第512話~大海溝の遺跡 地下5階無間地獄風ダンジョン やっと地下5階まで来たぞ!~
地下四階の試練を突破した俺たちは地下五階に到達した。
地下五階は今までの階層と異なり、ごった煮のような色々と混ざった感じのダンジョンだった。
そこら中に地下二階で見たような針山が生えていたり、地下三階で見たような血の池があったりもした。
他にも大きな穴があったり、炎の柱が立っていたりと色々な地獄が混ざったようなダンジョンであった。
ここまで凝ったダンジョンを造ってきたおじいさんにしてはごちゃごちゃしていて雑な感じがして珍しいことだな。
そう思った俺がおじいさんにここはどんなダンジョンなのか聞いてみると。
「ここは『無間地獄風ダンジョン』だ。本当なら亡者どもが蠢く様がみられる場所なのだが、ここは本物の地獄ではないので居ないな」
「そうなのですか?」
「本来なら亡者どもはそこの針山に突き刺されたり、血の池地獄に沈められたりするのだ」
ふーん、なるほど。
亡者がいないから本来恐ろしいはずの地獄も雑多な歯が抜けた感じに見えてしまうという訳か。
おじいさんの言葉に納得した俺は、この階層の扉に向かって進むことにするのだった。
★★★
皆様、こんにちは。銀です。
今、銀たちは『無間地獄風ダンジョン』にいます。
無間地獄は本来なら多くの罪深い亡者たちが苦しんでいるはずの地獄なのですが、ここは本物の無間地獄ではなく『無間地獄風ダンジョン』です。
誰一人亡者はいません。
だから本来ならば恐ろしい場所であるはずのここの恐怖感というものが伝わってきませんでした。
クリント様も。
「ここをダンジョンに選んだのは失敗だった」
と、仰っていますし。
ただ、銀としてはこれで良かったと思います。
だって亡者が苦しむさまとか見るの恐いですし。
それにここが本物の無間地獄だったら銀をいじめたあの憎い二人の人間ともあってしまうわけですし……。
銀はあいつらには二度と会いたいと思いません。
銀の知らない所で勝手に苦しんでくれていればよいと思います。
ということで、ここが本物の無間地獄でなくて本当に良かったと思う銀なのでした。
★★★
こんな特にイベントがないダンジョンにも敵は出てきます。
しかも、ここの敵は地下から湧いてきました。
「ホルスターちゃんの手って暖かいよね。ホルスターちゃんの暖かい手。銀は好きよ」
「そ。そう?僕も銀姉ちゃんと手を繋ぐのは楽しいよ」
銀がホルスターちゃんと手を繋いで仲良く歩いていると。
「旦那様、私の魔法に魔物が引っ掛かりました。地下から来ます!」
エリカ様がそう警告を発すると同時に地下から魔物が出現します。
「ジャイアントアエロソマとキラーピルバッグだね」
出てきた魔物を見て、リネット様がそう判定します。
ジャイアントアエロソマは巨大なアブラミミズの魔物で、キラーピルバッグは巨大なダンゴムシの魔物です。
どちらも見かけによらず凶暴かつ貪欲で、旅人などを見ると襲って食べてしまうそうです。
なお、本物の無間地獄にもこれらの蟲は生息しているようで、たまに罪人を食べたりするそうです。
想像するだけで本当におぞましい光景ですね。
ミミズもダンゴムシも本来なら草食性の動物のはずなのですが、こうやって魔物化し巨大になると肉食になってしまうようです。
本当自然って不思議だなと思いますが、襲ってきた以上は迎撃するしかありません。
「よし!お前ら、迎撃するぞ!」
ホルスト様の指示で全員が一斉に動き出します。
「ホルスターちゃん、行くよ!」
「うん!」
銀もホルスターちゃんとつないでいた手を離して、戦闘準備をします。
★★★
「『天土』」
「『金剛槍』」
「『金剛槍』」
戦いが始まるとすぐにホルスト様たちが『天土』や『金剛槍』の魔法を使って蟲たちを攻撃します。
ブスブスっと音を立てて槍が次々にジャイアントアエロソマやキラーピルバッグに突き刺さって行きます。
鉄やダイヤモンドの槍が体に刺さって痛いのか、蟲たちがもがき苦しんでいます。
「『狐火』」
銀も皆様をお手伝いして妖術で攻撃します。
銀の『狐火』が命中するとボッと火がつき、これも魔物たちを苦しめます。
その隙を縫ってネイア様とリネット様が突っ込んで行きます。
「『武神昇天流奥義 龍破撃』」
「『飛翔一刀割』」
そうやって必殺技を放って魔物たちを次々と撃破して行きます。
その様子はまるで紙の的でも破って行くかのようで、見ていて爽快でした。
見るだけでも恐ろしい巨大な蟲の魔物たちでしたが、ホルスト様たちの手にかかればこんなものです。
こうして銀たちは魔物の群れを討伐し、先へと進むのでした。
★★★
「お?ようやくこの階層の扉へたどり着いたようだな」
何度か現れた蟲の魔物たちをすべて退けた俺たちはとうとうこの階層の扉へと到着した。
「ここの扉には鬼のマークが書かれているな。ということは、ボスがいるのかな?」
ここの扉には地下一階と地下三階と同じように鬼のマークが書かれていた。
これは今までの傾向からしてボスがいるということである。
「また鬼が出てくるのかな?それとも……」
どんなボスかはわからなかったが、ボスが出てくるのだけは確実だった。
「よし、行くぞ!皆、気を引き締めろよ!」
なので最大限に警戒しながら扉を開ける。
すると、そこに待っていたのは……。




