喚 水の精霊』。さあ、水の精霊よ。あの炎を打ち消すのです!」


 エリカとヴィクトリアの二人がそうやってケルベロスの炎を迎撃する。


「『極大化 炎槍』」

「『極大化 狐火』」


 ホルスターと銀の二人でケルベロスの『氷弾』の魔法を迎撃する。


 炎と氷。異なる属性の攻撃がぶつかり合う。

 その余波でジュワーとすさまじい量の水蒸気が周囲に広がり、一気に視界が悪くなる。


 そうやって視界不良になった隙を縫って、他の三人がケルベロスに突撃して行く。


「うおおおおお」

「はああああああ」


 三人の内リネットとネイアがまず攻撃を仕掛ける。


「ほう、中々の攻撃ですね」


 ケルベロスはそう言いながら二人の攻撃を三つある首の内の二つで迎撃する。

 ケルベロスの首は中々の硬度と防御力を持っているみたいで、二人の攻撃に難なく対応している。


 だが、リネットとネイアのおかげで三つある首のうち二つが塞がった。

 俺が残りの一つの首に一撃を加えることができれば、ケルベロスを屈服さえることができる可能性があった。


 俺は必殺剣を準備する。


「『フルバースト 一点突破』」


 全身の力を込めてケルベロスの首に突撃する。


「おお、これはすごい攻撃ですね……『防御結界』」


 俺の渾身の一撃が迫っているのを見て、ケルベロスが咄嗟に魔法で防御するが。


「うおおおおお。やったぞ!」


 その魔法では防御できず、俺の攻撃は防御魔法を突き破り、ケルベロスに一撃を加えることに成功したのだった。


「キャンッ」


 俺の攻撃を受けたケルベロスは妙にかわいらしい声をあげながら吹き飛んで行き、思い切り地面に叩きつけられる。


 俺は攻撃の構えを崩さず、攻撃態勢のままケルベロスに近づき問いかける。


「どうだ?まだやるか?」

「いいえ、参りました。降参します」


 俺の降伏勧告を受け、ケルベロスはあっさりと降参した。

 これでこの階層もクリアだった。


★★★


「ケルベロス、世話になったな。それじゃあ、達者でな」

「はい、皆様もお気をつけてお行き下さい」


 ケルベロスを降伏させた後、ケルベロスに見送られて次の階層へと向かった。

 俺達を見送るケルベロスの顔はとてもにこやかだった。

 というのも。


「ケルベロスちゃんには、あいつらのこと(デリックとルッツのこと)でもお世話になっていますし、今日も試練のことでお世話になってしまいましたね。だからお礼にハチミツのかかったクッキーをあげますね」


 そうやってヴィクトリアにお礼のお菓子をもらったからだ。

 聞く話に夜と甘党らしいケルベロスはお菓子をもらって大喜びで、尻尾を盛大に左右に振りながら見送ってくれたのだった。


 さて、これで地下五階までクリアだ。


 次のエリアはどんな場所なのだろうか。

 非常に楽しみである。

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